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結納って面倒くさそうだけど……やったほうがいいの?「今は略式結納が主流」

結婚式をしないカップルが増えているとか。挙式と同時に廃れてきている風習が「結納」です。面倒なことが減ってうれしい反面、人生で一度のイベントだから楽しむのもありかも、という気持ちもあります。そこで、専門家に、現代礼法研究所の代表、マナーデザイナーの岩下宣子先生に、結納について教えてもらいました。

●今は略式結納が主流

――結納は、なんだか面倒な気がしてしまいます。結婚する場合は、結納をしたほうがよいのでしょうか?

「古来の行事ではありますが、ご本人たちと周りの方の気持ちでよいと思いますよ。今は、結納の儀式を執り行うにしても、かつての結納を簡略した『略式結納』を選択される方が多いです」

――略式結納とは何ですか?

「正式な結納では、男女双方が結納品を用意。仲人が使者として受け渡しのために両家を行き来しながら、少しずつ両家の契りを結んでいきます。一方、略式結納では、新婦宅、あるいはホテルなど、仲人さんも含めて同じ場所に集まり、一挙に儀式を執り行います」

――略式結納は、両家のお食事会という意味なのでしょうか?

「いいえ、違います。結納では、両家を結びつけ、長寿や健康、子孫繁栄などを願うような縁起物である結納品を交換。そして、ご存じのとおり、男性から女性に結納金を渡します。最近は両家のお食事会(顔合わせ会)のみで、略式結納を交わさないケースも多いですよね」

●結納品には、言霊がたっぷり

――結納で、気をつけたほうがよいことはありますか?

「両家が洋服の格を合わせることです。また、縁起物については、女性が相手を立てて、男性より少し少なくしたほうがよいという考え方もあります。事前に相談するとよいでしょう」

――どのような縁起物を交換するのですか?

「地域にもよるのですが、関東では、長熨斗(ながのし)、末広(すえひろ)、友白髪(ともしらが)、子生婦(こんぶ)、寿留女(するめ)、勝男節(かつおぶし)、家内喜多留(やなぎたる)、それに結納金および結納返しの金包(きんぽう)、結納品を示した目録の9品が基本です」

――なんだか、漢字も読み方も難しいですね。

「日本は、言葉にはパワーが宿ると考えている言霊の国ですから、一つひとつに意味や願いが込められているのです。例えば、子生婦(こんぶ)は昆布のこと。昆布は生命力が強く繁栄することから、子宝に恵まれ子孫繁栄を願う気持ちが、漢字の選択も併せて込められています」

●結納品は、地域によって異なる

――結納品には地域差があるのですか?

「はい。地域によって異なります。例えば、関西では『高砂人形(たかさご)』と呼ばれる人形も贈るんですよ。また、九州では、茶壷を送る風習があるところもあるんですよ」

――いろいろなのですね。結納金の相場っていぐらぐらいなのですか?

「昔は給料の3カ月分と言われていましたが、今はお互いの状況によるようです。関東では『半返し』といって、男性からもらった半額程度を女性がお返しとして送ります。一方、関西では男性からもらった1割程度を後日、お土産という形で男性側の親族に返します。

ちなみに、万が一、結婚前に婚約が解消されたときは、お互いの結納品を返します。ただし、婚約解消の理由によっては、結納金が慰謝料となることもあります」

結納の縁起物に意味があるのが興味深かったです。堅苦しいイメージがあったのですが、思い出として執り行うのも楽しいのかもしれませんね。岩下先生、どうもありがとうございました。

取材協力:マナーデザイナー 岩下宣子先生
現代礼法研究所 代表 http://www.gendai-reihou.com/
NPOマナー教育サポート協会 理事長 http://www.e-manners.org/
結納・結婚しきたり事典(日本文芸社、2008年)他、多数の著書がある。

(OFFICE-SANGA 臼村さおり)

※この記事は2013年06月13日に公開されたものです

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