報酬金額は少ないのに、相手に仕事をしてもらうテクニック
人に何かを依頼する際に、その対償が通常よりも少ない場合は、依頼の仕方が難しいですよね。普通に頼んでも「報酬が少ないから」という理由で断られるのがオチです。でも依頼の仕方によっては、意外とすんなりOKしてくれる場合もあるのです。
【部下のやる気をアップさせるたった一つの心理テク「関心を持つ」】
その依頼方法を紹介しましょう。
仕事の難易度・単純度と報酬の関係
仕事と報酬との相関関係は、仕事自体の難易度とかやりがいとその対価によって満足度が変化します。つまり、人が嫌がる難易度の高い仕事は報酬が高く、誰にでもできる簡単な作業は報酬が低くなるのが常識です。それでは、難易度が高くなくても業務が単純で退屈な仕事ではどうでしょうか?
このような仕事を少ない報酬で引き受けてさせなければならないというシチュエーションが企業には意外に多いものです。
米国のある心理学実験
米国の心理学者フェスティンガーとカールスミスは、ある実験によって、仕事と報酬に対する人間の心理を分析しました。その実験では、退屈な単純作業をするグループに2つに分け、一方には報酬を20ドル渡し、もう一方には1ドルの報酬としたのです。
そして、仕事が終わると、両方のグループに対し、同じ作業を別のグループに依頼させるという内容でした。そして、この実験結果は意外なものだったのです。
自己知覚理論の意外性
退屈な作業をさせられた結果、1ドルグループの方は他者に「これは面白い仕事だ」という誘い方をしていて、実際に20ドルグループよりも誘引の成果が高いという結果でした。
これは、報酬が少ない場合、人はそれに見合うような対償を得るために、作業になんらかの面白みを見つける努力をするという心理が働くということが実験により証明され、これは「自己知覚理論」と名付けられました。
心理的な満足感に導く工夫
企業内で、退屈なルーティン作業を少ない報酬で依頼する場合には、この「自己知覚理論」を応用するのが効果的といえます。つまり、単純に思える作業の中にある面白さとか社会的な異議をうまく説明することで、人は金銭的満足感でなく心理的満足感を得ることができるということです。
作業が企業の業務体系の中でどういう意味を持っているかを具体的に分かりやすく説明することによって、納得する度合いがさらに高まるといえるのではないでしょうか。
※この記事は2014年01月12日に公開されたものです