「結婚したらパートに転身」にひそむ、意外なマネーの落とし穴

花輪 雇用保険に入っていれば、仕事を辞めたときに、一定期間を経て、失業手当が給付されます。もらえる金額は仕事をしていたときの賃金が基準をもとに掲載され、年齢区分ごとに上限が決められています。ハローワークで受給手続きをした後、待機期間が1週間あります。自己都合による退職の場合は、そこから3カ月間の給付制限期間がありますが、会社の倒産やリストラといった会社都合の退職の場合は手続き後1週間経てば、失業給付がもらえるんです。
編集部 それは心強いですね。
パート・アルバイトの落とし穴
花輪 でも、パート・アルバイトになると、この雇用保険の対象から外れてしまう可能性もあります。「1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上雇用される見込みがある」場合は雇用保険に加入させなくてはいけないと法律で決められているのですが、実際には守られていないことも。働いている側も給与明細をきちんと見ていなかったため、未加入の事実に気づいておらず、あとからビックリ……という話もよく耳にします。
編集部 応募する段階で気をつけておかなくてはいけないですし、給与明細もチェックする必要があるんですね。
花輪 そうですね。しかも、パート・アルバイトの場合、正社員や契約社員とほぼ同じぐらい働いているのに収入は正社員や契約社員より少なくなる、というケースも考えられます。もしかしたら今の仕事のまま年次を重ねたほうが、じつは負担が軽かったということも十分ありうるんです。
編集部 慎重に判断する必要がありますね。
花輪 20代のころは選び放題だったアルバイト先も、30代、40代と年齢を重ねるにつれて選択肢が少なくなります。もちろん、今後、夫の転勤など家庭の事情でキャリアチェンジせざるを得ないときが訪れるかもしれません。いずれにしても「パート・アルバイトなら責任も軽くなるし、ラクでよさそう」というイメージだけで決断しないことが大切です。
将来パート・アルバイトに転身しても、給与明細はしっかりチェック!
パート・アルバイトの場合、勤務時間などによって社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金)の加入・非加入が変わります。たとえば、雇用保険は1週間に20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがある場合に加入。健康保険、厚生年金は労働時間および労働日数が正社員の概ね4分の3以上で加入できます。こうした社会保険に自分が加入しているかどうかは、給与明細を見れば一目瞭然! 給与明細をもらったら支給額だけではなく、社会保険料の欄にも目を向けてみてください。(花輪陽子)
※この記事は2013年12月18日に公開されたものです