トクホって効果があるの?「トクホにも3つのランクがある」
清涼飲料やサラダオイルなど、さまざまな食品に見られるトクホ。健康に良いと聞くが、どれくらい効果があるのだろうか?
【最も多く利用されている健康食品は?そしてその効果は?「健康食品」に対するとても興味のある調査の結果発表!】
トクホは健康を維持するのが目的で、薬のように病気を治す力はない。基本は食品だけに、過剰な期待は禁物だ。
食品以上、薬品未満
トクホの正式名称は特定保健用食品で、血圧やコレステロール、お腹の調子を整えるなどの作用が代表的だ。一般的な食品と医薬品のあいだに位置づけられ、強弱をあらわすと、
弱)一般食品 ~ 栄養機能食品 ~ 特定健康用食品 ~ 医薬品(強
で、食品以上・薬品未満の存在だ。
効果を示す科学的データを提出し、審査にパスしたものだけが消費者庁の許可を得て、ロゴをつけトクホを名乗ることができる。
おもな効果と、その成分をあげると、
・お腹の調子を整える食品 … 大豆オリゴ糖、小麦ふすま
・コレステロールが高めの人向けの食品 … キトサン、大豆たんぱく質
・血糖値が気になる人向けの食品 … L-アラビノース、グァバ葉ポリフェノール
・虫歯の原因になりにくい食品 … マルチトール、茶ポリフェノール
・体脂肪がつきにくい食品 … ジアシルグリセロール、β-シトステロール
などが代表で、いかにも薬品のような名前が多いものの、ほとんどが普通の食品にも含まれている。つまり、バランスの良い食事をしていれば、トクホに頼らなくても済むケースも多いのだ。
健康になる、体調が良くなる、などの印象が強いものの、あくまで健康の維持が目的で、悪くなってしまった要素を治す力はない。「~に適した」「~になりにくい」と、あいまいな表現もこのためで、健康な人が病気になりにくくなるための手助けをするに過ぎず、治すどころか完全な予防もできない。
食べる/飲むだけで健康になれる、とイメージしがちだが、食品に薬のような効果を期待するのはそもそも間違いなのだ。
摂り過ぎは病気のもと
さらに注意すべきは、トクホにも3つのランクがあることだ。名称と内訳を簡単にまとめると、
1.特定保健用食品(疾病リスク低減表示) … 病気のリスクが減ることが、医学的/栄養学的に確立されているもの
2.特定保健用食品(規格基準型) … トクホとしての許可実績が十分なもの
3.条件付特定保健用食品 … 科学的根拠とは呼べないが、効果の可能性があるもの
と、差が激しい。1.は文句なしとしても、2.は統計的に効果ありと判断する、の意味だし、3.にいたっては「効くかもしれない」と言っているに等しく、少々投げやりな感じだ。
栄養機能食品はさらに規制がゆるく、国が定めた基準をクリアするだけでOKなため、効果は自分で判断する必要がある。歯や骨に必要なカルシウムを例にすると、国が定めた一日あたりの基準・210~600mgの範囲であれば、消費者庁の許可も不要で「栄養機能食品」と名乗ることができる。
そのため、自分にとってなにがどれくらい必要なのかを理解する必要があるのだ。
また、どのような成分でも過剰に摂取すればへい害が起きる。カルシウムを過剰に摂取すると全身の倦怠(けんたい)感や幻覚、皮膚や粘膜を保つビタミンAの摂り過ぎは吐き気や頭痛を引き起こす。お腹の調子を整える食物繊維ですら、かえってお腹を下したり、血糖値に影響する場合もある。
食品だけに、よほど食べ過ぎない限りは問題ないのだろうが、不足していると思い込んで摂り続けると、ムダなどころか具合が悪くなってしまうので注意が必要だ。
まとめると、
・トクホも栄養機能食品も、病気を治す効果はない
・条件つきトクホは、効くかもしれないの意味
・摂り過ぎると逆効果
で、食べ過ぎや食の偏りが劇的に解消されることはないので、あくまで補助として考えるのが良さそうだ。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年01月11日に公開されたものです