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川口名人に聞いた!ガンプラ最前線「Ver.3.0は究極のガンダム」

川口克己さん

株式会社バンダイ ホビー事業部マーケティングチームの川口克己さんにお話を伺いました。川口さんはガンプラの黎明期から製品に関わった「マイスター」であり、業界では「川口名人」として知られています。

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――先日発売されたVer.3.0のガンプラですが、これはどのようなものなのでしょうか?

●……『MG 1/100 RX-78-2 ガンダムVer.3.0』が8月10日に発売。

川口名人 バンダイが現在の時点で持てる技術を全てつぎ込んで製作した、究極のモデルといっていいと思います。

――理想とするところは何なのでしょうか。

川口名人 5年前に開発された「Ver.2.0」は、アニメらしいフォルムにこだわって作られたものでした。しかし、このVer.3.0は現在お台場に展示されている「実物大ガンダム」が実際に動き出したらどういうものになるだろう、ということに主眼を置いています。

つまり実在感のあるもの、あのガンダムを本物であるとして、モデルとして再現することを目指しているのです。その上で、可動部分の自由度を高め、現在の視線で解釈を盛り込んだ「究極のガンダム」がVer.3.0なのです。

ガンプラ進化の3つのポイント

――ガンプラの歴史はすでに30年を超えましたが、その進化の歴史の中で、エポックメイキングな技術革新とはどんなものがあったのでしょうか。

川口名人 プロダクトとしては、大きく3つの技術革新があったといえるでしょう。

●多色成形技術
●スナップフィットの技術
●可動部分の追求

――それぞれどのようなものでしょうか?

川口名人 多色成形技術。これは、塗装できない、あるいは色を塗るのが苦手という人にでもプラモデル作りを楽しんでもらおうと、導入、開発されたものです。製品そのものがパーツごとに設定色で色分けされています。

キットを組み上げるだけで、基本的な色が再現されたモデルが出来上がるわけです。

――必要な色を別に買ってきて、ということをしなくてもいいので便利ですね。

川口名人 はい。次の「スナップフィット」は「接着剤なし」で作れるように、パーツをはめ込み式にしたことですね。ひと昔前は、プラモデルには接着剤がつきものでした。しかし、スナップフィットにしたことで、より簡便にプラモデル作りを楽しめるようになりました。

――接着剤の臭いが嫌だという人もいるでしょうね。

川口名人 特に親御さんの心配がありますね。親御さんが子供たちに安心して与えられるようにという意味もあります。

――可動部分の追求というのは?

川口名人 お台場ガンダムをモデルにしているとはいえ、2次元のアニメの世界のキャラクターを3Dに起こしたものですから、ポーズをとらせたときなどは映像で見たガンダムと比べると、やはり違うものであったり、違和感が生じたりします。それをいかにクリアしていくか、なのです。

ガンダムの中でも名シーンとされているものを、どんなアングルから見ても違和感なく再現できるかといった点ですね。ガンプラを作って飾る上では重要な点になります。関節、可動部分が柔軟に動かないとそれはできません。ですから、可動部分をいかに表現するかはガンプラにとって大きな問題なのです。そこには「解釈」も入ってきます。

――「解釈」ですか?

川口名人 はい。例えば、ガンダムの膝を曲げますよね。そうするとポコッと穴が開いて見えたりすると興ざめではないですか? そこには、内部のフレームが見えるとか、装甲がズレてそこをカバーするとか、そういった部分を付加することは「解釈」の部分です。解釈を実際の物にすることで、リアリティーが向上し、またユーザーの方に納得いただける製品になると思います。

――なるほど。Ver.3.0でもそういった解釈の部分は反映されているのでしょうか。

川口名人 はい。33年のノウハウが注ぎ込まれていますから(笑)。最新のガンプラということでご紹介させていただきましたが、説明書に従い組み立てていただければ、人によって要する時間は異なりますが確実に完成させることができる。それが現在のガンプラなんです。

いかがだったでしょうか。ガンプラはこれからも進化を続け、35周年、40周年と歴史を刻んでいくでしょう。

10月からはテレビ東京系列でアニメ『ガンダムビルドファイターズ』が始まりますし、また新たなガンプラユーザーが増えるのではないでしょうか。

(高橋モータース@dcp)

※この記事は2013年09月19日に公開されたものです

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