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「お手柔らかに」の意味は? 正しい使い方と返事の仕方

sinnosuke

ビジネスなどで「お手柔らかに」と言われたら、どう返事していいか分からない人も多いのではないでしょうか。今回は、語彙解説が得意なライターのsinnnosukeさんが、「お手柔らかに」の意味と使い方、類語を解説します。

「お手柔らかに」はスポーツの勝負事の前などにあいさつとして使われる言葉です。よく聞く表現ですが、定型文だからこそ意味をよく理解せずに使っている人もいるのではないでしょうか。

この記事では「お手柔らかに」の意味や使い方を、具体的な例文と共に解説します。類語や英語で表現する場合のパターンについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「お手柔らかに」の意味

「お手柔らかに」という言葉を、まずは辞書で調べてみましょう。

御手柔らか

[形動]相手が手加減してやさしく扱ってくれるさま。「おてやわらかに」の形で、試合などを始めるときのあいさつの語として用いる。「お手柔らかに願います」

(『デジタル大辞泉』)

「お手柔らかに」は、厳しさの度合いを弱くすることを意味し、主にスポーツなどの争い事の前にあいさつとして使われています。

「自分はあなたより弱いので、手加減してください」というニュアンスを含むため、相手が自分より強いことを認めたり、自分が謙遜したりするためにも使われます。

「お手柔らかに」自体は敬語ではなく、目上の人に使う場合は「お手柔らかにお願いいたします」、「お手柔らかにお願い申し上げます」と敬語と組み合わせて使うと良いでしょう。

「お手柔らかに」の正しい使い方(例文つき)

「お手柔らかに」は、前述の通り試合前のあいさつなどで使うのが一般的。ですが、場合によってはビジネスシーンでも相手に敬意を表す言い回しとして使われることもあります。

それぞれの具体例を参考にしつつ、シーンによって使い分けましょう。

勝負事の前にあいさつとして使う場合

まずは勝負事の前にあいさつで使う場合の具体例です。

本気で「手加減してください」や「手を抜いてください」という意味ではなく、お土産を渡す際の「つまらないものですが」のような謙遜したニュアンスと捉えると良いでしょう。

例文

・剣道は初心者のため、お手柔らかにお願いします。

・○○さんのようなお強い方と勝負できて光栄です。どうぞ、お手柔らかにお願い申し上げます。

・公式の大会は初めて出場するので、どうぞお手柔らかにお願いいたします。

・こんなに緊張するのは初めてです。どうぞ、お手柔らかに。

ビジネスシーンなどで謙遜表現として使う場合

「お手柔らかに」はへりくだった表現なので、その分野において立場の弱い人が自分よりも強い相手に使うことが多い言葉です。

そのため、上司へのあいさつや取引先との面談など、ビジネスシーンでも使われることがあります。

例文

・まだまだ未熟者ですので、お手柔らかにご指導のほどよろしくお願いいたします。

・至らない点も多々あるかと存じますが、どうぞお手柔らかにお願いいたします。

・スタートアップ企業のため、見積もり金額はお手柔らかにお願いいたします。

「お手柔らかに」を使う場合の注意点

基本的には、相手に敬意を示したり謙遜したりする表現である「お手柔らかに」という言葉。使い方によっては、相手に誤解を与える可能性もあるので注意が必要です。

ビジネスシーンには適さないこともある

「お手柔らかに」は、一般的にはスポーツの試合や勝負のあいさつとして使われるため、ビジネスシーンには適さないと考える人もいます。

例えば、初めて会った相手に「今回の商談は、お手柔らかにお願いいたします」という表現を使うと、「この人は自信がないんだろうか」と違和感を抱く人もいるでしょう。

ビジネスシーンで「お手柔らかに」という表現を使う場合は、ある程度親しい関係や、顔見知りの相手などに使うことが理想的です。

「嫌味」と捉えられることもある

「お手柔らかに」には「手加減してください」というニュアンスがあります。そのため、自分よりも明らかに実力が上の相手から、「お手柔らかに」と言われると、嫌味のように聞こえることもあるでしょう。

例えば、あるスポーツの日本代表選手が、初心者の中学生に「お手柔らかに頼むよ」とあいさつをするなど、実力差が明らかな場合にこの言葉を使われると、嫌味のように聞こえてしまうでしょう。

そのため、「お手柔らかに」という言葉を使う際には、相手との関係性や立ち位置を理解しておくことが大切です。

「お手柔らかに」の類語と使い方

「お手柔らかに」は、使い方によっては相手にあらぬ意味を伝えてしまう言葉。そのため、「お手柔らかに」をストレートに使うのではなく、類語を使った方がうまくニュアンスが伝わる場合もあります。

ここからは、「お手柔らかに」と同じ意味で使える言葉を解説していきます。

手加減してください

「お手柔らかに」の類語には、「手加減してください」「手加減願います」という言葉が使われます。

「手加減(てかげん)」とは、相手の実力に合わせて厳しさを調整することを指します。「お手柔らかに」よりもさらに実力差が顕著な場合に使うことが多いでしょう。

例文

・初心者のため、手加減願います。

・まだ怪我が治っていないので、手加減のほどよろしくお願いいたします。

・未熟者ですので、手加減していただければ幸いです。

優しくしてください

「優しくしてください」も「お手柔らかに」と同じニュアンスで使うことができる言葉です。

ただし、文脈や状況によっては「あなたは厳しいので、優しくしてください」という伝わり方をする可能性もあるため注意しましょう。

例文

・初心者ですので、優しくしてくださいね。

・まだ全然慣れていないので、優しくしていただければ幸いです。

「お手柔らかに」への返事

スポーツの試合前や、ビジネスシーンで相手から「お手柔らかに」と言われた場合、どのような返事をすれば良いのでしょうか。

「お手柔らかに」という言葉を額面通り受け取って、「はい、手を抜きます」と返すのは失礼にあたるでしょう。一般的には下記のような言葉で返事をします。

「よろしくお願いします」

返事として考えられる言葉の1つ目は、「よろしくお願いします」です。

相手は「自分よりも格上(実力がある)」と謙遜する気持ちを込めて「お手柔らかに(お願い致します)」と使います。

その気持ちを素直に受け止める場合は「よろしくお願いします」という言葉を使うのがいいでしょう。

「こちらこそ、お手柔らかに」

返事として考えられる言葉の2つ目は「こちらこそ、お手柔らかに」です。

「お手柔らかに」は社交辞令で使われることもあるため、必ずしも格下の相手が使ってくるというわけではありません。

場合によっては目上の人や、自分が格上だと思っている人が使ってくることもあります。

その場合の返事は「こちらこそ、お手柔らかにお願い致します」と返事をし、自分も敬意をもっていることを表すといいでしょう。

「お手柔らかに」の対義語

「お手柔らかに」と反対の意味には、荒々しい動作を指す言葉が当てはまります。「お手柔らかに」の対義語には以下のようなものがあります。

対義語一覧

・手荒(てあら):物事の取り扱いや行動が丁寧でないこと

・荒々しい(あらあらしい):物事の程度が激しいさま

・乱暴(らんぼう):物事の仕方が不当に荒々しいこと

・全力で臨む(ぜんりょくでのぞむ):出せる限りの力で物事に立ち向かうこと

・本領発揮(ほんりょうはっき):自分の持っている能力や持ち味などを存分に出すこと

・本気を出す(ほんきをだす):冗談でない本当の気持ち、真剣な気持ちを出すさま

「お手柔らかに」の英語表現

「お手柔らかに」を英語で表現する場合、近い意味の英語としては「Go easy on」があります。

「Go easy on」とは「Go easy」=「寛大に」という意味を表す英語に「on〜」=「〜に」をつけることで「手加減してください」という文章になります。

「お手柔らかに」の英語を使った例文

・Go easy on me. I’m a beginner.
(初心者だから手加減してね)

・Please don’t be hard on me.
(お手柔らかにお願いします)

「お手柔らかに」を正しく使おう

「お手柔らかに」は基本的に「自分は格下なので、手加減してください」という意味ですが、あいさつや社交辞令としても使われることがあります。

場面によっては嫌味に聞こえることがあるため、相手の実力差や立場を見極めた上で、状況に合わせて使いましょう。

(sinnosuke)

※画像はイメージです

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