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海のUMAのお話「ニンゲン」「シーサーペント」

世界各地で目撃されているUMA(未確認生物)。山で、湖で、そして海でと、いろんな場所で目撃されています。今回は、その中で「海」のUMAについて、日本最強のデバンカー・皆神龍太郎さんに聞いてみました。

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いると言い切れないのがUMA……

――海のUMAについて伺いたいのですが、まずその前に、世の中にはいろいろな超常現象と呼ばれる現象があると思うのですが、そのなかでUMAは、どんな立ち位置に当たる現象なのでしょうか?

皆神先さん 超常現象って一体なに? というのは、とても定義が難しいんですけど、私個人としては「科学者や研究者がいくら真面目に研究しても、自分が研究している対象そのものが実在している、ということすら証明できない現象」のことを超常現象と呼ぶ、と定義しています。そういう意味で、UMAも立派な超常現象ですね。ちなみにUMAというのは、和製英語で日本でしか通用しない単語です。

――UMAは、いるともいないとも言い切れない存在ということでしょうか?

皆神さん いえ、むしろ「いると言い切れない」存在というべきでしょう。例えば、日本で有名な「ツチノコ」。動物学的には、あんな蛇があり得てもいいと思うんですよ。だって、単にデブな蛇なだけですから。それなのに目撃証言を除けば、いるという証拠が未だになにもない、から立派なUMAなんですね。

――そのように進化したものがいるかもしれませんよね。

皆神さん キリンやゾウなんかも、人間が到達できないようなアフリカの奥地に、極少数だけ生息していたとしたら、間違いなくUMA扱いされていたと思います。「トラックみたいなバカでっかい動物が、鼻で物をつかむのを俺は確かに見たんだ」なんて話をしても、まず誰も信用しないでしょうから。

――実際に見たことがなかったとしたら、信じないでしょう。

皆神さん 動物はどんな進化をするのか分かりませんし、変わった個体がごく少数生き残っている可能性もないとはいえない。海の中のUMAに話を戻しますが、海の中は「重力から解放」されるわけですから、どんなヘンな格好な生き物がいてもおかしくはありません。

――海で目撃されているUMAは多いのでしょうか?

皆神さん 目撃情報というのは山ほどありますが、ほぼ全て「証拠」がないものばかりです。名称や姿形もさまざまで、正直なんともいえないものばかりなんです。それに、水の中のUMAで有名なのは、ほとんどが淡水地帯で目撃されているUMAですね。たとえば、海のUMAですが、どんなものが思い当たりますか?

――海のUMAで真っ先に思いつくのは「シー・サーペント」ですね。あとは「ニンゲン」や「オゴポゴ」、他には「ムケールなんとか」くらいしか浮かびませんね。

皆神さん モケーレ・ムベンベですね。これは、アフリカのコンゴ共和国の沼地にいるとされる怪物で、海のUMAではありません。オゴポゴもまた、カナダの湖に生息するという淡水性のUMAですよ。

――海のUMAで有名なのは本当に少ないのですね……。

有名な海のUMA「シー・サーペント」は蜃気楼(しんきろう)?

――シーサーペントなどは非常に有名ですが、いる可能性は高いのでしょうか?

皆神さん シー・サーペントというのは「七つの海を股に掛け……」なんて古い時代から「大きな海ヘビを見た!」という話が残っているくらい、多くの目撃例がある歴史と伝統のあるUMAです。しかし、ここ100年ほどはほとんど目撃例がありません。海洋技術が発達し、昔よりもはるかに多くの船が航行しているはずなのに、目撃したという話がほとんど出なくなったんです。

――海に出る人が増えているわけですし、目撃する確率は上がるはずですよね。

皆神さん カナダ・マニトバ大学のバルダマー・リーン教授らがこのことについて論文を発表しています。論文では、シー・サーペントの正体は「蜃気楼」なのではないかということなんです。蜃気楼によって、水面から首を出したセイウチやシャチなどの首が縦に伸びて見え、それが長い蛇に間違われたのではないかと……。

――なるほど。それを怪物だと見間違えたというのですね。では、なぜ近年になって目撃例がなくなったのでしょう?

皆神さん 蜃気楼によって、海上の動物などが縦に伸びて見える現象は、海面ぎりぎりの低い位置から見ないと起こらないんです。昔の船は、甲板が低かったので、こうした現象を見ることができました。ですが、現在は船舶が大型化し、甲板が非常に高い位置にあるため海上の蜃気楼が見えなくなった……というのがリーン教授らの仮説です。

――なるほど。その仮説は面白いですね!

皆神さん ただ、この説明では、現象が縦方向にしか伸びません。海ヘビは泳ぐとき、だいたい横方向から見ますよね。横に長く伸びて見えるような現象があればいいんですが、それがないのがこの仮説の最大の弱点な気がしています。

――他の海のUMAについてはどうでしょうか?

皆神さん 目撃例があったとしても、要素や情報が少なすぎてなんとも言えないというものがほとんどです。

――インターネット上で目にする「ニンゲン」あるいは「ヒトガタ」という人間に近いフォルムのUMAもいますが……。

皆神さん 「ヒトガタ」とか「ニンゲン」って、ほとんどネットの中だけにしかいないんじゃないですか。例えば、有名なネッシーなどは、本物かどうかはともかくとして、写真や動画が山ほどあります。写真も動画も、誰がいつどこで撮影したか分かっているものが、ほとんどです。しかし、「ヒトガタ」については、誰がどこでいつ、どうやって撮影したのかはっきりとした情報のある写真は、一枚も見たことがありません。

――いるかもしれないという「証拠」すらないのですね。

皆神さん しかも、ネットにある写真は、大抵「南氷洋の水中」での撮影ですよね。誰がいつ、どこに潜って撮影したんだよ、と突っ込みたくなる映像ばかりです。ネットの中だけで増殖している面白半分のUMAです。

――海にはどんな生物がいるか分からないだけに、そうしたあやふやなUMAの情報も広まってしまうのでしょうね。

湖や川に比べると圧倒的に有名なものが少ない海のUMA。シーサーペントの仮説のように、科学技術の発達で「UMAに見える現象が起きなくなった」のでしょうか。もしかしたら、誰にも見つからない深海にたくさん潜んでいるのかもしれませんね……。

(貫井康徳@dcp)

※この記事は2013年10月20日に公開されたものです

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