消費税増税でどうなる?「年収400万円台なら、消費税8%で年間7万、10%なら11万円ほどの支出増」
今年4月から8%に引き上げられる消費税。食品から水道光熱費も課税対象だから、ぜいたくしなくても確実に出費が増えることになる。
【消費税が上がる前に買っておきたいもの 1位「生活用品」2位「家電」】
消費税は、切り詰められない生活必需品にもかかるので、収入が少ないほどダメージが大きい。それに反するかのように法人税の引き下げの動きも見られるので、大企業ほど優遇され、庶民には厳しい世の中になりそうだ。
消費税は金持ち優遇制度?
日本に消費税が導入されたのは1989年で、当時は3%だった税率は1997年に5%へ引き上げられ、17年後の今年4月からは8%、来年10月1日以降は10%と決まった。一言で消費税と呼ばれるものの内部的には消費税と地方消費税の2つがあり、前者は国に、後者は都道府県に納められている。
2つの比率をみると、
・5% … 4.0% / 1.0%
・8% … 6.3% / 1.7%
・10% … 7.8% / 2.2%
で、おおむね4:1のバランスを保ちながらも、金額的には都道府県に納められる地方消費税は2倍以上の大幅アップとなる。
消費税増税は食事や衣服も対象となるので、ぜいたくしなくても支出が増える。各シンクタンクの試算から、年収帯と税率、年間に支払うおよその消費税額、現行5%からの増加額を抜粋すると、
・300万円台 … (8%)16万円・6万円増 / (10%)20万・9万円増
・400万円台 … (8%)19万円・7万円増 / (10%)23万・11万円増
・500万円台 … (8%)20万円・7万円増 / (10%)25万・12万円増
・1000万円台 … (8%)32万円・12万円増 / (10%)39万・18万円増
・平均 … (8%)24万円・9万円増 / (10%)29万・14万円増
となり、平均でも月7,500円ほどの負担となる。女性なら月1の美容院、喫煙者なら毎日ひと箱400円のタバコを半分に減らしても補えない金額だ。
消費税のエグいところは、年収をはじめ個人の状況が考慮されない点だ。確かに年収が多いほど支払額は増えるものの、パーセントでみると逆転現象が起きる。増加額は300万円台なら5%相当なのに対し、1000万円台では1.2%となるため、収入が少ないほどやりくりしにくい状態となる。
収入に反して負担が増えるため「逆・累進税」とも揶揄(やゆ)されているのに消費税にこだわるのはなぜか? 最大の理由は「取りっぱぐれがない」ことだろう。代金の支払い=納税しなければ商品が手に入らないので、滞納の心配がない。
恐れ入りやの鬼子母神。
大企業の一人勝ち?
増税される消費税とは対照的に、法人税が引き下げられる「可能性」がある。
法人税には(1)所得税(2)法人事業税(3)法人住民税などがあり、まだ未確定なので何がどう変わるかはわからないが、税率が下がって企業が優遇されるかもしれないのだ。
企業には、個人と同様の住民税や法人事業税なども課税されるため、極端に言えば「存在するだけで課税対象」だ。不条理と思えるかも知れないが、そもそも営利団体なのだから当然とも言える。対して個人の消費は営利目的ではないので、税率を上げるなら法人が先では?
と思える部分が多い。逆累進税とも呼べる消費税をアップし法人税を引き下げれば、大企業の一人勝ちは容易に想像できる。トランプの「大富豪」と同様に、余裕のあるひとはさらに余裕が、ツラいひとはさらにツラくなるだろう。
まとめ
・年収400万円台なら、消費税8%で年間7万、10%なら11万円ほどの支出増
・収入vs支出増の割合をみると、年収が高いほど負担率が少ない
・消費が中心の個人に対し、営利団体の法人税が引下げられる可能性あり
・大企業ほど有利で、庶民は住みにくい世の中になる、かも
これが自分の暮らす国の法なら従うのが当然だが、「これが人生か。よろしい、もう一度」と言い放てるほどの超人でもない。
地方消費税の半分はその市区町村に納められるので、なるべく地元で買い物をすれば、巡り巡って自分の生活に還元されるはずだ。小市民として、せめてタバコは地元で買うことにした。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年01月19日に公開されたものです