あなたにもできるトランプマジック―相手が引いた2枚のカードを当てる

ゲームや手品に欠かせないトランプ。合コンで手品を披露すれば、場が盛り上がること間違いなしだ。
【感染力はインフルエンザの2倍!風しんにかかりやすいのは子供<大人】
簡単な計算結果を伝えただけで、選んだカードを言い当てる手品はトリックなのか?和と差が判れば2つの数は容易に逆算できる。トリックと言いたいところだが、じつは小学校で習った和差算を使っているだけなのだ。
カードはすでにバレている?
簡単なカードあてクイズを紹介しよう。用意するのは0~9が書かれた10枚のカードだ。トランプを使うならJ(ジャック)をゼロに見立てても良い。ここから好きなカードを2枚選んでもらい、出題者であるあなたはそれを見ないで言い当てるクイズだ。
出題者にカードを見せない代わりに、選んだ人は以下の手順でヒントを伝える。
1. 2枚のカードで作れる(大きい数)-(小さい数)を求める
2. 1.の答えを9で割り、その結果を伝える
3. (大きい数)+(小さい数)を求める
4. 3.の答えを11で割り、その結果を伝える
2.と4.の2つだけの情報から、選んだカードを当てれば出題者の勝ちだが、本当にできるのか?
結論はYesだ。2./4.の順にヒントが4と12ならカードは「4」と「8」、7と11なら「2」と「9」が選ばれたカードになる。本当かどうか試してみよう。
まず4と8で試してみると、組み合わせは84と48なので、引き算すると36、それを9で割ると確かに4になる。同様に2と9も計算すると、(92-29)÷9=63÷9=7となる。この計算で求められた4や7は、2つのカードの差を表しているのだ。
数字で記すと分かりにくいので、選んだカードをaとbに置き換えてみよう。a/b2枚のカードの組み合わせは、
・a×10+b
・b×10+a
となり、これではどちらが大きいか分からないが、92-29は63、29-92なら-63と正負が変わるだけで数値は変わらないのでこのまま計算すると、
・(a×10+b)-(b×10+a)=(a×10-a)+(b-b×10)=9a-9b
9で割ればa-bをおこなったのに等しい。つまり、a/bにどのような数を当てはめても、必ず差が求められるのだ。
複雑に見せるのがポイント

ただし、差だけでは2枚のカードが何かまでは分からない。9と5、2と6でも、差は4になるので、これだけでは4と8にはたどり着けない。そこで4.で求めた数を使うのだが、これもaとbに置き換えてみると、
・(a×10+b)+(b×10+a)=11a+11b
になるので、11で割ると結果はa+bとなる。勘の良いひとはお気づきだろうが、÷9と÷11で複雑に思える反面、じつは仕組まれた計算なのだ。そのため割り切れずに余りが生じることは絶対にない。
差が4、和が12までわかれば、あとは単純な計算だけで2つの数を求められる。
・差 … a-b
・和 … a+b
を足し算すると、(a-b)+(a+b)=a×2となるので、2で割ればカードaの数字が判明する。これを和から引けばbもすぐに求められる。和が11、差が7となら、大きい数は(11+7)÷2=9、小さい数は9-7=2で、先の例の答えは確かに2と9だ。
和や差が同じ組み合わせは他にもあるのに、なぜ正確に当てることができるのか?例えば3と9でも5と7でも和は12になるし、差が2なら0と2や6と4でも成立する。
ポイントは、和と差の両方を使っている点だ。かりに和が8、差が4だとすると、
・和 … 0―8 1-7 2―6 3―5
・差 … 0―4 1―5 2―6 3―7 4―8 5―9
と、それぞれ4/6通りあるので、さらに絞り込めなくなってしまいそうだが、和と差は別々に決まるものではないので、4×6=24通りにはならない。(和=8)かつ(差=4)の2つの条件をクリアできるのは、ご覧の通り2と6の組み合わせしかない。
まとめると、
・÷9、÷11は複雑そうに見せかけているだけ
・和と差が分かれば、2つの数は逆算できる
計算方法は異なるが、3ケタでも可能なので、興味のある方は試していただきたい。
まとめ
カードを使った手品にみえるものの、種明かしをすれば小学校で習う和差算だ。
ただし算数だとネタを明かすのも興冷めだから、「あなたの考えがわかるんだ」的な話にしておこう。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2013年12月02日に公開されたものです