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「なぜか自分の卵を蹴り出す」「鼻から塩水を飛ばす」ペンギンの習性のアレコレ

水族館で1、2を争うほど人気なのがペンギン。愛らしい姿やしぐさにはつい「萌え」てしまうのではないでしょうか。さて、そのペンギンですが、実は近眼という説があるそうです。これは本当なのでしょうか? 長崎ペンギン水族館のペンギン飼育担当・田崎智さんに、ペンギンの生態について聞いてみました。

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ペンギンの目は実はよく見えている

――ペンギンは「近眼」という話を聞いたことがあるのですが、これは本当なのでしょうか?

田崎さん 以前は近眼であるといわれていましたが、水中と陸上のどちらでもしっかりとした視覚があると分かってきました。

――近眼ではなかったのですね。

田崎さん 人間の視界は水中に入るとぼやけてしまいます。これは、空気中と水中では光の屈折率が違うためです。ペンギンは水晶体の厚さを変えることにより、空気中と水中のどちらでもよく見えています。ペンギンの目は水陸両用です。

――人間よりも優れた目を持っているのですね。他にも、ペンギンは仲間の動きをまねて動くという話がありますが、これはどうなのでしょうか?

田崎さん ペンギンは群れで生活をしているため、他の個体に付いて歩いたり、海に飛び込んだりということはあります。その様子から、仲間の動きをまねると捉えられているのではないでしょうか。

――一列で移動しているときに、先頭のペンギンがこけたら後続のペンギンもまねをしてこけるということはないのですか?

田崎さん 前のペンギンが止まれば、後ろも止まることはありますが、先頭が転んだら後ろもまねして転ぶということは、飼育下のペンギンでは見たことがありませんね。

なぜか卵を蹴り出すマカロニペンギン

――ペンギンの変わった習性はありますか?

田崎さん マカロニペンギンやロイヤルペンギン、シュレーターペンギンなど、マカロニペンギン属は、自分の卵を巣から蹴り出すことがあります。

――大切な卵を蹴り出してしまうのですか……。

田崎さん マカロニペンギン属は卵を2つ産みますが、そのうち小さい方の1卵目を蹴り出します。しかし、全ての個体が蹴り出すかというと、そうではなく、2つとも温める場合もあるそうです。また、蹴り出す理由はまだはっきりと分かっていないのです。

――気に入らない卵があるのでしょうか……不思議ですね。他にはどんな習性がありますか?

田崎さん 海鳥であるペンギンは、海水から水分補給をします。不要な塩分は腎臓でこし取られて排出されますが、それでも間に合わない分は目の上にある塩類腺という器官でこし取って排出します。

――ペンギンは目の近くにそんな器官があるのですね。

田崎さん 塩類腺でこし取られた塩分は鼻の穴(鼻孔)から出します。ペンギンは時折、左右に顔を振る動作をしますが、これは塩類腺でこして鼻孔に流れて来た塩水を飛ばしているのです。

――塩水を鼻から出していたのですね。

顔を左右にブルブルと振るかわいらしいしぐさが、実は鼻から塩水を飛ばしているというのは驚きでした。これから水族館でペンギンを見る際は、そのあたりに注目してみてはどうでしょうか?

長崎ペンギン水族館HP
⇒http://penguin-aqua.jp/

(貫井康徳@dcp)

※この記事は2013年11月27日に公開されたものです

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