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ステロイドはなぜこわい薬と言われているのか?

そもそもステロイドって何?

いわゆる「ステロイド」といわれるものは、副腎(腎臓の上にある臓器)で作られるステロイドホルモンを配合した薬のことで、炎症を抑える効果があります。内服薬(飲み薬)や外用薬(塗り薬)があり、アトピー性皮膚炎をはじめとした皮膚疾患には、主に外用薬を使用します。

ステロイドの2つの副作用

ステロイドには局所的副作用と全身的副作用の2つの副作用があります。

<局所的副作用>

・皮膚の萎縮
・毛細血管の拡張
・ステロイド紫斑
・多毛
・皮膚の感染症の誘発、増悪 ※にきび、カンジダ、ヘルペス等
・酒皶様皮膚炎(しゅさようひふえん)※顔面に赤み、腫れ、ほてりが出て悪化します

などが挙げられますが、薬の使用を中止すれば治っていくものです。

<全身的副作用>

・感染症にかかりやすくなる
・高血圧
・糖尿病
・満月様顔貌(顔が丸みをおびる)
・骨粗鬆症
・白内障

などがありますが、これらは主に、内服治療などで多くの量を必要とした場合に起こりえます。

ステロイドに抵抗感をもつ患者さんの中には、外用薬の副作用として全身の副作用を混同している場合があるのです。外用薬では、血液中に入るステロイドの量は多くないため、全身の副作用が起こることはほとんどありません。

また、ステロイドの強さにも違いがあり、通常は体(首より下)に使う薬は中くらいの強さの薬となります。炎症の強い湿疹ですと、期間を限定して非常に強い(副作用も出やすい)薬を使うこともあります。からだの部位によっても吸収率に違いがあり、顔面・陰部では血流がよくステロイドの吸収率が高いため、弱い薬を使用します。

使用をやめるとリバウンドする?

いっぽうリバウンドといって、ステロイドを長期間使用した場合などに、副腎によるホルモンを作る機能が低下してしまい、薬を止めた場合に炎症が治療前より強く出てしまうことがあります。酒皶様皮膚炎(局所の副作用のひとつ)では薬の中止により一時的に症状が悪化することがわかっていますが、徐々に治っていきます。また、長期間の治療が必要な「アトピー性皮膚炎」では、専門家により薬を少しずつ減らしていくなどの方法でリバウンドが出ないような治療も行われます。

まとめ

適切な処方がなされていれば、ステロイド外用薬の使用が危険なことはほとんどありません。むしろ、患者さんの自己判断で使用を中止すると、抑えられていた病気の症状が悪化しかねません。定期的に主治医に相談し、症状の変化をみてもらいましょう。

(文:30歳女性内科医/Doctors Me、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.06.07)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2014年10月18日に公開されたものです

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