トラッドスタイルとは。意味とコーデを解説【大人のファッション用語】
「トラッドスタイル」。耳にしたことはあってもどんなファッションか具体的に知っていますか? ファッションライターの弓削桃代さんが、トラッドファッションの意味やコーディネートの仕方など、詳しく解説してくれます。
かっちりとしたジャケットやチェックのスカートなど、お行儀のいいイメージのあるトラッドスタイル。
今まで何となく使っていた、トラッドファッションについて徹底解説します。
トラッドスタイルの代表ブランドや定番アイテムも併せて紹介するので、ぜひチェックしてみて。
トラッドスタイルとは
まずは、トラッドスタイルとはどんなファッションのことなのか、その定義から解説。その意味や気になるルーツについても紹介していきます。
トラッドスタイルの意味や定義
よく使われているトラッドという言葉、実はこれは和製英語なんです。
伝統的や保守的を意味するトラディショナルという英語から、流行に左右されないファッションを指す「トラディショナル・クロージング」という言葉が生まれ、そこから派生したといわれています。
英国紳士のようなファッションを原点とした、上品でいつの時代でも着こなせるコーディネートのことです。
クラシカルで品のいいトラッドスタイルは、男女共に常に一定の人気があるファッションといえます。
トラッドとはアイビールックのこと?
1950~60年代、アメリカで有名私立大学が構成する団体「IVY LEAGUE(アイビーリーグ)」に所属する学生たちのスタイルが、「アイビーリーグルック」として、人気を集めます。
その頃、日本では戦後の混乱もある中、欧米への憧れが高まっていた時期でした。
日本のファッション誌でも取り上げられたのをきっかけに、「アイビーリーグルック(アイビールック)」は若者に浸透していき一大ブームに。
1964年頃には、アイビールックの要素を取り入れた若者たちが銀座のみゆき通りに集まるようになり、「みゆき族」と呼ばれ社会現象になりました。
そんなアイビールックをよりかっちりと大人の装いにシフトしたのが、トラッドスタイルともいわれています。
また、アイビールックはトラッドスタイルの一部と考えることもあるようです。
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トラッドスタイルなレディースブランド
トラッドスタイルとして有名なレディースブランドをいくつか紹介します。
Brooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)
1818年にニューヨークで創業した、歴史あるアメリカンクラシックのブランド。
今ではスタンダードとなったボタンダウンシャツなどを世に送り出したといわれています。
かっちりと見せつつ、エレガントで女性らしさの引き立つラインのセットアップ、シンプルなTシャツやポロシャツなどが人気です。
MACKINTOSH PHILOSOPHY(マッキントッシュ フィロソフィー)
英国を代表する老舗ブランド「MACKINTOSH(マッキントッシュ)」の物づくりの精神を引き継ぐ、セカンドライン。
クラシカルかつその時代性も反映したアイテムの数々は、長く着続けることのできるものばかり。
トレンチコートや花柄のワンピース、スカートなどは定番ながらどこかモダンなテイストも感じられ、ファンも多いようです。
FRED PERRY(フレッドペリー)
イギリス発のフレッドペリーは、創始者であるフレデリック・ジョン・ペリーの名前が由来になっています。
イギリス生まれのフレデリック・ジョン・ペリーは、一流のテニス選手として有名であったと共に、ベストドレッサーとしても認められていた人物。
ポロシャツはブランドの代表的なアイテムの一つです。
MARGARET HOWELL(マーガレット・ハウエル)
イギリスを代表するデザイナー、マーガレット・ハウエルが作ったブランド。
着心地の良さを第一に考え、リラックスできてナチュラルな洋服が定番です。オーセンティックなものからインスパイアされたアイテムは、年を重ねても長く愛用できるようなものばかり。
シンプルで飽きの来ないデザインの、シャツ、パンツ、アウターなどは大人の女性でも着やすいはずです。
トラッド系レディースファッションの特徴【イラストで解説】
続いては、より具体的にトラッドスタイルを解説します! トラッドファッションのアイテムの特徴とコーディネートのコツとは?
トラッドスタイルの代表アイテム
まずは、トラッド系ファッションアイテムをピックアップして解説。「これがあればトラッド!」といえる代表アイテムを紹介します。
(1)ジャケット
トラッドスタイルを作る上で必須といってもいいのが、ジャケット。一気にかっちり感が出るので、これ一つでトラッドっぽく見せられます。
ネイビーがイチオシですが、ベージュなどの淡色も女性らしくまとめてくれるのでおすすめです。
Wボタンのジャケットの方がよりきちんとした雰囲気になります。ネイビー×ゴールドのWボタンのジャケットなら、本場のスタイルに近づくので、ぜひチャレンジしてみてください。
(2)ニットベスト
知的な雰囲気の漂うニットベストはトラッドアイテムの一つ。クルーネックでもVネックでもトラッド感が演出できると思います。
無地のものの他、ライン入りベストがあれば最適! カジュアル感も出て、外国の学生風に見せられます。
素材は冬ならニット、春夏ならリネンやコットン素材がグッド。白のシャツやカットソーの上にレイヤードすれば、爽やか初夏トラッドに。
(3)襟付きシャツ
トラッド感が出るものといえば、やっぱり襟付きシャツ。王道の白、グレーやブルーなども春夏の季節はいいと思います。ボトムがスカートでもパンツでもグッと雰囲気が出ますよ。
また、チェック柄をシャツで取り入れるのも一つの手。遊び心のあるトラッドスタイルが完成します。
(4)チェック柄ボトム
チェック柄はシャツなどのトップスで取り入れるのもいいですが、スカートやパンツもおすすめです。
どんなチェックでもいいですが、どれにしようか迷ったらグレンチェックやギンガムチェックを選べば上品に見えるはずです。
スカートならひざ丈くらい、パンツだったらスマートなシルエットをチョイスすると、品良くまとまり、よりトラッド感が増すでしょう。
トラッド系ファッション。コーデのコツ
さて、トラッド系アイテムが分かったところで、続いてはコーディネートするコツです。
以下のようなことに注意してコーデしてみてください。
(1)シャツのボタンをすべて閉めて、きちんと見せる
トラッドコーデで大事なのは、きちんと感を出すこと。シャツアイテムはそれだけでかっちりさは出せますが、第一ボタンまできっちり留めることでさらにきちんと感は増します。
そして、前述の通り選ぶアイテムは白シャツだとトラッド感はますますアップ。
真面目な優等生をイメージしてコーディネートしてみると成功するはずです。
(2)革小物でかっちり感を出す
小物使いでもトラッドなムードを演出できます。レザー素材だとメンズっぽさやかっちり感が出るので、1点でもいいので取り入れてみましょう。
ベルト、バッグ、シューズなどは女性でも取り入れやすいと思います。
黒はもちろん、ちょっと優しげに見せたい人はブラウンのレザーアイテムでもOK。シューズにローファーを持ってくれば、簡単にトラッド感が増します。
(3)白ソックス合わせでお行儀よく!
清潔感のある白ソックスを足元にちらっと見せるのも、手軽にできるトラッドテクニック。
ソックス合わせは、上級者向けと思われがちですが、白ソックス×革靴なら相性がいいので、難なくできるはず。ぜひ、ローファーやバレエシューズなどを組み合わせてみましょう。
この足元コーデは、スカート、ワンピース、パンツ、どれでも幅広く応用できるのがメリットです。
(4)物足りない場合はベレー帽やキャスケットをプラス
トラッドスタイルを目指してコーディネートしてみたものの、何か物足りなさを感じたら、ベレー帽やキャスケットを足してみましょう。トラッドな雰囲気を即演出してくれるので、頼りになるアイテムです。
初心者の方は、いつものコーデにベレー帽やキャスケットを足して、プチトラッド気分を味わってみるのもいいかもしれません。
流行に左右されにくいトラッドファッションに挑戦してみよう
よく耳にするトラッドファッション。白シャツやチェック柄スカートなど、どちらかというとベーシックでスタンダードなアイテムでコーディネートするので、まねしやすいはず。
春夏ならポロシャツを使ってもかわいいので、もし気になったらトラッドコーデにぜひトライしてみてください。
トレンドを追いかけるのに少し疲れた人にもおすすめしたいスタイルですよ。
(文:弓削桃代、イラスト:ヤベミユキ)