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会社の人間関係に疲れたら。しんどい時に試したい改善法3つ

小日向るり子

周りから孤立したりしんどいと感じたり。会社の人間関係に疲れたら試すといい改善法を心理カウンセラーの小日向るり子さんが解説します。

会社に勤めたことがあれば、多くの方が一度は「会社を辞めたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。

仕事そのものが合わずに辞めたいと思う人もいますが、 上司や同僚と合わない、部署内で孤立している、など社内での人間関係がうまくいかないことで悩んでいる方も多いのが現状です。

今回は職場の人間関係で悩んだり退職を考えたりしている方に、心理学を用いた改善方法をお伝えしていきたいと思います。

職場の人間関係でストレスを感じる理由

それではまず、どんなときに職場の人間関係でストレスを感じやすくなるのか、心理解説と共にいくつか例を挙げていきます。

(1)能力に優劣を感じている

任されている業務の遂行能力が同僚と大きく差がある場合にストレスを感じます。

例えば、自分の方が遂行能力が高い場合は「自分にばかり仕事が振られる」というストレスになりがちですし、逆に低い場合は劣等感を感じて居心地が悪いなど、過度な能力の差はどちらの立場であってもストレスとなります。

(2)上司がえこひいきをする

同じようなミスをした場合でも自分に対しては強く叱責するのにAさんには怒らない、周りから称賛を得やすい仕事はAさんに振って、自分には目立たなくてキツい業務ばかり振る、など明らかに個人的な感情で差別をする人間が上司の場合も強いストレスを感じます。

(3)特定の人からのいじめ

あいさつをしても無視される、お昼のランチに自分だけ誘ってくれない、など社会人になってからのいじめは暴力が無いぶん陰湿です。

そんな子どものようないじめをする人がいるの? と思われるかもしれませんが、意外と珍しくない事例です。

(4)ハラスメントを受けている

セクハラ・パラハラなどに代表されるハラスメントをする存在がいるとき。

ハラスメントは組織の上下関係を利用して行われることが多いため、その関係性が、被害を訴えることを躊躇させてしまいます。

(5)仕事仲間で悩みや愚痴を言える人がいない

仕事で落ち込んでいる時に一言でも声を掛けて励ましてもらえるだけで凹んだ気持ちはかなり楽になるもの。

理解してくれる人がいるということで救われる感情があるのです。しかしそうした人が職場にいないと不快感情を引きずったまま帰宅することになり、気持ちの切り替えもしづらくなってしまいます。

辞める前に試したい、人間関係を改善させる3つの方法

もちろん自分の心身の健康が第一ですし、人はそう簡単に変わるものではありませんので、あまりにも人間関係がつらいという場合は退職という選択肢も当然あるでしょう。

ただその前に、できることであればやってみてほしいことを以下に挙げてみます。

(1)人間食わず嫌いを直す

会ったときから「この人、何だか合わない」と感じてそのままにしていることはありませんか?

これは人見知りの方に良くありがちなのですが、この「人間食わず嫌い」的な思考を少し柔軟にして自分から歩み寄ってみましょう。

同族嫌悪といって自分と似たような人に苦手意識を抱いてしまう心理はよくあることです。気質は似ているのですから、話してみたら意外と気が合う人だったということも十分にあり得ます。

(2)笑顔を心掛ける

人間は、楽しくなくても口角を上げていると脳が楽しいと錯覚して面白さや楽しさの感情が増えることが分かっています。

自分の気持ちはある程度、行動でコントロールすることが可能なのです。

(3)「ホウレンソウ」を意識する

ホウレンソウとは仕事における業務遂行の基本である「報告・連絡・相談」の略です。

人は嫌いな人のことを無意識に避けてしまうもの。そのために、実は必要な連絡さえもおろそかにしていて人間関係にさらなる溝を生じさせていることもあります。

嫌いな人だからこそホウレンソウ。心掛けてみてください。

それでもうまくいかないなら。社内での孤立を気にしない考え方

前述した方法を試してみても、うまくいかないこともあるでしょう。

もし、何らかの理由ですぐに仕事を辞めたり、異動したりといったことができない場合、人間関係に悩みつつも、そこで仕事をしていかなくてはなりません。

その場合の気の持ち方もお伝えします。

(1)仕事に集中する

自分の仕事に集中しましょう。仕事に集中すれば他人の言動が気になることも少なくなりますし、何より自分のスキルアップや集中力アップにつながります。

さらに自身の能力に自信が持てるようになれば、いざというときの転職活動にも自信が付きます。

(2)相手を俯瞰的に見つめる

いじめやハラスメントをしてくる人を客観的に観察してみましょう。始終イラついていたり、気分にムラがあったり、どこか満たされていない様子が見えると思います。

他人を攻撃する人は寂しい人なのです。ここに気付くとむしろ憐れみの気持ちさえ湧いてくるものです。

(3)気晴らしを持つ

気持ちの切り替えができる趣味などを持っておきましょう。

不快感情から頭を切り替えてリフレッシュする効果はもちろん、場合によっては、仕事は趣味を充実させるためのツールだと割り切った考え方をすることもできます。

(4)職場以外の居場所を作る

職場以外に居場所を作りましょう。趣味のサークルや学生時代の友人など複数の仲間だけでなく、家族・恋人・親友といった小さな関係性でも構いません。

人は孤独が深まると精神的に追い込まれてしまいます。私の居る場所はここだけではない、という支えを持つことが大切です。

(5)「働く」ことの意味を変えてみる

「ルビンの杯」という反転図を知っていますか? これは一見すると白い杯(さかずき)の絵に見えるのですが、背景の黒の部分に着目するとその杯が、人が向き合っている図のように見えるという反転図形の代表的なものです。

心にもこの反転図を当てはめてみましょう。人間関係に悩んでいるときというのは自分の心が杯の部分だけを見ている状態です。しかし、その背景にあるのは「働く」ということです。

自分は何のために働くのか。物事の見方を変えると今いる世界は全然違って見えてくるものです。

他人の言動に振り回されないで

私たちは、生まれて数年間は家族など自分を愛しんで育ててくれる人しか周りにいません。しかし、成長して学校に行き、さらに社会に出るようになると関わる人間関係は広がります。

それはどういうことかというと、自分に好意を持ってくれる人ばかりではなくなるということです。

人が一人で生きてはいけない限り、この事実を受け入れることは大変ですが、その過程に精神的な成長があります。

人間関係で悩んでしまうと他人の言動にばかり意識を向けてしまいがちですが、ぜひ「自分の成長のために、他人と、今の会社とどう向き合うのか」という思考を持ってください。

他人の言動で振り回されるのではなく、自分主体で考えることが大切です。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

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