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雑学 生活

光の固め方「真空の空間に金属原子を入れマイナス268度まで冷却し光を照射する」

2013年9月、アメリカ・マサチューセッツ工科大学が光の分子化に成功した。映画「スターウォーズ」に登場する光の剣・ライトセーバーが作れたら、切れ味の落ちない光の包丁も夢ではない。

【南キャン・山里、さらば青春の光・東口の不倫騒動に「聞けば複雑…」。】

光の塊りを作るためには何が必要か?絶対零度に近い空間と金属原子が必要だから、家庭で簡単に作り出すことはできない。強い光同士をぶつけても固まるはずもなく、それどころか電子と陽電子が生まれて対(つい)消滅が起こり、危険な結果を招くことになるのだ。

■みんなで仲良くライトセーバー

光の正体である光子は、エネルギーだけの存在で質量を持たない。そのため光同士をぶつけても明るさや色が変わるだけで、互いに弾き合うような現象は起きない。SFでは、敵と自分のビーム同士がぶつかって止まる光景が定番だが、実際は素通りするだけなので、互いに破壊されておしまいになるはずだ。

ビームが拮抗(きっこう)した状態から最後の力を振り絞って、敵のビームを押しのけるのがお約束なのだが、きっと光ではなく、質量のある別の物質が使われているのだろう。

マサチューセッツ工科大学でおこなわれた実験では3ステップで、まず真空の空間に金属原子を入れ、雲のような状態にする。それから絶対零度に近いマイナス268度まで冷却し、原子の運動を止める。そこに光を照射すると分子化して塊りができるのだ。

懐中電灯の光で「ちゃんばら」をしても、刃と刃がぶつかり合うことはなく、素通りしてしまう。対して分子化した光は物質として存在するので、刃で刃を受け止める芸当も可能だ。ただし、ライトセーバーのように何かを切断できるようにするためには、強大なエネルギーを閉じ込めておく必要があるので、まだまだ課題が多い。

完成しても、映画のようにライトセーバー同士で闘うのは難しい。エネルギーが強い方が弱い方を切断してしまい、一撃で決着がついてしまうはずだからだ。大金をはたいて作っても、あっけない結末では映画の興行成績にも悪影響なので、息をのむ死闘を繰り広げるには、ライトセーバーの出力には統一ルールが必要だ。

■反物質を生む光?

ビーム同士が衝突するシーンでは何が起きるのか?10km先の標的を狙った場合、照射角が1度ずれると約175mもずれてしまうので高精度な照準が必要になる。互いのビームを合わせるためには綿密な打ち合わせが必要なのだが、これではヤラセ以外のなにものでもない。

あくまで偶然だったと信じよう。

方法は別として、ビーム同士が衝突すると何が起きるのか?2台の懐中電灯を向い合せ、光をぶつけ合っても何も起こらない。素通りして互いの反射板を照らし、明るくなるだけだ。ただしガンマ線のように高エネルギーの光同士がぶつかると話は変わり、電子と陽電子が発生するのだ。

光子の持つエネルギーが電子の重さ以上、つまり0.511MeV(メガ・電子ボルト)を超えると、衝突した際に電子と陽電子が作り出される。陽電子は電子の反物質なので、この二つが触れ合うと対(つい)消滅し、再びエネルギーに戻る。

もし1グラムずつの電子と陽電子が対消滅すると、発生するエネルギーは180兆ジュール、電力量に換算すると5千万kWhにも上る。電気事業連合会によると、日本の一世帯あたりの電力消費量はおよそ300kWh/月なので、この2グラムで約167世帯が電気代タダで1か月過ごせる計算になるほどの膨大なエネルギーが発生するのだ。

まとめると、

・光を分子化しても、物が切断できるわけではない

・ガンマ線のような高エネルギーの光同士をぶつけると、反物質が生まれる

頑張ってライトセーバーを作らなくても、ガンマ線だけでも大変なことが起きる。もっとも、ガンマ線は人体に有害なので、そもそも取扱い注意なのだが。

■まとめ

ライトセーバーが作れても、映画のようなアクションシーンが再現できなそうだとわかり、少々残念だ。

光の分子化は、刃物よりも量子コンピュータのほうが現実的らしい。量子コンピュータの話は別の機会に紹介しよう。

(関口 寿/ガリレオワークス)

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