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ロックアイスはお湯から作るって知ってた?「お湯=空気を追い出した水」

人間のからだの70%近くを占める水。普通に暮らしていても1日2~2.5リットルもの水を必要とするほど、人間にとって大事な存在だ。

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そんな水には不思議な性質が多い。市販のロックアイスは透明なのに、家庭で作った氷は白く濁っている。水の性質を理解して真逆の存在であるお湯から作ると、なかなか融けないきれいな氷が作れるのだ。

温めても冷やしても膨らむ水

H2Oとして知られるように、水は2つの水素と1つの酸素原子から成り立つ。大変アンバランスな構造で、水素の重さを1とすると、酸素はおよそ16倍も重い。そのため酸素を中心に、2つの水素が取り囲むように結びついている。

さらに並び方も不思議で、串団子のような一直線ではなく、V字型をしているためバランスが悪い。ちょうど幕張方面で人気のネズミ型キャラクターのように、顔に2つの耳を取り付けたような状態なので、回転するのも、狭い場所に多数を閉じ込めるのも苦手な構造だ。

それが生活にどう関係するの?と思われるのもごもっとも。だが、物理の常識に当てはまらない不思議な現象が、日々起きているのをお忘れなく。一般的な物体は温めると膨らみ、冷やすと縮む。線路の継ぎ目も温度対策で、ところどころ隙間を用意しておかないと、夏は高温となって伸び、互いに押し合ってゆがんでしまうのだ。

ところが水は、温めると体積がふくらむ点では違いはないものの、氷になっても体積はおよそ9%増える。氷が水に浮くのもそのためで、凍っても重さは変わらないが、体積が増すため軽くなったのと同じ状態になる。本来は低温になると分子同士が近づくために体積が小さくなるのだが、アンバランスな水は収まりが悪く、かえって膨らんでしまうのだ。

水上に浮いている氷は増えた9%分なので、その10倍以上の91%は沈んだままになる。悪いことが発覚した際に使われる「氷山の一角」は、水の不思議な構造があってこそのことわざなのだ。

ただし、さらに氷を冷やしていくと、他の物質と同様に小さくなる。膨らむのか縮むのか、はっきりして欲しいところだが、それもそのはずで、水の体積が一番小さいのは、なんと約4℃。4℃より高温になると増え、凍らしても増え、さらに冷やし続けると縮む。

ネズミキャラ型の構造だからこそ成し遂げられる、エキセントリックな芸当なのだ。

溶けにくい氷はお湯から生まれる?

日常的な話題をもうひとつ。コンビニで売られているロックアイスは透明なのに、家庭で作る氷は白く濁ってしまうのはなぜか? 透明度が低いのもがっかりだが、ロックアイスよりも早く融けてしまうのは、酒好きには残念なところだ。

溶けにくいのは温度の差、と考えるのが順当で、0℃以下の氷も作れる。ただし、飲み物に入れて数分経てば、どんな氷も0℃前後になってしまう。ロックアイスも家庭の氷も材料は同じ水だから、溶けにくさは作り方の差としか考えられない。

正解は、お湯をゆっくり凍らせることだ。もちろん熱湯のまま冷凍庫に入れる必要はなく「湯冷まし」になってから凍らせれば良いのだが、ポイントは沸騰(ふっとう)させて水に含まれる空気などを追い出しておくことだ。

冷凍庫で冷やされると、水は周囲から凍っていくので、空気が入っていると中央に集まって濁りができてしまうのだ。

ロックアイスが溶けにくいのも同様で、空気が少ない=水が多いのだから、同じ大きさでも重い氷となるのが原因だ。

このほか、氷に塩をかけるだけで0℃以下になるなど、ヘンな性質が山盛りだが、この辺でお開き。

まとめ

水を沸騰(ふっとう)させると塩素も抜けてしまう。一度沸かしたから清潔で長持ち!と思われがちだが、消毒薬を抜いたのだから菌が繁殖しやすい。

凍っていれば痛むことはないが、「湯冷まし」は早めに飲み切るのが正解だ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2013年12月02日に公開されたものです

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