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辞めてもいいの? 「寿退社」するか悩んだら……

沖圭祐(キャリアコンサルタント)

結婚を考えている時、「寿退社」をするかどうか迷うこともあるのではないでしょうか。パートナーが「辞めてもいいよ」と言っているとしても、経済面など将来を不安に思うこともあるかもしれません。この記事では「寿退社」を考えるにあたって、大事にしたいポイントを紹介していきます。

今どきの「寿退社」事情

結婚を機に、女性が会社を退職する「寿退社」。まずは今どきの「寿退社」事情について整理しておきましょう。

寿退社する女性の割合

まずは寿退社する女性の割合についてです。厚生労働省が行っている「平成29年雇用動向調査」では女性の退職理由のうち「結婚」がおよそ3%となっています。ただ、「寿退社」の場合、表向きの退職理由は「一身上の都合(個人的理由)」となることも多いですし、実際はもっと多くの人が寿退社していると考えられます。2013年のマイナビニュースの記事によるとおよそ4分の1の人が「寿退社」を希望とのことなので、今でもきっと多くの女性が「寿退社」を検討しているのではないでしょうか。「今どき寿退社なんて……」とまわりを気にする必要はないでしょう。

迷惑? 「寿退社」に対する企業側の思い

「寿退社」について企業側はどのように思うかについても考えてみましょう。まずひとつ言えるのは「寿退社」に限らず、簡単に辞められては困るということ。育てるまでに多くの時間を割いていれば割いているほど、「その時間が無駄になってしまった」と考える上司や先輩も多くいるのです。

また、なるべく早い段階で、「結婚後には仕事を辞めたい」という意思を知りたいと考える管理職の人も多いようです。人事異動や指導方針などにも影響が出てきますし、上司との面談などで、今後のキャリアビジョンについて早めに伝えておくことを心がけましょう

寿退社したいけど……デメリットはあるの?

寿退社したいと思っても、デメリットも大きいかも……と不安になることもあるかもしれません。ここでは寿退社のデメリットについて整理しておきましょう。

寿退社のデメリット

デメリットについては次のようなものが挙げられます。

収入が減る

多くの人が悩むポイントです。給与面だけではなく、子どもが生まれたときの出産手当金や育休手当も含め考えることが大切です。

好きなものが買いづらくなる

自分で働いて得る収入がなくなることで「パートナーの給料だから、自分の好きなものを買いづらい」と感じる人もいます。

再就職したいと思った時に「ブランク期間」と受け取られ、採用されづらくなる可能性がある

寿退社して、再び就職しようと思ったとき、専業主婦であった期間を「ブランク期間」ととらえ、採用に消極的になる企業もあります。ただし、人柄や能力が企業のニーズと合っていれば再就職は可能なので、「ブランク期間」のことは深く考え過ぎないでいいでしょう。

所属するコミュニティがなくなり、孤独感を感じやすくなる

専業主婦になるとひとりで過ごす時間も長くなりがちです。自分はひとりの時間も楽しめるタイプかどうかは改めて振り返っておくといいでしょう。

寿退社するか悩む人へ

「寿退社」について調べていても、実際にどう決めればいいか悩むこともあるかもしれません。ここでは、迷っているとき、どう打開していけばいいかお伝えしていきます。

寿退社しない方がいい女性とは

「寿退社」に悩むぐらいならしない方がいい女性もたしかにいます。ここではいくつか例を挙げていきますね。

社会人になって間もない人で、仕事内容などに一定の満足感を得られている人

社会人になって間もない人で、かつ職場環境や仕事内容にある程度満足している人は簡単に寿退社しない方がいいでしょう。一人前になるまで仕事を続けることで、大幅なスキルアップや、会社や上司などへの恩返しにもつながるからです。ただし、職場環境や適性によっては無理をしなくてもいいでしょう。

孤独がとても苦手な人

孤独にどの程度耐えられるかには個人差があります。専業主婦になってからでもコミュニティに属することはできますが、ゆるいつながりになることがほとんど。「長い時間誰かと過ごしたい」という思いが強いのであれば、寿退社しない方がいいでしょう。

寿退社するか悩む人へのアドバイス

収入が減ること、所属するコミュニティがなくなること、会社やお世話になった人への恩返しができているか、などいろいろなことで悩むかもしれませんね。人生の大きな岐路でもあるので、悩んで当然だと思います。

最終的には自分とパートナーとでじっくり話し合い、納得のいく決定をしましょう。収入面での不安が強まれば、寿退社してからでも再就職は十分可能です。働き方も多様化しているので、これを機にどのような働き方が合っているのか自分を振り返ってみるのもいいですね。

「寿転職」という選択肢も

選択肢を広げるのであれば、「寿退社」ではなく、結婚を機に転職する「寿転職」という方法を考えてもいいでしょう。ここではその「寿転職」について紹介していきます。

「寿転職」とは

最近「寿転職」という言葉が少しずつ広まってきています。人手不足や女性活躍推進、働き方の多様化といった世の中の動きも影響しているでしょう。選択肢が多くなったぶん、結婚を機に転職をしたいと考えている人も多いはずです。

「寿転職」が向いている人

では「寿転職」に向いている人とはどのような人でしょうか。ひとつひとつ確認していきましょう。

働き方についてこだわりがある人

正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員、フリーランスなど雇用形態や働き方はさまざまです。さらに、勤務する地域や時間、仕事内容が限定される限定正社員や組織に属しながらリモートワークで働くといった方法もあります。自分のなかで「こういう働き方がしたい!」という思いが明確であれば、「寿転職」を検討するといいでしょう。

適応力がある人

結婚で環境が変わるうえ、仕事も変わるとなると適応力が試されます。生活リズムも大きく変わるかもしれません。コミュニケーション力、仕事を覚える早さなどに自信があれば「寿転職」を考えるといいでしょう。

自分の本音を大切にして幅広い選択肢から考えよう

「寿退社」を考えるとお金のことや将来のことで不安になるかもしれませんが、人生にはいろいろな選択肢があるということを知ったうえで決めることが大切です。「寿転職」という方法もありますし、リモートワークやフリーランスで自宅勤務といった選択をしている人もいます。パートナーと相談をしつつ、自分で納得のいく決定をするということを心がけましょう。

(沖 圭祐)

※画像はイメージです

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