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職場のムードメーカーは仕事ができる? どうやったらなれるの?

藤井佐和子(キャリアアドバイザー)

キャリアアドバイザーとして、毎日たくさんの女性の悩みに答えていますが、会社を辞めたい、異動したい、という人の悩みの種は大きく分けて「仕事内容が合わない」「職場環境・人間関係」の2点です。

仕事内容については異動や転職で解決することもありますが、「職場環境・人間関係」は、「せっかく転職してもまた職場の雰囲気が悪かったら、と思うと一歩踏み出せないんです」そう躊躇されている人も少なくありません。そう、「職場環境・人間関係」に関しては異動・転職しても、また同じ悩みが付いて回ることはありえます。どこでもストレスなく働くため、もしかすると、自分を変えることに目を向けるも大事かもしれません。

そのような観点から、今回は職場の「ムードメーカー」についてお話ししたいと思います。

ムードメーカーとは

どの職場でもうまくやっている人ってどんな人でしょうか。周囲の環境に左右されず、むしろ自分でよい空気を作れる人かもしれません。ひと言で言い表すと、「ムードメーカー」です。特に1日中職場の席にいる内勤の人は、このムードメーカースキルを持っていれば、どの職場でも必要とされるとも言えます。

ムードメーカーの意味

ムードメーカーという言葉はよく耳にするものの、一体どういう意味なのでしょうか。辞書(大辞林)によると「その場の雰囲気を上手に盛り上げる人」と書かれています。この、「上手に」がポイントになりそうですね。

職場のムードメーカーの特徴

職場のムードメーカーとされる人が持ち合わせている特徴には、以下のようなものがあります。

(1)自ら挨拶する

基本的なことですが、出社したとき、帰るとき、笑顔と明るい声で挨拶をしていますか? 会社にギリギリに到着し、わき目もふらず、自分の席にまっしぐらだったり、朝から余裕なく、しかめっ面でパソコンに向き合っていたり……自分から挨拶したり話しかける以前に、周囲に目を配る余裕のない状態の人っていますよね。人間関係の基本となる、挨拶って意外と大事です。人間関係は、挨拶にはじまり、挨拶に終わる、と言っても過言ではありません。ムードメーカーの人は、常に自ら挨拶しています。

(2)聞き上手

よく「話すのが下手で、人とコミュニケーションするのが苦手なんです」と悩みを打ち明ける女性がいます。しかし、自分から話すだけがコミュニケーションではありません。人の話をちゃんと聞けることが、信頼関係を構築するためにもっと大事なのです。

自分の話を笑顔や穏やかな表情で熱心に聞いてくれる相手に対し、この人だったらもっと心を開いても大丈夫かも、と気を許すことってありませんか? チームの成果が上がるかどうかは、実はお互いの話を否定せずに聞いているかどうか、で差が出るとも言われています。「それは大変だったよね」「がんばってるよね」など、労いの言葉がけをしつつ相手を受け入れる人のまわりには、いつの間にか柔らかい空気が流れているものです。自分から積極的に話すのが苦手でも、上手に聞くことで場を明るくすることもできるのです。

(3)ポジティブワードを使う

言葉の端々に嫌味やネガティブなワードが入る人っていませんか? 同じ意味でも、言い方、言い回しによって、周囲の捉え方が変わってきます。仕事を頼むと結局はやってくれるけれど、ひと言ネガティブな言い方をされてしまう、という人にはだんだん頼みたくなるものです。同じ意味ならポジティブな言葉に変換して表現しましょう。
ネガティブワードが浮かんだときは、素早くポジティブワードに変換して言葉を発する練習をしてみるといいでしょう。たとえば「いつも細かい人だね」⇒「私では気づかないことに気づいてくれる人だね」という感じです。

(4)人のよいところに気づいてすぐにフィードバックする

いわゆる褒め上手な人です。本当の褒め上手な人は、表面ではなく、その人の行動をきちんと見てフィードバックします。褒められた人は、「日頃私のことをよく見てくれている」ということをとてもうれしく感じるものです。
もちろん、「そのバッグ素敵だね」など、目に入ったものを褒めるのもよいですが、そういう場合はなぜよいと思ったのかを併せて伝えるのが肝心です。たとえば「〇〇さんの今日の服に似合っている」などです。仕事においても同じです。具体的にフィードバックできる人がほめ上手な人です。

参考記事はこちら▼

「ムードメーカー」とは、その場の空気を明るく、元気にしてくれる存在。あなたはのムードメーカー度を診断します。

ムードメーカーと仕事の関係

ムードメーカーがいるおかげで、職場の雰囲気、人間関係がよくなりそうなことはイメージできますが、では、仕事上の成果にどのような関係があるのでしょうか。ムードメーカーになることの、仕事上のメリットに関してお伝えします。

ムードメーカーは仕事ができる?

ムードメーカーと呼ばれる人の中には、残念ながら仕事に結びつかない人もいるのです。以前、ある管理職からこんな相談を受けたことがあります。
「チームメンバーのひとりの女性は、とても明るくいわゆるムードメーカー。だけど、仕事中ずっとしゃべっていたり、ランチから戻ってくる時間が遅れたり、仕事も納期を守らないことが多くて困っている。明るく周囲に影響力のある人だから、注意しづらいのも悩ましい。ほかのメンバーもその人の影響が強く、あれでいいんだ、と思ってしまっている様子。なんて注意したらいいものか……」。

折角ムードメーカーなのに、もったいない! では、どうしたら仕事の成果に結びつくのでしょうか。何がこの女性には足りないのでしょうか。

おそらくその女性は、全体が見えていないことがマイナスになってしまっているのかもしれません。全体が見えているとは、「自分に期待されている成果がわかっている」「自分の行動の影響がわかっている」「ビジネス視点を持っている」などのことです。ここの目が欠けていると、ただただ楽しい人、になってしまいます。特に社歴が長くなると、まわりも注意しづらくなるもの。ますます注意が必要です。

全体を見れる目を持った、仕事のできるムードメーカーをどうせなら目指しましょう。

ムードメーカーの仕事上のメリット

ムードメーカーとしてのスキルを仕事に活かすためには、以下のようなメリットを感じて仕事をしてみてはいかがでしょうか。

(1)リーダーの役割を任せてもらえる

ムードメーカーに期待されるのは、「リーダーシップ」です。この人がリーダーなら、みんなのモチベーションもアップし、チームとしての仕事が期待できます。

(2)発言しやすくなる

ムードメーカーは日ごろからの関係構築ができています。後輩や上司、他部署の人、ときには経営者とフラットにやりとりができる人も! そのため、自分がこうしたい、と思ったことは、発言しやすく、通りやすくなります。

(3)お給料アップ

ムードメーカーは言い換えればヒューマンスキルです。会社の評価項目には、テクニカルスキルで測られる部分もありますが、一方でヒューマンスキルも見られています。このスキルが会社によい影響を与える、と思われれば、評価はアップするはずです。

(4)「辞めないでほしい」と必要とされる

ヒューマンスキルを評価されることで、この人にいてほしい、なくてはならない存在となります。よい影響力を発揮することで、より多くの人に存在を求められることになるのです。

ムードメーカーは転職に有利?

今の会社での評価はもちろんですが、転職でもムードメーカーは有利になります。求人内容にはどんな人がほしいか、といった企業側の要望が書かれていますが、たとえば〇〇の経験〇年以上、といった業務に即した要望だけでなく、人物的な希望も並列で書かれています。

その中に度々見かけるのが「ムードメーカー」というワードです。キャリア相談では、転職の際の自己PRに悩んでいる人も多いです。そこで伝えているのが、自身が入社したら、周囲にどのような影響を与えられるのか、前職の経験を実績としてアピールすることです。その人が入社してくれることで、職場をよい雰囲気にしてほしい。そう願う企業は多いものです。

職場のムードメーカーになるには

では、職場でムードメーカーになるには、どうしたらいいのでしょうか。自分には素質があるのかどうかも気になりますよね。ここでは、ムードメーカーになる方法を具体的に紹介します。

ムードメーカー診断

まずは、自分にはどの程度ムードメーカーになるポテンシャルがあるのかを診断してみましょう。以下のチェック項目に当てはまる数が多ければ多いほど、ムードメーカーになる素養があるということです。

いつも自分から笑顔で挨拶している

人から相談されることが多い

人をよく褒める

人の話を一生懸命聞くタイプ

頼みごとをされても嫌な顔はあまりすることがない

本音で誰とでもフラットに話せる

言いたいことは我慢せず、前向きな表現で発言することが多い

職場のムードメーカーになる方法

以下の3つのことを心掛けたり努力したりしてみましょう。

自分から明るく挨拶する

会社には時間ギリギリにならないよう、ゆとりをもって到着しましょう。呼吸を整え、笑顔でオフィスの扉を開き、みんなの目を見て挨拶しましょう。

サポートしてもらえることは頼り、ある程度の余裕を持つ

いっぱいいっぱいだと、周囲を見る余裕がなくなりますし、話しかけづらいオーラが出てしまいます。仕事を抱え込んで、なんで私だけ? とならないためにも、日ごろから抱え込まない、人にサポートしてもらうことを申し訳なく思いすぎないことも大事です。

楽しいことを考え、共有する

これが終わったらお茶しよう! といった風に、仕事が終わったあとの楽しみを常に用意しておきましょう。それをみんなと共有するのもよいでしょう。

ムードメーカーは心がけ次第で誰でもなれる

ムードメーカーはヒューマンスキルです。キャリア相談では、何の取りえもないし、とか、資格も持っていないし、と自信がない状態の方もきますが、ムードメーカーも大事なスキル。しかも、仕事内容や職場をまたいで活用できる使えるスキルです。

年齢とともにこのスキルに磨きをかけることで、30代だってその先だって必要とされる人材となれることでしょう。自分に強みを持たせたい人、職場の人間関係に悩んでいる人、まずは「職場のムードメーカー」を目指してみてはいかがでしょうか。

(藤井佐和子)

※画像はイメージです

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