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にんじんの栄養素と効果とは? 栄養を逃がさない食べ方のコツ

渡辺愛理(管理栄養士/温活料理研究家)

にんじんの栄養素とその働きを、管理栄養士の渡辺愛理さんが解説。栄養素を逃がさない調理方法や適切な保存方法などの疑問に回答していきます。

にんじんというと野菜の代表格で緑黄色野菜に分類される野菜。料理の色味が少ない時に彩りとして使うのに万能で、カレーやサラダなどさまざまなレシピで重宝されます。

今回は、にんじんの栄養素や効果、さらにはその栄養素を逃さない食べ方のコツについてご紹介していきます。

にんじんの基本

緑黄色野菜の代表ともいえるにんじんはセリ科の野菜に分類され、葉や根を食べる野菜です。

にんじんの旬は秋から冬で、この時期に出回るものが栄養価も高く、甘みが強いといわれています。そのため、この時期のものは、生でも食べやすいのが特徴です。

にんじんは、根菜類の中でも水分が多く、皮膚・粘膜の健康維持にも有効とされるβ-カロテンを多く含むことから肌荒れや乾燥などに悩む方にはおすすめの食材です。

にんじんの栄養素と効果

ここでは、生のにんじん100gあたりの栄養成分(大きさによりますがにんじん1本はだいたい150~200g程度)とその効果を見てみましょう。

にんじんにはβ-カロテンなどのビタミン類や、カリウムなどのミネラル類、食物繊維も豊富に含まれています。

項目 100gあたりの栄養成分
エネルギー  36kcal
たんぱく質 0.8g
脂質 0.1g
炭水化物 8.7g
ナトリウム 34mg
カリウム 270mg
カルシウム 26mg
マグネシウム 9mg
0.2mg
亜鉛  0.2mg
レチノール活性当量(ビタミンA) 690μgRAE
β-カロテン 6700μg
α-トコフェロール(ビタミンE) 0.5mg
ビタミンB1 0.07mg
ビタミンB2 0.06mg
ナイアシン 0.7mg
葉酸 23μg
パントテン酸 0.33mg
ビタミンC 6mg
食物繊維 2.4g

出典:日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)より一部抜粋

にんじんに含まれるβ-カロテンの効果

にんじんに含まれるβ-カロテンの効果として挙げられているのが、体内の活性酸素を減らす抗酸化作用になります。

また、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、視力を保つ作用や、髪や皮膚・粘膜の健康維持、心臓・肺・腎臓やその他の臓器が適切に機能するのを助ける作用があることも注目されています。

塩分の取り過ぎを調節するカリウム

にんじんには人体に必要なミネラルの一種、カリウムも多く含まれます。

カリウムにはナトリウムを排出する作用があり、塩分の取り過ぎを調節する上で重要な役割を担います。カリウムが不足するとこうした働きに影響することはもちろん、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状がみられることも。

塩分を多く含む食事が続いた時は、意識して摂取するといいでしょう。

整腸作用が期待できる食物繊維

その他にも、にんじん100g当たりには食物繊維が2.4g含まれています。食物繊維の成分のひとつである「ペクチン」には整腸作用があり、便秘解消にもおすすめの食材です。

加工するとにんじんの栄養成分は変化する?

では、にんじんを加工食品にした場合、生で食べる場合に比べて摂取できる栄養成分に変化はあるのでしょうか? いくつか見ていきましょう。

にんじんジュースの場合

生のにんじんをジュース(※)にした場合とそのまま食べる場合を比較すると、どちらのほうが効率よく栄養素を摂取できるでしょうか。そもそも生の野菜には、細胞の構造上、非常に強い細胞壁があります。この細胞壁が栄養素の吸収を阻害している一つの要因となっているので、野菜をすりつぶしたり、ピューレ状にしたりして細胞壁を崩すと、吸収がしやすくなるといわれています。

※ジュースの加工法によっては栄養成分が減少することもあります。

ぬか漬けにんじんの場合

そもそもぬか漬けとは米ぬかを使って漬けた漬物のことを指します。

にんじんに含まれるビタミンCは加熱に弱いため、加熱してしまうと効率良く摂取できなくなってします。その点、加熱のいらないぬか漬けでは、効率良く摂取できると考えられます。

その他にも、米ぬかにはビタミンB群が豊富に含まれているため、疲労回復に効果的です。

にんじんケーキの場合

油と一緒に摂取することによってβ-カロテンの吸収率が上昇します。

そのため、材料に油を使用して作るにんじんケーキは、生で食べる場合に比べてβ-カロテンを効率的に摂取できるでしょう。

栄養素を逃がさない調理方法や食べ方とは?

調理方法によっては栄養素を賢く摂取できたり、場合によってはロスしてしまったりします。ここでは、栄養素を逃さないにんじんの食べ方を見ていきます。

炒める・揚げるでβ-カロテンを効率的に摂取

にんじんに多く含まれるβ-カロテンは、加熱調理の中でも特に油との相性が良いと言われています。そのため、炒めるまたは揚げるなどの加熱調理をするとβ-カロテンの吸収率がアップします。

にんじんのおすすめ料理を挙げるとすれば、生で食べる場合はキャロットラペ。オリーブオイルを使用するのでβ-カロテンの吸収率が上がります。加熱調理であれば、にんじん天ぷら。こちらも油を使って揚げることにより吸収率が上がります。

茹でるとビタミンCやβ-カロテンが流出してしまう

逆に栄養素を逃してしまう調理法を挙げるとすると、にんじんを茹でる場合です。加熱している間にビタミンCやβ-カロテンがお湯の中に流出してしまうので、無駄なく摂取するには調理方法の工夫が必要になってきます。

加熱したものを無駄なく摂取しようとするのであれば、ポトフや肉じゃが、カレーなど煮汁も一緒に食べる料理が◎。流失した栄養素を摂取できるのでおすすめです。

にんじんの豆知識Q&A

ここでは、知っておくと得をするにんじんの豆知識を紹介します。日々の生活の中で生まれる疑問を解消していきましょう。

食べごろのにんじんの見分け方

食べごろのおいしいにんじんの見分け方としては、ひび割れがなく、オレンジ色が濃いものなどを選ぶと良いでしょう。

おいしいにんじんの見分け方まとめ

・ひび割れがあまりない
・濃いオレンジ色
・ずっしりと重く、みずみずしいもの
・つやがあるもの
・軸の切り口の大きいものはしんが太くて固いので避ける

皮はむく? むかない?

皮はむいた方がいいのか、むかなくてもいいのか、どちらなんだろう? と思われる方も多いのではないでしょうか。

実は、にんじんの皮にもリコピンやβ-カロテンが多く含まれています。そのため、特に気にならない方は皮ごと食べた方が、より賢く栄養素を摂ることができます。

にんじんの保存方法

にんじんの保存方法は、いろいろあります。

新聞紙などに包み、冷蔵庫に保管もしくは冬場などの寒い時期であれば冷暗所などの常温保存でもOKです。

また、にんじんは切ったものから傷みやすくなっていきます。そのため、時短などの観点から切った状態で保存しておきたいという場合は、真空状態で袋に入れたり、ラップに包んだり、できるだけ空気に触れないようにして野菜室に保存します。

なお、3日程度を目安に使い切りましょう。

冷凍保存はカットしてからがおすすめ

冷凍保存される場合は、そのまま冷凍保存するとかなり使いにくくなってしまうので、使い勝手の良い形に切ってから冷凍されることをおすすめします。

スライスなど棒状にカットする場合は、一度バッドなどに広げて凍結させてから保存袋に入れることでにんじん同士がくっつかなくなります。また、煮物用などに切った少し大きめのものは、一度固茹でにしてから冷凍するといいでしょう。

冷凍保存の場合、少量なら冷凍のまま使っても問題はありませんが、量が多くなる場合は一度解凍してから調理しましょう。水っぽくなるのを防ぐことができます。

にんじんの食べ方を工夫して、効率良く栄養素を取り入れよう

にんじんの食べ方にもたくさんありますが、せっかく食べるのであれば、栄養素を効率良く摂取できる食べ方をしたいもの。

にんじんの特性であるβ-カロテンを効率的に摂りながら、他の野菜もたくさん食べることができる野菜のかき揚げなどもおすすめです。にんじんのみならず、好みの野菜を入れることで野菜不足を補うことが可能になります。

また、にんじんをすりおろして、塩麹とオリーブ油で作ったにんじん塩麹ドレシングを使ったサラダもおいしいですよ。

相性の良い調味料を挙げるとするのであれば、ポン酢やドレッシング、マヨネーズの他に柑橘類などと一緒に食べても◎。さっぱりとした味で、夏バテしやすい時期にも口当たり良く食べることができます。

このように、いろいろな楽しみ方ができるにんじん。効率の良い食べ方を知って、賢く食卓に取り入れましょう。

(渡辺愛理)

※画像はイメージです

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