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【女の嘆き】結局、私は踏み台? 成長する後輩へのジェラシーと、どう向き合う?

三吉野愛子

「あの子っていいなぁ! 私なんて……」「今、私ってどう見えてるんだろう」など、他人と比較して自己評価が下がったり、同性・異性の目に自分がどう映っているかを気にしすぎたりすること、ありますよね。心理コーディネーター・三吉野愛子が、そんな複雑な女ゴコロを解説し、嘆きの処方箋を出します。自分らしく輝いて生きるヒントをチェックして!

<今回の嘆き>
営業職ですが、離職率の高い職場で、次々と新しいスタッフが採用されます。年数の長いスタッフは、新人教育をしながら自分自身のノルマ達成もしなくてはならず、現場はいつもピリピリした雰囲気。そんな中でも私は比較的話しかけやすいようで、新人スタッフがなにかと頼ってきます。右も左もわからない新人スタッフが不憫で面倒をみるのですが、彼らが力をつけて成果を出しはじめると複雑な気分に。私だって同じ営業所でノルマを持っているのに……。私は、自分で自分の首をしめているのでしょうか。

困っている後輩を助けたいという純粋な気持ちはあっても、営業現場では時間が大きなコスト。新人の指導や同行に2時間使うなら、同じ時間を自分の営業活動にまわしたほうが、営業パーソン個人としてはるかに報われます。それに人材教育の重要性はわかっていても、目に見える数字での目標達成を望まない会社や上司はいません。そのため、新人の教育をしながら現場の業務もこなす立場の人は葛藤を抱えることになります。

ほかの同僚はノルマ達成に邁進するなか、自分は新人に手をとられ足をとられ、挙句には自分を踏み台にして育っていく新人たち。それは、みじめで割に合わない気持ちにもなるでしょう。だからといって、「人の面倒ばかりみて、自分のノルマが達成できないお人好しの私」、「自分から情けをかけておきながら、相手の成長を妬む心の狭い私」などと、自分を追い込むのはちょっと待って。

どんな世界にも経験を伝承する立場の人は必要ですし、さらに愛情を持って育成を行うことは誰にでもできる仕事ではありません。生来持っている人を育てる力に、単なる親切心のレベルを越えた価値を見出すのに少しコツが必要なだけです。

<女の嘆きへの処方箋>

●その1 “育てる力”が評価の対象になるよう交渉してみる
もし、人材をていねいに育成することが、個人的な利益を越えて会社や顧客の利益につながると信じられるならば、それを議題に上層部とかけ合うことも検討して。自分には人を育てる力があるが、現在の営業現場はその力を適正に評価されないシステムであること。育成が個人の営業パーソンの不利益になる以上、現場のなかで新しい人材が育ちにくく、ひいては会社の不利益になること。そのような点を指摘しながら、育成が個人の親切心というレベルで語られるべきものではなく、会社全体の仕事として価値づけされるべきであると主張するのです。

交渉したことによって、育成に価値をおく組織になれば安心して力を発揮できるでしょう。また逆に、「営業は弱肉強食の世界だから、育成など無駄なコストだ」という会社の価値観がはっきりわかれば、その中で自分がどう立ちまわっていくかを判断する材料になります。

●その2 自分以上の人材を生み出すのが育成の醍醐味
人を育てようと思ったら、自分の器の大きさを問われます。厳しいようですが、自分よりも恵まれない人や能力的に足りない人を助けることで、どこか自尊心が満たされる自分がいるなら、残念ながらそれは本当の育成マインドではありません。相手が自分に追いつくのは当たり前、むしろ自分をはるかに超えて能力を発揮する姿を誇らしく思えるようになること、それが育成の醍醐味です。育成のプロセスで相手に嫉妬を感じたら、そこが育成者としての自分の壁。そこで引き返すか、それとも壁を越えて進むかは自分次第です。

●その3 苦悩はすべてビジネスチャンスになる
「人間万事塞翁が馬」(人生における幸せや不幸は予測しがたいこと)という言葉をご存知でしょうか。困難に見えることでも、いつどうやってチャンスや幸せに転じるかは誰にもわかりません。たとえば人を育てるときの苦悩、会社の既存システムに対する疑問、それらはすべて新しいビジネスの種となります。一介の営業パーソンでは解決しにくい問題でも、問題意識を持って社内交渉を重ねるうちに育成部門が作られ、自身がキーパーソンとして迎え入れられる可能性もあります。また、問題を掘り下げた経験そのものが、人材教育に力を入れる会社に転職するときの大きな自信になるかもしれません。さらには、自身が営業や育成のコンサルタントとして独立するきっかけになることも。ひとつの価値観に縛られず、自分の持ち味が生かされる道を切りひらいていきましょう。

※画像は本文と関係ありません

(心理コーディネーター:三吉野愛子)

※この記事は2015年05月21日に公開されたものです

三吉野愛子

1978年、福岡県生まれ。2001年、東京学芸大学教育学部を卒業し、教育系広告代理店に勤務しながら心理カウンセリングを学ぶ。2005年より心理カウンセラーとして活動するかたわら、TV、ラジオ、雑誌の企画監修などを手がける。著書に『恋愛ダメ子の診療所』(日経ウーマン選書)。現在、東京を拠点に、現在、心理カウンセラーとして活動中。

●三吉野愛子カウンセリングオフィス ブログ
http://blog.goo.ne.jp/dearlife_2015

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