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相場っていくら? 不祝儀(香典)の正しい選び方と書き方

松本繁美(マナーアドバイザー)

Hatsumi

法事・法要に招かれた際に必要となる不祝儀(香典)。初めて法事に招かれた場合、どのくらいの金額を包めばいいのか、不祝儀袋はどれを選べばいいのか、宗教によって書き方や包み方にちがいはあるのかなど、疑問はたくさん。そこで今回は、マナーアドバイザーの松本繁美さんに、不祝儀に関する正しい作法や金額を解説してもらいました。

不祝儀(香典)の目的とは?

不祝儀とは、御悔み事のことをいい、不祝儀袋は御悔み事で用いる袋を指します。通夜や葬儀の際に持っていく不祝儀のことを御香典と呼びます。また、香典(こうでん)とは仏式などの葬儀で、死者の霊前などに供える金品をいいます。香料ともいい「香」の字が用いられるのは、香・線香の代わりに供えるという意味です。通例、香典は香典袋(不祝儀袋)に入れて、葬儀(通夜あるいは告別式)の際に遺族に渡します。ここでは、適切な不祝儀袋の選び方と、金額相場について見ていきましょう。

不祝儀袋の選び方と金額相場

不祝儀袋の選び方

まず、仏式または神式の場合、結び切りの黒白(または銀色)の水引の袋を選びます。まれに京都などで、黄白の組み合わせの袋もあります。結び切りとは、水引を固く結んであり、解くことができないため、葬儀のように人生に一度きりの場合に使います。香典など、中に入れる金額で選び方も異なります。

3,000~5,000円の場合は水引が印刷されている物を、1万~3万円の場合は水引が黒白・銀の物を選びましょう。また、キリスト教の場合は、お花料として、白色無地で十字架や百合の花が印刷された袋が一般的です。水引の袋も蓮の花の印刷が施してなければ、「ご霊前」として使用することができます。

不祝儀で包むべき金額相場

不祝儀の金額相場は、渡す相手によって変わります。金額は、両親は5万~10万円、親戚は1万~5万円、友人や仕事関係者は1万円、知人は5,000~1万円が相場です。また、4・2・6・9がつく金額はタブーとなっているため、注意しましょう。

不祝儀袋の書き方や渡し方のマナー

ここからは、不祝儀袋の正しい書き方について解説していきます。

祝儀袋の書き方

不祝儀袋の表書き

仏式では御香典、お香典、ご霊前、御仏前、神式では御霊前、御玉串料、ご霊前、神饌料、キリスト教式ではご霊前、お花料、無宗派式・宗派がわからない場合には御霊前、ご霊前と書きます。仏教の場合の表書きは、一般的に御霊前が多く、通夜・葬儀だけでなく、四十九日(忌明け)より前の法要でも用いられます。また、浄土真宗では「御仏前」を用います。

不祝儀袋の表書きは、濃墨であってもマナー違反ではありませんが、通常は薄墨を使用します。硯(すずり)で墨をすっていたときに、悲しみの涙で薄まったということに由来しています。ただ、キリスト教や京都のある仏式では、濃墨で書きます。無理に薄墨で書く必要がないことは、どの宗派も同じです。

通夜の場合、葬儀の前で死者が仏(ほとけ)にはまだなっていないとの観点から、御霊前とする考え方がありますが、その一方で浄土真宗のように、亡くなったらすぐに仏(ほとけ)になるのだから御仏前とするという考え方もあり、不祝儀袋の表書きはさまざまです。葬儀に参列するまでに宗派がわからないこともあるので、御霊前が無難であるとされています。法事の場合は、完全に仏になられたとして、御仏前を使います。

夫婦で参列する場合には、中央に夫の氏名を書き、その左に妻の名前を書きます。2人で一緒に香典を包む場合には、中央を挟んで2人の氏名を書きます。3人で一緒に香典を包む場合には、中央にひとり、左右にひとりずつ書きます。いずれも上下関係があれば、一番右に上位者の氏名を書きましょう。

会社の部署や複数人で包む場合は、中央に部署名(「総務部一同」など)を書き、その右側に「○○株式会社」といった社名を書きます。会社で香典を出す場合は、社名を右側に、代表者の役職と氏名を中央に書きます。

不祝儀袋の中袋の書き方

不祝儀袋の中袋には、金額や住所、氏名を書きます。金額は、中袋(中包)の表側に「金壱萬円」などと書きます。ゼロ(0)を増やしたり、3を8に書いたりといった金額の改ざんを防ぐために、数字ではなく次のような漢字を用いましょう。

1→壱
2→弐
3→参
5→伍
7→七
8→八
10→拾
1,000→仟
10,000→萬

裏の左側半分に住所と氏名を書きます。香典返しや法事のお知らせに使用するため、住所が必要になります。きちんとわかりやすく書きましょう。ここは薄墨である必要はなく、濃い黒で書きます。

不祝儀袋に入れるお金(お札)は、お札の裏が表に向くように入れるのが慣例です。「顔を伏せる」との意味がありますが、特に決まっているわけではありません。お札は新札を避け、使用済みの物を入れます。新札を使うと、あらかじめ死を予想して用意しておいたと受け取られるためです。新札やピン札しかない場合は、一折りすれば問題ありません。

不祝儀の渡し方

不祝儀袋も、袱紗(ふくさ)に包んで渡すのが正式です。袱紗の色は紫やグレーの物がふさわしいでしょう。紫の物は、慶事にも使えるので重宝します。この場合、包み方(折り方)が慶事と逆になります。

また、不祝儀袋がすっぽりと入る専用ポーチなども販売されています。袱紗で包んだ場合は、受付で中身が相手側になる向きに開いて渡します。袱紗は袋が汚れたり、折れ曲がったりするのを防ぐためですので、なければハンカチやクリアファイルでカバーして持っていきましょう。

この場合、あらかじめ不祝儀袋を取り出しておいて、受付で渡します。袋は相手側から見て正面から、両手で差し出します。「この度はご愁傷様でした」と述べたあと、一礼をして渡しましょう。

相手の宗教がわからないときは「御霊前」を選ぼう

不祝儀に関するマナーについて解説しました。もし、相手の宗教がわからないという場合は、一般的な表書きである「御霊前」を選びましょう。不祝儀の正しい書き方や包み方、渡し方のマナーを心得ておくことで、訃報を受けた際も落ち着いて対応できるはず。失礼がないよう、大人の振る舞いを心がけましょう。

(文:松本繁美、構成:Hatsumi/マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

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