重ねる枚数は無制限!?会津坂下町「レストランあかべこ」のハンバーグ断層を攻略するほかない
福島県会津若松市から新潟方面へ車で約15分のところに位置する会津坂下町。こちらは「あいづさかしたちょう」ではなく、「あいづばんげまち」が正しい町名だ。まず他所の人は読めないという。
【会津「お食事処 むらい」―1kgのロースかつ丼に「思わず三度見した」】
その昔から越後街道の宿場町として栄えてきたが、今では、全国的に有名な幻の地酒「飛露喜(ひろき)」の町として有名だ。
そんな会津坂下町は、会津地方の中でもデカ盛りの町として地元では名をはせている。そんなことを聞いたら、もちろん行ってみるしかない! とやってきたのであった。
まずは聞き取り調査をすべく、軽く食事をしながら作戦会議をしようと車を走らせていると、通り沿いに「ハンバーグ&ステーキあかべこ」なる看板が……。「あかべこ」とは、赤い牛の張子人形で会津地方の郷土玩具だという。
ということは、地元ではなじみのレストランにちがいない。聞き取り調査もできるのでは?我々は向かった。
作戦会議のはずがだったのに……
ドアを開けた途端、昭和のムードが漂う店内。軽く30席はあると思われるが、平日にもかかわらずほぼ満席であった。「今、お会計するお客さんいるから、ちょっと待ってね~」と店員さんが叫ぶ。
なんとか席について、メニューをめくっていると、その数の多さに驚かされた。これだけあると迷うなあとのんびり考えていると、なんとそこには二枚重ねのハンバーグの写真がのってるではないか!
1枚の重量は200g。二枚重ねの写真でびっくりするわけにはいかないが、その写真の横に「ご希望の枚数のせます」なる文字が……。
恐る恐る店員さんに聞いてみると、「いくらでものせます!」というではないか。すでに、デカ盛りの予感が!
取材班「みなさん何枚くらい、いくんですか?」
店員さん「3,4枚は御注文いただいたことがあります」
そう聞いたらすかさず「5枚で!」とお願いしてしまった。
少し時間がかかるということだったが、いきなり作戦決行に……。ドキドキしながら待つこと約30分。
「お待たせしました。できるだけそっともってください。くずれないように串がさしてありますので、気を付けてお召し上がりください」
5層ハンバーグ、いよいよ実食!
目の前にやってきたハンバーグの断層は、写真で見るよりもかなり迫力がある。1枚200gということは、単純計算でも5枚で1kgということだ。つけあわせの野菜、ご飯、スープ、サラダと合わせると、1.5kgにはなるだろう。
5枚重ねにもなると、ソースの器もデカい!
牛肉100%のハンバーグは、中ほどに赤みを残す焼き加減。5枚重ねときているから、ご丁寧に焼き石までついている。料理人の心遣いが垣間見えるようだ。
ここで一瞬悩む。5枚のハンバーグを一気に切り崩すのか、はたまた1枚ずつ制覇していくか……。
え~い、まずは何といっても味である。一番上の1枚を豪快に切り分け、ひと口頬張ろう。
田舎町のファミレスとバカにしてはいけない。なんともジューシーな肉汁が口いっぱいに広がり、にんにく醤油ベースのソースがまた合うではないか!
そう、「うまいっ!」のだ。あっという間に1枚平らげてしまった。間にご飯を食べることも忘れて1枚制覇! これは楽勝なんじゃないかと箸を止めることなく2枚目へ……。
1枚目は予想外のうまさに勢いづいて制覇してしまったが、2枚目からは少し冷静にご飯や野菜ソテーも頬張る。
なんなく2枚目も制覇。これはイケる、イケると3枚目に突入。店員さんの言うとおりに、3,4枚とオーダーすることが理解できる。
しかし、誰もがイケるのがデカ盛りではない。必ずといっていいほどデカ盛りゆえのブラックホールが存在しうることを、これまでの取材経験で我々は知らされてきた。
はたして、今回のこのハンバーグ、本当にブラックホールが存在するのだろうか? そんなことを思いながら、気付くと3枚目も制覇し、4枚目へとごく自然に箸はすすむ。
ご飯も大盛りだが、ハンバーグの残り具合と満腹度合いを考えると、おかわりいけるのではないか? そんなことが頭をよぎった瞬間、その時は急にきたのだ。
うまいのだ。食べたいのだ。なのに、急に箸が重くなった感覚。なんなのだこの感覚は!? 腹がいっぱいという感覚よりは、急に体が重くなったような不思議な感覚だ。
でも、うまいから食べたい……。
とうとうブラックホールの扉を開けてしまったようだ。4枚目制覇が急に遠く感じる。
あれだけ一定のスピードで切る、焼く、食べるの一連の動作をスムーズにこなしてきたのだが、急にインターバルが入るようになる。ここにきて、1kgというボリュームの洗礼を受けたようだ。
しかし、制覇ならずや御残しという言葉は我々の辞書にはない。インターバルがあろうが、うまい、食べたいの本能にまかせ、やっとの思いで5枚目に……。
ハンバーグはもちろんのこと、すべてがおいしかったはずなのに、5枚すべてを制覇し、最後に忘れかけていたサラダを食べた時のおいしさは、これまで食べたサラダの中でも首位を争うほどおいしく感じたのはなぜだろう? 同時に野菜に対しての大いなる安堵を得たのであった。
やはり牛肉100%というのは、ある一定の量を超えると日本人には厳しいということなのだろうか?
それにしても、本当にうまいハンバーグだった。しかも素朴な味わいもいい。
こちらのハンバーグは、単品1枚で750円。ライス、スープ、サラダがつくセットを+460円でつけることができる。
2枚目からはハンバーグ1枚600円で追加可能。本日は5枚なので、しめて3,150円也(セット料金を合わせると3,610円)。
ハンバーグが好きな人はもちろん、味も量も満足したいデカ盛りLOVERにぜひオススメしたい。
デカ盛りの町、会津坂下町。ほかのメニューも大いに期待できそうな町だ。
●ハンバーグ&ステーキのあかべこ
福島県河沼郡会津坂下町上口606-1
年中無休
JR只見線会津坂下駅から徒歩約17分
(OFFICE-SANGA)
※この記事は2014年02月16日に公開されたものです