お正月の長時間テレビ特番はいつ撮影しているか? 放送作家に聞いてみた!
お正月のテレビ番組は、長時間の特別番組ばかりです。こうした年始の特番というのは、ほとんど録画番組ですが、収録はかなり早めに行われていたりするのでしょうか? それとも、ギリギリなのでしょうか? また、芸能人はお正月=休暇というイメージがありますが、これはどうなのでしょうか? 放送作家の方に「年始の特番のアレコレ」を聞いてみました!
基本的には12月収録がメイン
――年始のテレビの特番は、どのくらいのタイミングで撮影しているものなのでしょうか? 早いものだと1カ月以上前に行われていたりするのですか?
もちろん、11月に収録する番組もありますが、スタジオとVTRの両方あるバラエティ系の番組の場合だと、11月下旬から12月上旬でロケVTRを撮影し、12月中にスタジオ収録を行うのが大体の流れですね。
――収録のメインは12月中なのですね。
ですから、1月の番組を11月にというのは、僕の感覚では、ちょっと早すぎます。ただ、スタジオ収録がなく、ロケVTRをメインにつないでいく番組だと、早めに収録を行ったりしますし、スタジオにいるMCのスケジュールに合わせて11月に撮る場合もありますよ。
――スケジュールの都合は仕方ないですもんね。
基本は演者のスケジュールに合わせますから、早めに撮影してしまうのは賢いやり方かもしれません。ちなみに、売れっ子のタレントさんを多数そろえる番組の場合は、深夜収録が多いです。お昼の収録だと、売れっ子のタレントさんがひな壇にそろいません。テレ朝系のひな壇番組はそういうのが多いですよ。
――年始の定番のような番組でも、撮影は12月中が多いのでしょうか?
会議などの準備は秋からやっていますが、撮影はかなりギリギリですね。編集期間も長くて3週間、1週間しかない番組も多いです。私が担当している1月上旬の番組も、12月の4週目に収録しますよ。
――本当にギリギリなのですね。
スタッフは休めない! 年始特番のトリビア!
――タレントさんなどテレビ業界の人は、お正月は収録番組で済まして休みを取る、というイメージがありますが、これはどうなのでしょう?
確かにタレントさんはお正月に休暇を取られます。しかし、スタッフは年末年始の番組や生放送の準備などもあり、休みはまずありません。休むとしても1月2日以降ですし、休める日数も1月上旬の収録や会議の準備などもあるので、せいぜい2、3日です。
――テレビの業界全体がまったりしている、というわけではないのですか。
そうですね。1週間以上ゆったり休めるのは、売れっ子の作家さんや大御所のスタッフ、偉いプロデューサーぐらいです。ただ、それでも年末年始は、1年の中でも比較的時間の余裕のある時期です。ですから、業界人同士で、ライバル番組のエンドロール(スタッフリスト)をたっぷりとチェックしたりしますね。
――チェックしてどうなるのですか?
その年末年始の番組の内容を受けて、何がおもしろかったか、数字(視聴率)がよかったかを、視聴率表を見ながら、企画会議などで話し合い、はやっているものを追い求めます。そして、「あの数字のいい番組はあの会社がやっていた」「あのプロデューサーのチームだった」「あの作家がやってた」となるわけです。そうすると、名前も有名になるし、評判がよくなって、多くの番組にかかわれるようになるわけです。
――年末年始の番組は、スタッフにとってジャンプアップのチャンスなのですね!
番組自体も、視聴率次第で4月からレギュラー番組になる場合もあります。ですから、年末年始の特番は、レギュラー化を狙っているものが多いんです。年始特番が、ほかの季節の特番とちがうのは、お正月は家でテレビを見る方が多く、視聴率が全体的に高くなるところ。つまり、夜の11時台であっても、ゴールデンタイム並みの数字を取るチャンスなのです。
――お正月の特番がよくレギュラー化されている裏には、そういうことがあったのですね。
まとめ
年始の特番の収録は、12月中が多いようです。みなさんがこの記事を読んでいる今も、どこかで収録が行われているかもしれませんね。また、年末年始の特番は、タレントさんが休むための「間に合わせ」のようなイメージがどこかであったのですが、スタッフにとっては非常に大事な勝負の場のようでした。年始の特番の中で、どの番組がレギュラー化されるのかに注目するのもおもしろそうですね。
(貫井康徳@dcp)
※この記事は2013年12月25日に公開されたものです