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ムキになるとは? ムキになる人の心理と対処法

高見綾(心理カウンセラー)

あなたの周りにも「すぐムキになる人」っていませんか? 矛先が自分に向けられて、こちらまでムキになってしまい疲れる……なんてことも。今回は心理カウンセラーの高見綾さんに、ムキになる人への上手な対処法を教えてもらいます。

職場などに、すぐにムキになる人はいませんか? たわいもない話をしているだけなのに感情的になって張り合ってこられると、疲れてしまいますよね。

そこで今回は、どうしてムキになってしまうのか、その心理について詳しく解説します。また、ムキになる人への上手な対処法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

「ムキになる」の意味や状態って?

まずは、「ムキになる」の意味や「ムキになる状態」とはどのようなものなのかを確認していきましょう。

「ムキになる」の意味

「ムキになる」とは、「細かいことに腹を立てる、些事で本気になって応酬する、などの意味の表現」(出典:『実用日本語表現辞典』)です。

周りからすると「え? こんなことで?」と思うようなささいなことでも、本気になって腹を立てたり、相手のちょっとした発言に対しても目をむいて反論したりといったような言動のことをいいます。

「ムキになっている」状態や具体的な言動とは?

ムキになると感情的になって冷静さを失った状態になります。よく見られる言動についていくつか挙げてみます。

(1)急に声が大きくなる、もしくは黙る

ムキになっている時は、急に声が大きくなったり、ムッとして黙ったりするといった特徴が見られます。

例えば、遊びのつもりでやり始めたゲームに負けたことで、「次こそは絶対勝ってやる!」とムキになってしまった時などは、急に声が大きくなったり、逆に黙りこくったりすることがありますよね。

(2)「いや、そうじゃなくて」と反論する

ムキになっている時には、人の話が素直に聞けなくなります。

例えば、何気ない会話の中で、「悩んでいるならこうしてみたら?」とアドバイスされた時に、「いや、それはそうかもしれないけど、でも……」と反論するなど、何を言われても自分の主張を譲ろうとしません。

(3)やたらと張り合おうとする

「〇〇さんって、仕事もできるし彼氏もいるしうらやましいなぁ」と、周りから褒められている同僚を見たとします。

すると、「私も最近彼氏できたんですよ~」と自己アピールをしてきたり、「でも〇〇さんって、ちょっと空気読めないっていうか天然なとこありますよね」と相手を下げる発言をするなど、なぜか張り合おうとしてきたりします。

すぐムキになる人の心理

では、どうしてすぐムキになってしまうのでしょうか? その心理を紹介します。

(1)自分を認めてもらいたいから

わざわざ言わなくてもいいのに、ムキになって主張してしまう時は「自分を認めてほしい」という強い気持ちがあります。

そのため、自分の意見を受け入れてくれるまで納得できず、相手が折れるまで張り合ってしまうのです。自分の思い通りに事を進めたいという欲求が強い人が多いです。

(2)負けず嫌いだから

もともと競争心が強く、周りの人に負けたくないという気持ちを強く持っています。

負けそうになると悔しくなって、「絶対に勝ちたい!」「自分が上であることを証明したい」という気持ちになるため、何かとムキになって張り合おうとします。

(3)自分を否定されたと感じるから

ムキになる時は、その物事に対してプライドを持っていることが多いです。

「このやり方ではうまくいかないと思います」という同僚の発言に対して、「じゃあどうしたらいいと思うの?」とムキになって反論してくる人などが顕著な例でしょう。

「自分なりに良いと思って工夫してやってきた」などの場合、自分の大切なこだわりを否定されたと感じてムキになってしまうのです。

(4)コンプレックスを指摘されたから

例えば「〇〇さんって、意外に雑なところありますよね」と言われた時に、「えっ……? そんなことないと思うんですけど。じゃあ言いますけど、△△さんだって人のこと言えるんですか?」とムキになって怒る人がいますよね。

この場合、相手に指摘されたことが図星であることが多く、自分のコンプレックスとなっているからこそ、そこに触れられると過剰に反応してしまうのです。

(5)自信が無いから

ムキになる人は自己評価が低く、自分で自分のことを認めることができない傾向があります。

そのため自信が無く、ちょっとした言葉でも傷ついてしまうので、自分を守るために他人の言葉に反発してしまうのです。

(6)心に余裕が無いから

さまざまな悩みを抱えていたり、ストレスをため込んでいたりすると、心に余裕が無くなります。

すると、普段は怒らずに流せるようなことでも、いちいち反応してイライラしてしまいます。そうやって怒りをため込んでいると、ちょっとした刺激でもムキになってしまうのです。

ムキになる人への上手な対処法

すぐムキになる人に対して、真摯に対処しようとすると疲れるものです。そこで、相手がムキになっている状態の場合、どのように対処すべきかを紹介します。

(1)相手の思いを受け止める

相手がムキになって反論してきたり、自分の意見を主張してきた時には、ひとまず話を聞いて「なるほど。そう思うんですね」とか「そういう考え方もありますよね」と返しましょう。

すると、相手は「自分の意見をいったん受け止めてもらえた」と感じるので、ヒートアップしていた感情が少しずつ落ち着いていきます。

(2)適度に受け流す

こちらもムキになって反論すると、言い合いに発展してしまうので、まずは感情的にならないように注意しましょう。ムキになっている人の言うことは真に受けないのが良いですね。

「自分を認めてほしいんだな」と思って、おおらかな気持ちで「そうか~」「うーん、なるほどね~」と言って、肯定も否定もせず受け流しましょう。そして、相手が落ち着いた段階で話し合いを持ち掛けることをおすすめします。

(3)同じ土俵の上に立たないようにする

まずは、自分自身が冷静でいることも大切です。ムキになられてムカッとした時は、こちらも相手と同じ土俵の上に立っているということ。

「この人、何でこんなにムキになっているんだろう?」と冷静に観察してみましょう。そうすることで相手と自分の間に心理的な距離を作ることができ、落ち着いて対処することができます。

日頃から気を付けておくと良いこと

最後に、自分がつらくならないためにも、ムキになる人に対して日頃からどのような対応を心掛けておくといいのかをお伝えします。

(1)自分と相手との間に意識的に線を引く

感情的になる人が近くにいると、相手の負の気持ちに引きずられる可能性があります。そこで、日頃から自分と相手の間に境界線を引いて、「自分とは関係無い」と分けて考えましょう。

このように、自分と他者との間に距離を作ることで、相手の感情に振り回されにくくなります。

(2)相手の心理を理解してみる

すぐにムキになったり、反発して張り合ってきたりするのには何らかの理由があります。

日頃から、相手が何にコンプレックスがあるのか、過去どんなふうに生きてきたのかなどを観察してみましょう。その人に対する理解が深まるため「それならしょうがない面もあるか……」と良い意味で妥協でき、心にゆとりが持てるようになるでしょう。

(3)仕事で成果を出す

すぐにムキになる人が職場にいる場合、ターゲットにならないためにも仕事で成果を出すことをおすすめします。というのも、ムキになる人は誰に対してもそうした態度を取るわけではなく、ある程度自分と同等レベルの相手を選んでいるからです。

多少時間のかかる方法ですが、その人よりも実力が上であることが明らかになれば、ターゲットにされにくくなります。

あなたが疲れない付き合い方を探そう!

すぐにムキになる人は、総じて自分に自信が無く心に余裕が無い人であるケースが多いです。自分を認めてもらいたいという気持ちが強く、傷つきやすい自分を守りたいがために過剰に反応していることがほとんど。

なので、まずはあなたが疲れないためにも、相手と同じ土俵の上に立たないようにすることを心掛けましょう。

(高見綾)

※画像はイメージです

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