ごますりって何? ごまをすると出世に影響するって本当?
上司にごますりをすると出世できると聞いたことがありますが、それは本当なのでしょうか? そもそも、ごますりって何をすればいいのでしょうか? 人気コラムニスト・ラブホの上野さんに詳しく伺ってみました。
褒められて不快になる人は(ほぼ)いません。
基本的に人間は人から褒められるとうれしい生き物でしょう。
もちろん世の中には変わった人もいて、人から褒められてもうれしくないという人もいらっしゃいますが極めて少数派。ほとんどの人間は人から褒められればうれしいのです。
ですので、人を褒めるのが上手な人はそれだけですでにコミュニケーション能力に長けているといえるでしょう。
ごますりが嫌いだと思われる理由
人は褒められると喜ぶ生き物で御座いますが、いわゆる「ごますり」には眉をひそめる方も多いことでしょう。
これには2つの理由が御座います。
そもそも「ごますり」とは「下手な褒め言葉」といっても過言ではありません。
上手い人のごますりの場合、言われた相手は「褒められた」と受け取るのです。つまり相手から「ごますりされてるな」と思われてしまっている時点で、それは下手な褒め方になっているといわざるを得ません。
また第三者目線で見ると、下手な褒め言葉で上司や先輩に好かれようとしている人は非常に不快な存在になることでしょう。
ごますりだと思われない上手な褒め方
前述した通り、本質的に「ごますり」と「褒める」には違いが無いと思っています。
相手を喜ばせることができれば「褒め」になり、相手を不快にさせたのであれば「ごますり」なので御座います。
「いやあ、本当に先輩はすごいですねぇ、この会社がもっているのは先輩の力があってこそですよ」。
というようなバレバレの言い方であっても、相手が喜んでいるのであればそれは「褒め」なのです。
それでは、ごますりだとは思われない上手な褒め方をお伝えします。
(1)対象を間違えない
非常に少数では御座いますが、世の中には人から褒められることが嫌いな人がいらっしゃいます。この手のタイプの方に対してはどんな褒め言葉も下手くそな「ごますり」にしかなりません。
(2)お礼を込めて褒める
例えばイチロー選手に「君には野球のセンスがある」と言われれば、おそらくどんな方でも喜ぶことでしょう。これはイチロー選手の野球スキルが非常に高いことを私たちが知っているから。
つまり彼の褒め言葉には説得力があるのです。
一方で野球が下手な人から「君には野球センスがあるね」なんて言われても喜ぶ方はあまりおりません。野球が下手な方がそれを言っても褒め言葉に説得力が生まれないのです。
ですので、人を褒めるときには、その言葉に説得力が出るようにした方がいいのですが、特に目上の人を褒めるときには立場的にも能力的にも説得力を持たせることは難しいでしょう。
そこで取れる戦略が「お礼」で御座います。
仕事ができる上司を褒めるときに「田中部長は本当に仕事ができますね」なんて言ってしまったら、偉そうに見えてしまうでしょう。
そこで「田中部長のおかげで本当に助かっています。部下としてすごく仕事がやりやすいです」というように、相手の能力ではなく相手のおかげで助かったことを伝えるように褒めることで、内容に説得力を持たせることができるでしょう。
(3)よく分からないことを褒めない
先程のイチロー選手の例にも関連するのですが、自分がよく知らないことを褒める際には注意が必要です。
例えば彼氏が野球好きで、皆さまが野球について全くの無知だったとしましょう。そんな状態で彼の野球スキルを褒めても、大抵の場合ツボを外した褒め方になってしまうのです。
すると褒められた相手に「こいつよく分かってないのに適当に褒めてるな」と伝わってしまい、下手な褒め言葉、つまりごますりしていると思われかねません。
(4)身銭を切ると信用されやすい
褒め言葉に説得力を持たせるための方法として「身銭を切る」というものが御座います。
例えば(2)で紹介した「お礼褒め」をする際に、お礼の品があるかどうかでその説得力は大きく変わることでしょう。
別に相手だってそのお礼の品が欲しいわけでは御座いません。しかし「身銭を切ってまで褒めた」という事実が褒め言葉の説得力を大きく引き上げているのです。
もちろんこの身銭というのは、何も品物だけでは御座いません。相手のために時間を使う。相手のために労働をする。相手のために何か使う。こういった行為も「身銭を切る行為」の1つといえるのです。
組織で生きるのであれば、コミュニケーションは必須
この世界に存在する全ての仕事は人を幸せにするために存在しています。
極端な話をすれば暗殺者だって依頼主の幸せのために人を殺しているのです。人は自分の幸せのために金を払う。この原則は変わりません。
ですので、仕事というものを突き詰めると「人を幸せにする作業」というものになるでしょう。
メーカーが商品を作るのは、その商品を使って人を幸せにするためであり、商品を作るということ自体が目的では御座いません。
そのように考えると「人を褒める」という行為は、もはや仕事といっても過言ではないのではないでしょうか。
人を褒めて相手を幸せにする。それは紛れもなく「人を幸せにする作業」であり、仕事の1つなので御座います。
もしかすると皆さまの中には人を褒める人がごますりをしているように見えて不快感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、彼らはある意味で仕事をしているのです。
元手が0で超簡単。それでいて直接的に相手を喜ばせることができる。
こんなに効率の良い仕事は他になかなか存在いたしません。皆さまもぜひ人を褒めてみてくださいませ。
それだけで組織内での立場は格段に良くなり、出世につながる可能性も御座います。何よりも実際問題として人を幸せにしているのですから。
もちろん、褒めるときには「ごますり」にならないように気を付けるということは必要で御座いますが。
(ラブホの上野さん)
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