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大規模調査により、福島県内の内部被曝が予想よりも低いことが判明

東京大学大学院 理学系研究科物理学専攻教授 早野龍五氏らのグループは、福島第一原発事故後、福島県平田村の「ひらた中央病院」に設置された「ホールボディーカウンター(WBC)」を用いて、32,811人の内部被ばく調査を実施した。その結果、福島県内の放射性セシウムによる土壌汚染度に、チェルノブイリ事故後の知見を当てはめて予想した値よりも、福島県内の内部被ばくが低いことが明らかになった。調査期間は2011年10月~2012年11月まで。

これまで、福島市、郡山市などの汚染度を、チェルノブイリ事故の知見に当てはめた場合、食品由来の内部被ばくは年間5ミリシーベルト(5mSv/年)を超えると予想されていた。

今回同グループが行った調査によると、2012年春までは初期被ばくの影響が見られたが、2012年春以降の放射性セシウム検出率は低く、特に子ども(15歳以下)については、2012年5月以降の検出率は0.0%。全体でも、セシウム検出率は1%程度だったという。

●サンプリングバイアスが無い測定を実施

同県がホームページで毎月発表している、WBCを用いた内部被ばく検査の結果によれば、これまでに検査を受診した106,096人のうち、実効線量が1ミリシーベルト(1mSv)を超えた人は26名。

これは、同県内の平均的な内部被ばくが低いことを示唆していたものの、公表データは、実効線量1ミリシーベルト(1mSv)刻みの人数統計を示すのみであり、被検者の大多数が属する「1ミリシーベルト(1mSv)未満」中の分布は不明だった。

そこで、同グループでは、同県三春町において小中学生全員を測定。その結果、2012年秋の段階で、検出限界を超える放射性セシウムが検出された児童生徒数はいなかった。

このことから、?福島の内部被ばくが低い?という結果は、「サンプリングバイアス」(安全そうな人ばかり測ると、実際より不当に低い数値が出てしまうこと)によるものではないことが、初めて示されたという。

●ホールボディーカウンター(WBC)とは

体内に取り込まれた放射性物質(現在の福島県内では放射性セシウム)が崩壊する際に放出する「ガンマ線」を検出することにより、体内の放射性物質の量を推定するための装置。

※この記事は2013年04月12日に公開されたものです

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