文房具のヒット作ってどんなものがある?
毎年、多数の文房具の新製品が開発されているのをご存じでしょうか。これら新製品の中には、ヒットするもの、残念ながら市場に受け入れられず消えていくものがあります。では、文房具のヒット作にはどのようなものがあるのでしょうか。日本の文房具メーカー大手のコクヨS&T株式会社ECM部の伊藤裕美さんにお話を伺いました。
――コクヨさんの製品で「これはヒット作だ!」と思われる商品はどのようなものがありますか?
伊藤さん ロングセラーのヒット商品としては1959年発売の『測量野帳』(そくりょうやちょう)や1975年発売の『キャンパスノート』などがあります。
●『測量野帳』
測量士に向けて作られたノート。水や汚れに強い合成紙タイプもあります。
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/levelbook/spec.html
●『キャンパスノート』
定番ノートとしてコンビニ、文房具屋さんで広く販売されています。
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/campus/top2.html
――キャンパスノートはそんな古くからあるんですね。このロングセラー商品はなぜヒットしたのでしょうか?
伊藤さん 測量野帳は、もともと測量士向けに開発された商品ですが、立ったままの筆記に最適な硬い表紙や、ポケットに収まるサイズなどの特徴から、発売当初から一般の方にも使いやすいメモ帳として受け入れられています。
キャンパスノートは、書きやすく丈夫な無線とじ、書き味に優れた筆記用紙、ベーシックで飽きのこないデザインなど、お客さまの使いやすさに徹底的にこだわって刷新し続けてきたからだと思われます。
――長い間愛されている製品にはやはり理由があるんですね。最近のヒット作ではどのようなものがありますか?
伊藤さん 2005年発売の『ドットライナー』、2006年発売の『ネオクリッツ』、2009年発売の『ハリナックス』などでしょうか。
●『ドットライナー』
テープ状の「のり」。のり面がドットになっているので、のり付け作業がスムーズ。
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/dotliner/
●『ネオクリッツ』
ペンスタンドにもなるペンケース。化粧ポーチにもなるので女性にも人気。
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/neo-critz/
●『ハリナックス』
針なしで使える新世代のステープラーです。
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/sl-stapler/
――ヒットした理由をどう考えていますか?
伊藤さん ドットライナーは「のり」がドット(=点)状に粘着することで、のり切れの良さと高い粘着性、手軽に美しくのり付けができることから好評をいただいています。
ネオクリッツは「中身が一目で分かり、取り出しやすい」「狭いスペースでも置くことができる」「ペン立てをそのままペンケースとして持ち運べる」という機能性が受け入れられています。こうした特徴から、ペンケースとしてはもちろん、化粧ポーチなどとしても活用いただいています。
ハリナックスは従来の「ホチキス」とは異なり、針がなくてもとじられるステープラーです。針がない「安心」、針を補充したり廃棄の際に分別する手間がない「効率」という、直接的なメリットに加え、使うことでいつの間にか「環境」にも貢献できる点ですね。
――文房具商品の開発の難しさとはどんな点にあるでしょうか?
伊藤さん 数多くある文房具の中から、弊社の商品を選んでいただくためには差別化することが重要です。しかしながら、差別化しすぎるとニッチな商品になってしまい、ビジネスとして成り立たなくなってしまうのも事実です。
いかにほかと差別化しながら、多くの人に受け入れられるようにするかのバランスが商品開発の難しさの一つにあります。
――日本の文房具は世界でも非常に評判が良いのですが、その理由はどんな点にあると思われますか?
伊藤さん 日本の文房具は、ノート一つ取っても、書き心地によって選べる紙や、用途によって使い分けられるケイ線などその種類は豊富です。
日本人ならではの「こだわり」の詰まった品質・機能性の高さに、海外の方は驚かれるのではないでしょうか。
――コクヨさんの製品で直近のお薦め商品がありましたらお教えください。
伊藤さん そうですね。『ノビータα』はいかがでしょうか。従来のクリアブックは、ポケットの抜き差しができない「固定式」と、ポケット1枚ずつの抜き差しが可能な「替紙式」の2種類でした。
このノビータαは、ポケット1枚ずつではなく、ファイル1冊ずつの出し入れを可能にした新しい形式の「追加式」のクリアブックです。用途に合わせて自分仕様のクリアブックを作ることができます。
●『ノビータα』
新世代のクリアブック
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/clearbook/novita/novita-a.html
ロングセラーの文房具は何十年にもわたって顧客に使われ続けるんですね。皆さんは文房具にこだわりはありますか?
(高橋モータース@dcp)
※この記事は2013年05月10日に公開されたものです