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「気兼ねなく」の意味とは? ビジネスで使える敬語表現も紹介

髙橋めぐみ

相手に対して遠慮なく振舞ってほしいという意味合いで「気兼ねなく」という言葉を使うことがあります。本記事ではより深く「気兼ねなく」の意味や使い方、敬語表現などを解説していきます。

上司や取引先などに対して使うことの多い「気兼ねなく」という言葉。ビジネスシーンを中心に、さまざまな場面で使用されますが、正しく使えていますか?

今回は、相手に遠慮してほしくない時に使える言葉「気兼ねなく」の正しい使い方や敬語表現、類語、英語表現について詳しく解説していきます。

「気兼ねなく」の意味とは

「気兼ねなく」は、ビジネスシーンを中心に、相手に遠慮なく振舞ってほしい時に使われている言葉です。その詳しい意味を確認してみましょう。

「気兼ねなく」は「遠慮なく」や「気軽に」

気兼ねなくを辞書で確認すると、以下のように記されています。

きがねなく【気兼ねなく】

遠慮することなく、気軽に。「気兼ね」とは他人を気遣い遠慮するさま。手紙などで「お気兼ねなく~下さい」などの言い回しで用いることが多い。(『実用日本語表現辞典』 )

つまり「気兼ねなく」は、「気軽に振舞ってほしい」「遠慮しないで本当の思いを伝えてほしい」という心理を、丁寧な表現で伝えているのです。

話し言葉としてだけでなく、メールや手紙での書き言葉としても使用され、読み手を配慮しつつ、敬意も表すことのできる便利な表現です。

ちなみに「気兼ね」だけでは、「他人の思わくなどに気を使うこと。遠慮。」(『デジタル大辞泉』小学館)という意味になります。

「気兼ねなく」の使い方と例文

「気兼ねなく」は、さまざまな使い方があります。

ここでは「動詞と組み合わせる場合」と、「名詞と組み合わせる場合」に分けて説明していきます。例文を見ながら、「気兼ねなく」の使い方を確認しましょう。

動詞と組み合わせる場合


「気兼ねなく」は動詞と組み合わせて使うことが多いです。

「気兼ねなく」に動詞「〜する」という形を合わせて使用すれば、「遠慮なく〜する」「気軽に〜する」という意味になります。

例文

気兼ねなく遊ぶ

・彼女とは話題がなくても気兼ねなく過ごせる間柄である

・彼女は気兼ねなく話せる陽気な人です

・いつでもお手伝いいたしますので、気兼ねなくご相談ください

名詞と組み合わせる場合

名詞と組み合わせる場合は、「気を使わなくてもいい相手のこと」や「遠慮のいらない人間関係のこと」を説明する時です。

名詞と組み合わせるためには「気兼ねなく」を「気兼ねない」と語尾変化させます。そして、「気兼ねない」を使えるような相手は、遠慮がいらないだけでなく、「気を許している仲の良い関係」を指すことが多いです。

例文

気兼ねない友人

気兼ねない上司

気兼ねない間柄

気兼ねない関係

「気兼ねなく」の敬語表現

大体の意味が分かったところで、次は「気兼ねなく」の敬語表現を確認しましょう。

敬語表現は主にビジネスシーンで使用されます。例えば、取引先の心の内を知りたいけれど、なかなか率直な意見を述べてもらえない時などです。

その際に「気兼ねなく」の敬語表現を使えば、失礼なく相手に意見を伺うことができ、上司や取引先とも、よい人間関係を構築することができるでしょう。

敬語は「お気兼ねなく」


「気兼ねなく」を敬語表現にするのはとても簡単です。

「気兼ねなく」に、敬意を表す接頭語の「お」をつけることで敬語表現となります。また、「お気兼ねなく」に「ください」をつけて「お気兼ねなく~してください」とすれば、目上の人にも使えるとても丁寧な表現になります。

「お気兼ねなく」も話し言葉としてだけでなく、メールや手紙での書き言葉として使うことができますよ。

ただし、かしこまりすぎてしまうと感じる場合や、敬語が重なりくどい言い回しになってしまう場合は、目上の人であっても「お」をつけずに「気兼ねなく」を使って構わないでしょう。

相手や状況によって、「気兼ねなく」と「お気兼ねなく」を使い分けましょう。

例文

・ご要望などがございましたら、お気兼ねなくお申し付け下さい

・パーティーを開催しますので、お気兼ねなくお越し下さい

・今後もご入用の節は、お気兼ねなくお申し越し下さい

「気兼ねなく」の類語

同じ言葉を何度も使うと、しつこい印象をあたえてしまう可能性があります。

そんな時は、類語に言い換えてみましょう。すると簡単に文章を整えることができます。

それでは「気兼ねなく」の類語を紹介します。それぞれの意味や「気兼ねなく」との違いを確認しておきましょう。

遠慮なく

「遠慮なく」は「言葉や行動を控えめにすることなく、自由にしてくれて構わない」という相手を思いやる表現です。

例文

ご遠慮なさらずに、お召し上がりください

ご遠慮なくおっしゃってください

また「遠慮なく」は、相手に対してだけ使うのではなく、自分が自由にさせてもらうという場合でも使われます。

例文

遠慮なくいただきます

遠慮なく言わせていただきます

上記の例文からも分かるように、「遠慮なく」を使用する時には、使う対象によって使い分ける必要があります。

自分の言葉や行動に対しては、そのまま「遠慮なく」で良いのですが、自分以外の人対して使う場合には「ご遠慮なく」と敬語表現に言いかえましょう。

心置きなく

「心置きなく」は「遠慮気がねなく。心残りなく。安心して」(『デジタル大辞泉』小学館)という意味です。今回紹介する「気兼ねなく」の類語の中では、唯一「安心して」という意味を持っています。

「心置きなく話し合う」であれば、「遠慮なく話し合う」という意味のほかに、「安心して話し合う」というニュアンスも含まれているのです。

気にせず


「気にせず」は、「配慮や心配をしないで、気にかけずに、気をつかわずにといった意味の表現」(『実用日本語表現辞典 』)です。相手からの配慮を優しく断ったり、気にかけなくて良いということを丁寧に伝える言葉になります。

「お気になさらず」「お気になさらないでください」とすれば、敬語として使用することも可能です。

また、相手から謝罪された時にも使われます。例えば、「大変申し訳ありませんでした」と言われた時に、「どうぞお気になさらないで下さい」と応えることができます。

相手の反省している気持ちに対して、「大丈夫ですよ」という気持ちを伝えることができるのです。

「気兼ねなく」の英語表現


ビジネスで、外国の人とやり取りをすることがあるかもしれません。そのような時のために、「気兼ねなく」の英語表現をチェックしておきましょう。

not hesitate to do


「気兼ねなく~してください」を英語で伝える場合には、「not hesitate to do」というフレーズが使われています。

「hesitate」は「躊躇する、二の足を踏む」という意味です。そこに「not」がつくことで「躊躇しない」となります。

つまり「not hesitate to do」の直訳は「躊躇せずに~する」になりますが、日本語の「気兼ねなく~する」と、ほぼ同じ意味で使われています。

例文

Don’t hesitate ask me, please.(気兼ねなく聞いてください。)

・If you should have any questions,please don’t hesitate to ask me.(もし質問がありましたら、気兼ねなくお尋ね下さい。)

・He is a person with whom I don’t hesitate to talk.(彼は気兼ねなく話せる人だ。)

意味や使い方を理解して使おう


「気兼ねなく」は、相手に気を使わせない思いやりの言葉です。

「遠慮なく」や「気楽に」という言葉の丁寧な表現であることを覚えておくと良いでしょう。

さらに「お」をつけて敬語表現にすれば、ビジネスのシーンでも活用することができます。「気兼ねなく」の類語や英語表現なども併せて確認しておけば、どんなシーンでも自信を持って使えるようになるでしょう。

「気兼ねなく」を上手に使って、よい人間関係を築いてください。

(髙橋めぐみ)

※画像はイメージです

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