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アイドリング・ストップは、本当にお得か?「5秒以内は、かえってムダ」

ゴールデンウィークの風物詩ともいえる渋滞。今年はガス欠で立ち往生するクルマが多かったと報じられたが、ガソリン代の高騰が原因だろうか。

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自動的にエンジンを停止するアイドリング・ストップ機能は本当にお得なのか?エンジンは始動時に多くの燃料を使うので、5秒以内のアイドリング・ストップはかえって損をする。負担が増えるバッテリーも高価なものが必要となるので、たまにしか乗らないひとは、機能をオフにするのがもっともお得なのだ。

5秒以内は、かえってムダ

信号待ちなどで停車すると、自動的にエンジンが止まるアイドリング・ストップ機能(ISS)は、ムダな燃料消費を減らすだけでなく、排気ガスも減るので理にかなったシステムだが、考慮すべき点が2つある。停車時間とバッテリーだ。

エンジンは温度の影響を受けやすく、かかりにくくなったり、始動直後は不安定になる場合がある。これらを防ぐために燃料を少し多めにするのが定番で、始動してから数秒間は燃費の悪い状態になっている。

一般財団法人・省エネルギーセンターの資料によると、2,000ccクラスの乗用車では、アイドリング時は1秒あたり0.221cc(=1万分の2リットル)程度しか消費しないのに対し、始動1回に対して1.05ccが増量されるというデータがある。

つまり、5秒以内のアイドリング・ストップは、かえってムダに燃料を消費してしまうのだ。

また、始動時はバッテリーにも大きな負担がかかるため、ISS車専用の製品が必要になる。バッテリーが古くなったり、スキー場などの寒い場所では、エンジンがかかりにくくなった経験があるだろう。車種によって差はあるものの、始動時は2,000~3,000ワットもの大電力が求められ、バッテリーにはつらい瞬間なので、ちょっとした性能低下でもエンジンがかからなくなってしまうのだ。

一般的なクルマであれば、エンストしない限り1回で済む始動時の負担を、ISS車はひんぱんにおこなうため、高性能のバッテリーが求められ、価格も上がる。容量別に市販価格を比較すると、

●34~36Ah

・標準バッテリー … 8,000円
・ISS車用 … 18,000円
・ハイブリッド車用 … 25,000円

●52~57Ah

・標準バッテリー … 18,000円
・ISS車用 … 25,000円
・ハイブリッド車用 … 36,000円

あくまで一例だが、小型車に多い34~36Ahクラスでも、標準バッテリーより1万円も高額なので、どうやってもとを取るかが問題だ。

190時間止まって±0円!

バッテリーの差額を埋め合わせるためには、どれくらい走れば良いのか?同じく省エネルギーセンターのデータから、地域、平均速度、停車している割合をあげると、

・郊外部 … 時速35km / 15%
・都市部 … 時速14km / 47%
・東京都内 … 時速17km / 44%

なんと、都市部を1時間ドライブしても、28分は止まっていることになる。都内では、走っているときも時速30km程度となるので、クルマは自転車よりも遅い乗り物に変わる。

もっとも多い停止時間は21~30秒とのデータもあるので、あいだをとって25秒、停車から10秒後にエンジン停止、始動時のロス5秒分を加味すると、アイドリング・ストップ1回で10秒分の燃料が節約できることになる。

これをガソリン代が1リットル165円、バッテリーの寿命を2年で計算すると、東京都内で1万円高いバッテリー代を回収するには、

・ほぼ毎日乗るひと(年間240日) … 1日約54.1分間

・週に1回乗るひと(年間52日) … 1日約4.2時間

運転しないと、もとがとれない。仕事で毎日乗るひとには有効だが、週末にちょっとお買い物に出るだけなら、ISSなしのほうがお得だ。

まとめ

・アイドリング・ストップ車には、高価なバッテリーが推奨されている

・5秒以内のエンジン停止は、かえって燃料のムダづかい

・バッテリーの差額1万円を回収するためには、合計190時間の停車時間が必要

あまり乗らないひとなら、ISSを使わず、バッテリーも標準タイプがもっともお得だ。

環境にやさしいのは確かだが、お財布には厳しいとは、皮肉な話だ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年05月09日に公開されたものです

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