学び直しってどんな制度?女性のキャリア・アップを支援「費用の40~60%が補助」

平成24年度から開始された、働くなでしこ大作戦。なかでも女性のキャリア・アップは、今年から「学び直し」の名で大幅に強化される。
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学び直しでは、36ものプログラムから自分に合った教育訓練が選べ、離職中のひとなら生活費の一部も支給される。出産や子育てでブランクが空いたひとでも、復職や転職の助けとなるありがたい制度なのだ。
働き盛りに働けない?
平成25年に発表された日本再興戦略では、働くなでしこ大作戦が強化され、女性の活躍推進が強く打ち出されている。要約すると、
1.仕事と子育ての両立
2.女性のライフステージへの対応
3.男女平等
の3つの柱があり、2020年を目標に、指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%程度に、25歳~44歳の女性の就業率73%(2012年は68%)を目指している。
しかし現実は厳しく、文部科学省の資料によると、第1子出産を機に離職する女性は6割にもおよび、子育て期にあたる30歳代は、働き盛りでありながらも労働力率が低い。なかでも大学/大学院卒のひとの復職率は4割程度しかなく、せっかくの専門知識やスキルが埋もれてしまっているのだ。
就業時間、企業による両立支援なども大きな理由ではあるが、出産や育児でブランクが空いてしまい自信が持てない、違う業種に進みたいなど、知識やスキルに起因する要素が大きい。そこで登場したのが「学び直し」で、既存の「教育訓練給付制度」の強化版となる。
学び直しは、平成25年から文部科学省がおこなってきたが、今年度からは厚生労働省も加わったのがポイントで、教育だけでなく求職活動を支援する形に発展している。在職者は教育訓練給付指定講座、離職中のひとは公共職業訓練が定番だったが、大学や専門学校などの教育機関との連携、およそ2億円の予算により、36ものプログラムからより専門性の高い勉強ができるようになった。
さらなるキャリア・アップを図るのはもちろんのこと、異業種への転換を目的としたキャリア・チェンジのための訓練も受けられるのだ。
資格よりも免許!
教育訓練給付制度とは、なにが違うのか? まずは費用だ。
現在の訓練制度を整理すると、
●離職者
・公共職業訓練 … 無料(生活費支援あり)
・求職者支援訓練 … 無料(生活費支援あり)
●在職者
・企業による訓練 … 無料(企業に対する助成金あり)
●離職/在職問わず
・教育訓練給付指定講座 … 本人負担(20%給付)
・学び直し … 本人負担(40~60%給付)
で、既存の教育訓練給付制度は、開始された平成10年は費用の80%(上限30万円)が補助され、実質20%の費用で受講できたのだが、現在は給付率20~40%、上限も10万円までとなってしまったため、受講者の負担が大きい。
対して、学び直しは誰でも利用できるだけでなく、費用の半分近くが雇用保険でまかなわれる。離職者には生活費支援もあるので、手厚いサポートが受けられるのだ。
高度で専門的なゴールを目指すのも、学び直しの特徴だ。
教育訓練給付制度はおもに資格や検定向けで、期間も原則1年以内とされているのに対し、学び直しの期間は3年程度と長く、免許や○○士などの業務独占資格、大学院の専門課程を目指す。
検定と免許は混同されがちだが、
・検定 … スキルや知識のバロメーター
・免許 … 職業が始められる
なので意味が全く違う。独立/起業も視野に入れて、生業(なりわい)を身につけるのが学び直しの目的なのだ。
まとめ
・学び直しは、女性の復職やキャリア・アップを強力にサポートする制度
・費用の40~60%が補助される
・資格や検定だけでなく、専門的な勉強ができる
高いゴールを目指すため、訓練期間も長い。文字通り「学び直し」なので、本腰を入れてじっくり取り組もう。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年04月04日に公開されたものです