ラノベ作家が地下アイドルを直撃!謎多き「地下アイドル」の実態に迫る!
皆さんは「地下アイドル」という職業をご存じだろうか?ライブハウスななどで活動し「ライブアイドル」とも呼ばれるインディーズのアイドルである。AKB48やももいろクローバーZなどメジャーシーンで活躍するアイドルとは一線を画す存在である。
地下アイドルがメディアに登場する事は極めてまれであり、活動は謎に包まれている。そんな地下アイドルの実態を解明すべく、都内ライブハウスを中心にフリーで活躍する地下アイドル・福井うららをライトノベル作家・川岸殴魚が秋葉原で直撃、インタビューを敢行した。
――はじめまして。川岸です。早速ですが福井さんがアイドル活動をはじめたきっかけについて聞かせてください。
私のブログを見た事務所の方から、撮影会のモデルをやりませんか?と誘われたのが最初です。撮影会の流れでライブで歌うことになったんですよ。
――事務所って、ちゃんとした芸能事務所なんですか?
いえ。あやしい事務所でした。
――(あやしいのかよ!正直にその当時の事を語ってくれるうららさん。非常に冷静な方のようだ)そのあやしい事務所では、あやしいことはさせられなかったですか?
まったくなかったです。むしろ仕事を振られなくてウォーキングのレッスンとかでレッスン料だけ取られました……。
――(お金だけ取られちゃう系の怪しい事務所だったようだ……)現在はフリーで活動されているとの事ですが、フリーの意義についてどうお考えでしょうか。
事務所に入っても自分だけを見てもらうのは難しいですし、やっぱりお金にならないと動いてくれないんですよね。自分が自分のために頑張るしかないと思ってフリーで活動しています。縛りがなく自由にやれるのも大きいですね。最近はフリーでやる子も多いんですよ。
――ご自身で自分をプロデュースするのは難しくないですか?
自分はほとんど素でやってるので大丈夫です。年齢は公表してないですけど……。
――去年9月に発売されたファーストシングル「魔法の言葉~D・A・I・J・Y・O・U・B・U~」を発売されていますが。売れ行きはいかがですか?
プレスした250枚は完売しました。その後追加した分も含めると300枚近く売れています。
――音楽CDが売れない時代といわれる中で、素晴らしいですね。CDに特典などは付けたりしているんですか?
気持ち程度の感じでポストカードは付けてるんですが、それぐらいですね。一人の方に多く買っていただくよりも、なるべく多くの人に聞いてほしいです。あとフリーでやっていて、金にあざといみたいみたいになっちゃうとアレですので。
――(なるほど……。自分で複数買いを勧めるのはたしかに難しそうだ。事務所に入ってないと汚れ役がいない面でも大変なようだ。それにしても手売りに近い状態で300枚はなかなかすごいようにも思える。僕がCDを作っても母親ですら買ってくれないだろう)CDを300枚売ればそれなりに収入にもなるのではないですか?
普段はアルバイトもしているのですが、CDの発売直後はアルバイトするよりはお金になったこともありました。ライブでも少しは収入になりますね。
――そのお金で、何か買ったり遊びに行ったりしましたか?
あんまり遊びに行ったりしないんです。人見知りをするのであんまり友達もいないですね。
――子供のころは目立つ感じではなかったのですか?
小学校までは誰とでも話せたんですけど、中学校に入ってからはアニメと漫画が好きになって、その仲間と一緒にいるようになりました。目立つ存在ではなかったと思います。
――地下他のアイドルの方とは仲いいですか?
あまりお話をするのが得意ではないので……。口下手で……。
――(なんだかしんみりした話になってしまった……。しかし人見知りで目立った存在ではなかった女子がどうして地下アイドルとして活動する事になったのだろうか?)地下アイドルとしての活動。そのやりがいの部分をお聞かせ願えれば。
ただ歌いたいだけなら、カラオケに行けばいいだけなんですけど……。やっぱりライブで歌って、ファンの方に「いいね」と言ってもらえたり褒めてもらえるのがうれしくて。それがやりがいだと思います
――(福井うららさんにとっては歌は自分の存在を肯定できる存在証明のようなものなのかもしれない)今後の目標は?
同人誌の音楽バージョン、同人音楽をやっていきたいと思ってます。そこから、いずれはゲームの歌とか仕事を広げていきたいです。
――最後に、ファンへのメッセージをお願いします。
末永く仲良くしていただきたいです。お金を払ってライブに来てくれることは本当に嬉しいです。どうしたら自分にから返しできるかいつも考えているんですけど、やっぱり、自分がもっとステップアップすることを応援してくれていると思うので、そんな姿を見せられるように頑張りたいです。
地下アイドル・福井うららさんと秋葉原で話し、冷静かつ真摯(しんし)でストイックな印象を受けたインタビューから一週間後。私、川岸は六本木「Bee-Hive」で行われた福井うらら初ワンマンライブに訪れた。
この日はセカンドシングル「Charm of spring~桜色のきもち。~」の発売日でもあった。観客は四十名ほどと決して多くはないが、それぞれが非常に熱狂的だ。誰が先導するわけでもなく曲にあわせ、一糸乱れぬコールとMIX(タイガー、ファイヤー、サイバー……っていうあれです)を絶叫。
アップテンポの曲ではステージの前面に一気に集合。バラードになると離散を繰り返しすファンの方々。少数ではあるが非常に訓練されている。おそらく古代ギリシャのスパルタ兵もこんな感じだったろう。……いや違うか。とにかく約2時間半のライブは熱狂のうちに幕を閉じた。
(インタビュー・文/川岸殴魚 構成/オフィス本折)
※この記事は2013年06月28日に公開されたものです