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【引っかけ問題】行きは時速200kmの特急電車、帰りは時速100kmの平均時速は150km?「間違い」

中流意識と揶揄(やゆ)される日本人。個性を求めながらも流行りのアイテムは欠かせない、不思議な感覚の持ち主が多い。変わり者扱いされるよりも「ふつう」を求め、特に「平均的」を重視するのは、美徳の裏返しなのかも知れない。

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そんな日本人が大事にする平均は、表面的な見かたに過ぎず、大事なことは何も伝えてくれない。旅行の移動速度もチーム対抗戦も、平均だけにとらわれていると、思わぬミスをしてしまうのだ。

平均は単純で複雑?

合計÷人数(または個数など)で求められる平均は、全体の様子や過去の状態を知るのに手ごろな方法で、自分がどのようなポジションなのか、年収や身長を全国平均と比べたことは誰でもあるだろう。親しみが多い反面、これだけでは分からないことや、計算ミスにも誘導されやすい。意外と陥りやすい平均のウソを紹介していこう。

【問題】AさんはB県まで旅行した。行きは時速200kmの特急電車、帰りは時速100kmの急行電車を使い、途中で減速も停車もしなかったとする。この場合、Aさんの往復の平均速度は(200+100)÷2=150km/時である。

加減速時間がゼロなので、とてつもない加速度Gで列車ごと分解してしまうだろうが、旅人算の名で知られる典型的な問題なので、その点は不問にしよう。帰りの速さを基準に考えれば行きは2倍だから、足して2で割れば平均速度になるはずだ、と思ったひとは残念賞。答えは約133.3km/時だ。

何で?と思うひとも多いはずだが、そもそも「速さ」は(移動距離)÷(移動時間)で求めることを思い出してほしい。はじめに時速があるのではなく、移動した結果として速さを求めるのが筋なのだ。

この問題では、距離が指定されていないので、勝手に決めてしまおう。行き/帰りとも割り切れるように200kmと仮定すると、

・行きの所要時間 … 200÷200=1(時間)

・帰りの所要時間 … 200÷100=2(時間)

となり、往復で3時間かかることが分かる。

これを往復の距離で割ると、(200×2)÷(1+2)=133.33…となり、平均速度が求められた。

距離が200kmでなくても計算結果は同じになる。試しに2倍の400kmで計算してみても、

・行きの所要時間 … 400÷200=2(時間)

・帰りの所要時間 … 400÷100=4(時間)

で、往復800kmを合計6時間で移動するのだから、800÷6=133.33…でやはり同じ速さとなる。半分の50kmで計算しても、時間も半分になるのだから結果は同じだ。

見えないバラつきを見る

【問題】5人ずつA/Bチームに分かれて的あてゲームを競った。Aチームは全員80点で合計400点、Bチームも合計400点だが、100点が1名と残り4名が75点だった。

この場合、Aチームの方が優秀である。

はい?と思うのが当たり前だ。少し整理してみよう。

・Aチームの合計と平均 … 400点 / 80点

・Bチームの合計と平均 … 400点 / 80点

・両チームの合計と平均 … 800点 / 80点

だから優劣のつけようもなく、引き分けが妥当なはずだ。

Bチームの特徴をみると、平均よりも上が1名、下回る人が4名いるので、平均以下とみるのが人情だろう。さらに平均との差(=偏差)に着目しても+20点が1人、-5点が4人だから、合計してもやはり0となり、Aが優秀な理由は見つからない。

そこで目安になるのがバラつきを意味する分散で、少々複雑だが(得点-平均点)の2乗を平均した数の平方根であらわされる。平均よりも20点高い100点なら400、5点低い75点は25を合計した後に人数で割り、√(ルート)すれば求められる。Aチームは全員平均点なので、偏差は0=分散も0なのに対し、Bチームの分散は10となり、バラつきが大きいことが分かる。合計点も平均点も同じだが、的あてゲームの性質を考えれば、バラつきの少ないAチームの方が高精度=優秀と表現できるのだ。

まとめ

得点―平均の偏差はかたよりを意味する。つまり、高くても低くても、平均から離れるほど個性的なデータと表現できる。

平均ばかり気にしていると、没個性に陥ってしまう。たまにはひとの目を気にせず、ハメを外した方が良さそうだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2013年10月20日に公開されたものです

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