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【女の嘆き】教え方が悪い!? なかなか育たない後輩の育成は、どうするのが正解?

三吉野愛子

「あの子っていいなぁ! 私なんて……」「今、私ってどう見えてるんだろう」など、他人と比較して自己評価が下がったり、同性・異性の目に自分がどう映っているかを気にしすぎたりすること、ありますよね。心理コーディネーター・三吉野愛子が、そんな複雑な女ゴコロを解説し、嘆きの処方箋を出します。自分らしく輝いて生きるヒントをチェックして!

<今回の嘆き>
若手社員の育成担当になって今年で3年目。最初に担当した新入社員は、すでに入社3年目を迎えていますが、まだまだ一人前とはほど遠い印象です。「最近の若手は、ずいぶんのんびりだな」と、嫌味とも独り言ともつかない上司のつぶやきがプレッシャーです。今年も新卒が入ってきましたが、果たして今までのやり方でいいのか迷いがあります。

一般的に、業務を進めるときに以下のような手順を踏めば効率がよいということは、社会人の共通認識ではないでしょうか。

(1)目標やプランを決める:Plan
(2)計画にそって実践する:Do
(3)実践から学びや教訓を抽出する:Check
(4)学んだことをもとに改善する:Action

日々の業務を行う中で成長するためには、(1)~(4)をうまく循環させ、反復することが重要であることは周知のことです。しかし、そのほかにも人が育つのに不可欠な2つの心理的要素があることは、あまり知られていないかもしれません。

人の成長に大きく影響する心理的要素のひとつ目は、「本人の仕事観」です。仕事観とは、働くことを通じて自分は何を実現したいのか、どのように社会とかかわりたいのかということです。仕事に対する信念と言い換えることもできます。

もうひとつの要素は、「周囲との信頼関係」です。絶対に失敗するなという不文律や、情報がオープンに共有されない雰囲気、また人としての尊厳が守られない場では、人の心は萎縮し荒みます。うまくいったこともいかなかったことも、チーム全体の成果として共有できるかどうか、そして経験から謙虚に学び続ける先輩や上司がいるかどうか。そのようなことが、職場を構成するメンバー同士の信頼関係に影響します。

つまり、育成担当者が100パーセントの情熱を持って接しても、育つ側の意欲や職場風土によって成長のあらわれ方が異なることもあるのです。

育成に行きまりを感じたときは、後輩を教え導く立場という気負いをいったん脇におき、自分だったら今の環境でのびのび成長できるかどうか、思いをめぐらせてみましょう。以下に、育成のパターン別の振り返りポイントをお伝えします。

<女の嘆きへの処方箋>

●その1 「過保護パターン」―未熟さが残る後輩でも一人前の扱いを
たとえば、後輩の目標やプランをすべてお膳立てしている、失敗しないよう先まわりして管理している、後輩のミスやトラブルを尻拭いすることが多い、などの傾向はありませんか。仕事の全体像を把握できず歯車に甘んじること、試行錯誤を許されないこと、失敗したあとの謝罪や償いができないことは、人間にとって「自分の頭で考えるな、成長するな」と言われているようなもの。よかれと思ってやっていることが、後輩の成長を阻んでいるかもしれません。任せるには不安が残ることでも、思い切って任せることで、一見やる気がなさそうな後輩の潜在意欲を引き出せます。

●その2 「放任パターン」―育成を通して自身が成長することを目指して
あれこれ細かく口を出さずに静観できるのはプラスの資質として残したまま、別のアプローチも取り入れてみましょう。そもそも放任でも育つのは、自立心が旺盛でモチベーションが高いタイプの人材。そうではないタイプの多くは、不安を抱えながら手探りで日々の業務を行っているはず。そんな彼らには、「あなたに関心がありますよ」「あなたの成長をうれしく思っていますよ」という意思を伝えると、育つ力を引き出せます。具体的には、心の中で思っていることを言葉にしてフィードバックすることをオススメします。当たり前だと思うこともあえて口に出して、「その調子だよ」「助かるなあ」「そのやり方、いいね」などと声をかけると、後輩に勇気や自信を与えることができます。

●その3 「指図パターン」―相手が気持ちを整えるための「間」を大切に
わからせよう、やらせようと躍起になるほど相手の心は離れていくのが現実。「わかりたい、やってみたい」という気持ちを引き出すには、相手が自分の言葉でものごとを整理するための「間」が必要です。自身が問題解決型で仕事ができるタイプの上司だと、この「間」を省きがちなので気をつけて。

また、人は相手が話していることよりも相手の態度や行動を見て動くもの。複雑なことや何としても身に着けてほしいことは、あれこれ説明するより自分がやってみせたほうが効果的です。

※画像は本文と関係ありません

(心理コーディネーター:三吉野愛子)

※この記事は2015年05月20日に公開されたものです

三吉野愛子

1978年、福岡県生まれ。2001年、東京学芸大学教育学部を卒業し、教育系広告代理店に勤務しながら心理カウンセリングを学ぶ。2005年より心理カウンセラーとして活動するかたわら、TV、ラジオ、雑誌の企画監修などを手がける。著書に『恋愛ダメ子の診療所』(日経ウーマン選書)。現在、東京を拠点に、現在、心理カウンセラーとして活動中。

●三吉野愛子カウンセリングオフィス ブログ
http://blog.goo.ne.jp/dearlife_2015

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