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結婚式は「贅沢品」なのか? 貯金なしアラサーが結婚式挙げてみたら……

コラム

久留米あぽろ

近年、結婚しても結婚式を挙げない「ナシ婚カップル」が増加しています。結婚式よりも指輪や新婚旅行など、実質的なものにお金をかけたい「コスパ重視」のカップルや、互いの家族仲や友人との関係に違いがあり、結婚式を避けるカップルも。

結婚式の選択肢も多様化しており、お互いの家族だけで小規模結婚式を挙げる人もいれば、フォトウェディングのみを楽しむ人も。しかし、結婚式を従来通り挙げない場合の理由として、金銭的な負担を気にする人は多いようです。

今や「贅沢品」とすら呼ばれるようになった結婚式。実際、若者にとってどのくらい「贅沢」なものなのか、この春結婚式を挙げたばかりのアラサー女子が結婚式にまつわる「お金問題」の所感をまとめました。

結婚式に相場は「ほぼない」!?

まず、結婚式を挙げるかどうか、挙げることができるかどうかを悩むために、情報収集をする必要があります。しかしまだ大きな買い物をしたことがない、賃貸住まいのカップルからすると、結婚式の見積もりの多様さ、相場感の分からなさに驚かされるのではないかと思います。

まず、費用感を探ろうと思っても、結婚情報誌の見積もり例はほとんど参考になりません。結婚式の見積もりは、日取りや季節、ゲストの人数、料理のランクなどで複合的に決まります。同じランクの式を挙げるとしても、仏滅か大安かで料金に大きな差が出る場合も。結婚情報サイトの中には、実際に挙式を挙げた人の見積もりを参照できるものもありますが、同じ式場に頼むとしても、見積もりが全く同じになるとは限らないのです。

もちろん、選ぶ式場によって「全体的にコスパのいい式場」「豪華で高価な式場」もあります。情報サイトを見ていると、安い見積もりは100万円以下のものから、高い人だと700万円以上の見積もりを公開している人も。

どれだけお金をかけたいかは人それぞれといってしまうと、相場感と言えるようなものがほとんど存在しないことになり、混乱します。

しかも、実際に自分たちの希望する日程で見積もりを取るためには、式場に行ってプランナーの接客を受ける必要があります。人生で初めての高い買い物なので、しっかり見た方がいいだろうとは思いつつも、検討する式場が多ければ、1〜2カ月は休日が式場見学で潰れます。

また、実際の支払い金額は、結局「何人呼んで、ご祝儀を誰からいくらもらうのか」によって変わってきます。

親戚の人数を数えたり、なんとなく呼びたいゲストの人数を数えておくくらいはできますが、結局は直前になってみないと人数は確定しません。親戚がどのくらいの額を包んでくれるのかも、把握することは難しいでしょう。

結局、私の場合は式の内容やドレスなどにかかる金額、来るゲストの数がだいたい確定する式の1カ月前まで、いくらかかるのかを把握し切ることはできませんでした。貯金をしっかりしている二人ならいざ知らず、そうでない人は不安を覚えるはず……。

「贅沢した感」「節約した感」の明暗……価値観が如実に表れる瞬間の連続

相場感が分からないとなると「なるべく贅沢しすぎないようにしよう」と構えるものですが、そうもいかないのが結婚式。華美で豪華な式場には建物の豪華さ、便利さに加えて、歴史の長さなどクオリティの保証がある場合が多く、安い式場には立地やプランナーの質など、それなりの「理由」があるんだな、というのが、式場見学を繰り返してみての感想です。

ただ、高ければ高いほどいいとは限らないのも真実。式場のコンセプトや提携のドレスショップなど、自分の理想とする結婚式とのマッチング率を冷静に考える必要があります。

ほとんどの人は自分の人生で「自分が主役の会!」を自分で主催したことはないと思いますし、もはや「自分ってなんなんだ? なぜ結婚式を挙げたいんだ?」くらい掘り下げて考えないと決定できないくらい、世の中にはたくさんの結婚式場が存在しています。

いざ式場が決まっても、結婚式の見積もり確定までは選択の連続。何をどこにどのくらいかけるかで、同じ日取りの結婚式でも、数百万円は見積もりが変わるレベルです。特に金額に振り幅が出るのは、ゲストに出すお料理や、会場の装飾、衣装あたりでした。

どの式場も料理に明確なランクがあって、一番安い料理はシンプルだったり、肉料理がビーフでなかったりすることも。一人頭で数千円変わるので、それだけで20〜50万円は見積もりが変わります。会場の装飾も、お花の量などで見積もりが変わりますし、ドレスだってレンタル料金はかなりピンキリです。

いざ「節約しよう」と思って行動すると、めちゃめちゃ節約してる感が出るなあ、というのが個人的な感想でした。耳にタコができるほど「一生に一度のことですし」と言われますし、式場もドレスも料理も、節約しようと思うとどこか“節約結婚式感”が滲み出てくるような気がしました。

もちろん、そこから先は個人の価値観次第です。節約一択で選択していけば、100〜200万円くらいでも挙げられるのが結婚式。

ただ、呼ぶゲストたちになんて思われるんだろう……とか考え始めると、仏滅は避けたくなったり、やっぱり牛肉の入ったお料理にしたくなってくるので、結局思っていたよりも見積もり額が増えていったのが、私の結婚式でした。

数百万円で買う3時間が、自分にとってどんな価値があるか

私たちの場合、最終的な見積もりは500万円程度でした。土日の大安吉日で、お料理にはそこそここだわり、ドレスもお色直し含めて二着は借りて……なんてしていると、やっぱりこのくらいはかかるのかあ〜という感想です。

しかも途中からは結婚式ハイになってくるので「もういい、払っちまおう」という気持ちになってくるのが怖いところ。

二人で出し合うカップルが多いと思うので、自分の持ち出し金は見積もりの半額程度になると思いますが、それでも300万円くらいは貯金がないと、途中からかなり不安になってくるような気がします。

とはいえ、親戚によっては「思ったより多く」包んでくれる人もおり、見積もりから考えると思ったより口座にお金が余る……という場合もあります。

式場によっては、席次表やメニュー表などのペーパーアイテムを自分で持ち込むことができ、それが明確な節約ポイントにもなるのですが、紙類を持ち込んでも、全体の料金を考えると微々たる節約だった気がします。

じゃあ「結婚式って贅沢なのか?」という最初の疑問に立ち返ってみると、結婚後の選択肢が多様な時代であることを考えると、ある程度贅沢品であることは確かだとも感じました。しかし「挙げなければよかった」とは思わないことも、また事実であると思います。

結婚式の役割は“半生の一区切り”でもあると思います。アラサーにもなると友人関係も精査されてくるので「3万円払ってでも来たいと言ってくれる友人は誰だろう」と真剣に考えましたし、そうやって選別された精鋭の親友たちに涙を流しながら祝福される瞬間は、やはり特別な体験になりました。

家族が喜んでくれることはもちろん、地元婚でない場合、両家族同士にとっては貴重な交流の場にもなります。高い買い物であることは確かですが、唯一無二の時間になることも確かなのです。

結婚式の準備には、パートナーとの絆や相性が試される瞬間もやってくるでしょう。数時間とはいっても、数十人規模のイベントの主催のためには考えることも準備することもたくさんありますし、どの卒花の友人も「情緒が狂う瞬間があった」と語っていました。

私も、着たいドレスが似合わなかった時や数十年来の友人に欠席の連絡をもらった時には、自己肯定感が地に落ちそうにもなりました。

大変なことはたくさんある上に、お金もかかる。だけど、一生に一度の経験。そのために大枚を叩けるか……そのことを真剣に考えて、後悔がないように選択してみてください。

(久留米あぽろ)

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