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においで恋愛を成功させるには?「デート時濃度を変えず香水をつける」ただし……

おしゃれの一つとして欠かせない香り。さわやか、セクシーなどさまざまなイメージをかもし出すだけでなく、以前紹介したようにパートナー選びの決め手となる大事な役割も果たしている。

【汗、香水、焼肉臭…… 働く女子が気になる「職場のにおい問題」】

日常にあふれている「におい」は、脳に大量の血液を流して活発化させる役割を果たす。においがきっかけで昔の思い出が鮮明によみがえるプルースト効果など、脳をダイレクトに刺激する不思議な物質なのだ。

脳は「におい」で活性化する?

人間がなにかを感じる方法は、目(視覚)、耳(聴覚)、肌(触覚)、舌(味覚)、鼻(臭覚)の5つがあり、これらをまとめて五感と呼ぶ。

感じ取れるおもな要素を挙げると、

・目 … 明るさ、色(三原色)

・耳 … 大きさ、高さ、音色

・肌 … 温度、痛さ、圧力

・舌 … 甘い、酸っぱい、苦い、しょっぱい、うまみ

と、ある程度に限定できるのに対し、鼻は刺激臭、生臭い、香ばしいなど、表現することばに尽きない。味の要素は5種類に限られるので、味覚の鋭い人が訓練すれば「塩が足りない」などと分析も可能だろうが、においはかぎ分けられたとしても、それを言葉で表現するのも困難なほど複雑だ。

においはなぜ複雑なのか? 5つの要素から成り立つ味は、それぞれ「ある」「なし」だけで混ぜると32通りの味しか作れない。それぞれの量を16段階で変化させても100万通りしか表現できないのも、材料が5種類しかないことに尽きる。

対して人間の嗅覚受容体の遺伝子はおよそ350種類もあり、つまりは350種類のにおいセンサーを持っているため、かぎ分けられるにおいは1万種類にも及ぶ。この莫大な種類のにおいは、あまりに情報量が多いため「におい地図」とも呼ばれるマップを描きながら脳に記録されていくのだ。

おもしろいのは、においは強さが変わるだけでも、別物として識別されることだ。塩を入れ過ぎた味噌汁は「しょっぱい味噌汁」と表現されるのに対し、においでは別の食べ物として扱われる。

記録量も当然増えるので、においをかぐたびに広大な「におい地図」から記録を見つけるために、脳は活動を激しく高める。ラットの実験でも脳の血流増加がみられ、つまりにおいは頭の体操につながるので、ボケ防止はもちろんのこと、あたまを良くする作用もあるのだ。

においでよみがえる思い出

においがきっかけで、昔の記憶が鮮明に戻った経験があるだろう。同じコロンをかいだとたん、前カレと遊びに行った海岸の夕陽を思い出したなど、よく聞く話だ。これはプルースト効果と呼ばれ、フランスの作家マルセル・プルーストにちなんで名づけられた現象だ。

においと思い出って関係あるの?って思うのも当然だが、どちらも記憶なのだから当然と言えよう。さらに、においは単なる記録としてだけでなく、脳のさまざまな部分を刺激している。

これは、料理のにおいをかいだら腹が鳴った、嫌いなにおいで食欲が失せるなどは誰もが体験しているはずだ。レモン精油のにおいをかいだラットは副交感神経の働きが抑えられたとの実験結果もあるので、言葉をしゃべるラットなら「気持ちいい!」と爽快感を伝えてくれたに違いない。

においで恋愛を成功させるなら、

・イベントがある日は必ず香水をつける … においと記憶を関連づける

・香水の濃さは変えない … 違うにおいとして識別されるため

さらには、自分が怒っている、喜んでいるなど、感情に合わせてにおいを変えれば、やがて言葉で伝えるまでもなく、プルースト効果でメッセージが伝えられるようになるだろう。

ただし、これが成功しても彼はパブロフの犬と変わりない。条件反射の愛では、少々さびしい気がする。

まとめ

嗅覚はもっともマヒしやすく、同じにおいが続くとすぐに慣れてしまう。普段、自分のにおいを感じないのは、からだに異変が起きたらすぐに気づくように、嗅覚をマヒさせない工夫と考えられている。

逆に、自分のにおいを感じたときは、体調不良はほぼ確実だ。香水でにおいを上塗りするとさらにクサく感じるので、ごまかさずに不調の原因を調べよう。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2013年09月22日に公開されたものです

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