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東京オリンピックに向けて加速するイスラム教徒のための“ハラル認証”とは?

最近、テレビのニュース番組などで耳にする機会も多い「ハラル食品」。2020年の東京オリンピック開催に向け、徐々に増えてきているという“ハラル”とは一体何なのでしょうか?

イスラム圏

■イスラム圏から日本への観光客が急増

日本政府観光局が発表したデータによれば、2013年の訪日外国人客数は前年と比べ24%増加し、約1036万人を記録。そのうち、東南アジア6カ国の割合は、円安に加えビザ発給要件緩和などの影響もあり、急増しています。

■イスラム教徒のためのハラル食

外国を旅行するイスラム教徒の一番の悩みは“食”。イスラム教は、厳しい戒律で知られ、豚肉や豚脂、アルコール飲料や調理用みりんなどを食することが禁じられています。

イスラム教の教えに沿った食品のことを「ハラル(許された)食品」、非ハラル食品のことは「ハラム食品」と呼びます。豚・肉食動物、さらには昆虫類も、これらはハラムであり、カエルやカメ、カニなどの生物を食べることも禁止されています。

アルコール飲料も禁止されていますが、その基準はとても厳格でアルコールが少々添加されている醤油や味噌もダメなのです。

イスラム教の戒律に違反していないと認定された食品には、ハラル認定マークが付いています。

■日本の食品メーカーも続々とハラル認証

味の素では、1969年には既に粉末・液体調味料を、ヤクルト本社は1998年にヤクルトのハラル認証をインドネシアで取得し、イスラム圏で事業を展開していましたが、ここ数年で、食品メーカーを中心に、イスラム圏へ海外進出する上では欠かせないハラル認証の取得が活発化してきています。
他にも、インドネシアやマレーシアからの観光客向けに日本国内でもハラルに対応する企業が急増しています。

例えば、東亜食品工業は、乾麺製造でハラル認証を取得。特産品の「播州そうめん」などを中心に製品の輸出を始める予定です。また、熊本県のゼンカイミートでは、日本国内で初めてハラル認証された牛肉を扱っており、イスラム教徒の間ではバーベキューが人気なのだとか。

東京では、ハラルビーフのしゃぶしゃぶを食べられるお店や、イスラム教徒向けのハラル弁当宅配サービスなども登場しており、今後も増えることが予想されています。

■企業は気を付けたい! 過去にはこんな出来事も

インドネシア宗教学者協会と食品専門家で構成されるハラル委員会で適否が決められるハラル認証は、2年に1回の更新があります。日本では問題ないものがイスラム教徒にとっては食品偽造ともなりかねないのです。

過去には、2000年にインドネシアで「味の素」の原料に豚の成分を直接使用はしていなかったものの、発酵菌の栄養源を作る段階で触媒として豚の酵素を使用していたことから、現地法人の社長が逮捕。味の素製品を回収する事態に陥ったことがありました。

触媒を変更したことで、その後販売許可は無事に下り社長も解放されましたが、その厳格さは海外からの進出企業へ衝撃を与えました。

■ハラルに関しての世間の反応は!?

「ハラル」を見える化エンジンで検索してみると、最近「富士そば」がハラル認証を受けた報道もあり「そば」というワードが目立ちます。
その中に「発信」「アプリ」の文字を発見。

Powered by 見える化エンジン

ここ数年で、ハラルに対応したレストランや食品を検索できるアプリが続々と登場しています。

イスラム教徒は、イスラム圏ではもちろんのこと、外国に行った際でもハラル商品の購入をしたいと考えている人が多く、インドネシアでは、ハラルかどうかの確認が簡単にできるスマートフォンのアプリが人気なのだそう。

最近では、レストラン情報に限らず最寄りのモスク(イスラム教の礼拝所)をすぐに探し出せる位置情報アプリなど、ムスリムの生活や観光を支援するアプリが世界各地で続々と登場しています。

■ハラルは食品だけではない

ハラルは、食品に限ったことではありません。資生堂は、昨年ハラル認証を受け、マレーシア国内でスキンケア商品の販売をスタート。インドネシア国内の化粧品市場規模(2012年)は約3000億円で、年10%の伸び率というから驚きです。今後は食品以外の企業でもますますハラル認証取得が浸透していくことでしょう。

インドネシアなどの東南アジア諸国は、今まさに経済発展真っ只中。

今後、日本への観光客は益々増加することが期待されています。また、6年後の東京オリンピック開催に向け、イスラム圏からの労働者や旅行客が急激に増えることが予想されています。イスラム圏の観光客をターゲットにした動きは今後さらに活発になることでしょう。

(車谷照彦/ミシェル!編集部)

※この記事は2014年06月06日に公開されたものです

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