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自動ブレーキは、今が買いか?―11月からはバスへの装備が義務づけられる

交通事故の35%をも占める「追突」。とくに渋滞中は油断しやすく、障害物を見つけると減速してくれる自動ブレーキ搭載車が続々と発表されているのも一理ある。

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自動ブレーキは、いまが買いか?メーカーごとに止まれる速さや作動条件が大きく違い、エアバッグのような保険の割引もないので、現時点では冒険だ。今年の11月からはバスへの装着が義務づけられるので、もう少し様子をみたほうが良さそうだ。

性能はまちまち

自動ブレーキのかなめとなる障害物の検知は、大きく分けてレーダー、レーザー、カメラの3種類ある。

国産車の主流はミリ波レーダーで、ミリ波やEHFと呼ばれる電波を飛ばし、跳ね返ってくるまでの時間で距離を割り出す仕組みだ。真っすぐ飛ぶ性質と、非常に多くの情報量を伝えられるため、遠くの様子や複数の障害物を検知するのに適し、なかには2台前のクルマも検知できるクルマもある。

遠くの情報を得られるのがミリ波レーダーの特徴なのだが、雨や霧の影響を受けやすく、悪天候時は遠くまで飛ばない弱点もある。

レーザーは光の反射を利用した方法で、低価格でコンパクトに作れるのがメリットだ。近距離の検知が得意で、市街地や渋滞はもちろん、車線からはみ出ていないかも正確に検知できる。レーザーと聞くとまぶしいイメージを持たれるかも知れないが、リモコンと同じ近赤外線が使われるので目には見えない。

3つめのカメラは、映像を解析し障害物を割り出す仕組みだ。レーダーに映りにくい歩行者や自転車、電波を吸収しやすい素材にも有効だが、距離がわかりにくい。そのため目と同じように2台のカメラ(ステレオ・カメラ)を装備しているクルマもある。

このほかにも、超音波を使ったソナーや準ミリ波レーダーなどもあるが、何かを放ち、戻ってくる時間差で距離を計算する原理はさほど変わらない。

自動ブレーキは、どれくらい効くのか? ブレーキ自体の性能はさておき、障害物をどれだけ早く検知できるかがポイントとなる。自動ブレーキ搭載の国産車から、検知方法と止まれる速度をあげると、

・製品A … ミリ波レーダー / 時速5~30km

・製品B … ミリ波レーダー / 時速60km以下

・製品C … 近赤外線レーザー / 時速4~30km

・製品D … シングル・カメラ / 時速80km以下

・製品E … ステレオ・カメラ / 時速100km以下

・製品F … レーダー+レーザー+カメラ / 時速145km以下

と、カメラ付きは好成績となる傾向があるが、同じ方法でも性能はまちまちなので、これが一番!と呼べる方法がない。ひとことで自動ブレーキとくくっても、安全性の基準がない状態なのだ。

自動で止まるバス!

自動ブレーキは買いか? 事故の可能性が下がるのだから当然Yesだが、「今すぐ」買い替えるべきかは、疑問が残る。現段階では、保険が割引になる「安全装備」として認められていないからだ。

ポイントは保険料ではなく「効果」だ。急ブレーキをかけてもタイヤがロックしないABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やエアバッグ付のクルマは保険料が安くなるのは、効果が認められているからにほかならない。

保険を使う機会が減る=結果的に保険料が割り引かれる、の構造だが、残念ながら自動ブレーキは安全装備に含まれていない。今後、実績が上がれば安全装備に格上げされるのだろうが、現段階ではそれを待つ以外に方法がない。

ただし明るい話題もあり、バスへの装備が義務づけられる。対象は、今年11月以降に登場する新型車のうち12トンを超えるもので、平成29年9月からは新型車でなくても義務づけられる予定だ。

安全装備ではないのに義務化は矛盾を感じるが、これで効果が証明されれば、保険に反映される日も遠くない。興味があるが、いますぐ買い替えるつもりのないひとは、この11月からの流れで、時期を決定すれば良いだろう。

まとめ

・自動ブレーキの障害物検知方法は、おもに3種類

・検知方法が同じでも、製品によって性能差が激しい

・今年11月からバスにも装備される

・現時点では、保険の割引対象外

ハインリッヒの法則によれば、重大な事故の背景には300回の「ヒヤッと」が存在する。

機械を過信せず、安全運転をお願いしたい。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年03月06日に公開されたものです

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