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「コンコルド効果」から見る、破滅の心理とは? 恋愛における対処法

小日向るり子

コンコルド効果とは、旅客機のコンコルドから派生した心理現象のことをいいます。具体的にはコンコルド効果とはどういう意味か? また恋愛におけるコンコルド効果との関連性とは。心理カウンセラーの小日向るり子さんが解説してくれました。

「コンコルド効果」という言葉を聞いたことはありますか? 聞いたことがない人も多いと思いますが、旅客機のコンコルドと言えば聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

実は、コンコルド効果とは、この旅客機のコンコルドから派生した心理現象のことをいいます。

今回はコンコルド効果とは何か? また恋愛におけるコンコルド効果との関連性を解説していきます。

コンコルド効果とは?

まずはコンコルド効果の意味と由来、また具体例について解説してきます。

コンコルド効果の意味

「コンコルド効果」とは「埋没費用効果」の別名です。

埋没費用効果とは、ある対象について、これ以上金銭・時間・精神的なエネルギーを注ぎ続けても無駄になることがわかっているのに、それまでの投資を考えると惜しい・もったいないといった気持ちが湧いてやめられなくなる心理状態のことです。

コンコルド効果の由来って?

コンコルドとは、フランスとイギリスが共同開発し、1969年に初飛行された超音速旅客機の名称です。

コンコルドは開発当初から旅客定員の少なさや燃料の問題があり、採算が取れないと言われていました。しかし、そのまま開発を続けて就航がはじまります。

その結果、開発会社は莫大な赤字を出して倒産しました。この一連の商業的失敗をたとえて、「コンコルド効果」と言うようになったのです。

コンコルド効果の具体例3つ

(1)ギャンブル

コンコルド効果でもっとも具体的な例はパチンコ等のギャンブルです。

たとえばパチンコに行って5000円を投資してもまったく玉が出なかったとします。ここでやめたほうがよいとは思うが、同時に「あと少し追加して粘れば出るかもしれないのに、ここでやめたら5000円すべてが無駄になる」と考え、さらにつぎ込んでしまうケース。

ギャンブル以外でも、株や仮想通貨といったギャンブル性のある投資もこの心理が働きやすい代表的な例です。

(2)ゲーム

オンラインゲームやゲームアプリの普及によって最近増えてきているのがゲームにおけるコンコルド効果です。

コンプリートした際に大きな達成感が味わえる仕様になっているゲームが多くなっていることも「ここでやめたら逆にもったいない」という意識を高める一因になっています。

(3)つまらない娯楽

映画館で映画を見はじめたけれどとてもつまらない。でもせっかく来てお金も払ったのだし、と考えて結局最後まで見てしまう。

食べ放題の店に行ったが思ったほどおいしく食べられるものがない。でも食べ放題だから元を取らなくてはという気持ちが勝り、おいしくないのに食べ続ける。

このような「予想外につまらなかった娯楽」にもコンコルド効果が生じやすいです。

コンコルド効果と恋愛の関連性

コンコルド効果は恋愛にも関連してきます。

ここではコンコルド効果と恋愛の関連性について解説していきます。

恋愛でコンコルド効果が働く場面

コンコルド効果は有限なものに大きく投資すればするほど働きます。有限なものの代表といえば「時間」と「お金」ですよね。

恋愛においてもこの2つにどのくらい投資したか、がポイントになってきます。

(1)片思いのコンコルド効果

好きな人ができると色々なものをプレゼントしたくなってしまうタイプ。俗にいう「貢ぎ癖」のある人が片思いをすると、お金に対してコンコルド効果が生じやすくなります。

特に、相手がプレゼントをもらった際に大げさに喜んでくれたりすると、「もっと高価なものをあげたらもっと喜んでくれるかもしれない→お付き合いできるかもしれない」という気持ちになり、相手に対するプレゼントの金額や回数がどんどん増えていきます。

(2)結婚のコンコルド効果

結婚生活においては「お金」と「時間」のほか、そこに「現実問題」が加わってきます。

結婚という社会制度に至るまでには、親をはじめとしたまわりへの挨拶、婚姻の事務手続きなどそれなりのエネルギーを使います。結婚式や新婚旅行に多くのお金をかける人もいるでしょう。

さらに子どもがいたりマイホームを購入したりした夫婦は、離婚を考えた際に、こうした「現実問題」をどうするかということも大きな障壁となってきます。

そうなると、せっかくここまで続けてきたのだから最後まで添い遂げよう、というここにザイガニック効果(※)も加わり、という夫婦関係を継続していくことに固執するのです。

※ザイガニック効果……人は達成できたものより達成できないものについて強い印象と記憶が残るという心理現象

片想いであっても結婚生活であっても、コンコルド効果はそこに投資したものが長くなればなるほどこじらせていってしまう傾向にあります。

恋愛のコンコルド効果から抜け出すには?

こちらも片思いの場合と結婚の場合に分けて解説します。

実る見込みのない「片思い」の対処法

片思いの場合はある種のファン心理と同じ。よほど酷い振られ方をした場合でない限り、その人を好きでいた時間は「素敵な思い出」として残ることが多いです。

ただしお金は別。現実問題として「素敵な思い出」では済まなくなることがあります。

好きな人につぎ込むお金はレジャー費用としてひと月に使用できる金額の上限をしっかりと決めましょう。貢ぎ癖の自覚がある人は、達成感のある趣味を持つこともお勧めします。

「あることをやり遂げる」という体験は、すべてのことにおいて自己管理能力の醸成にができることにつながっていくからです。

続けても幸せではない「結婚」の対処法

物は思い出とセットになっています。この思い出が投資した過去を思い出させ、現状を変えることを拒んでしまいます。

したがって、抜け出したいと思ったら、まず物を捨てていくことが大切です。そしてそれ以上ため込まないこと。

もうひとつは自分を犠牲にする精神からの脱却です。コンコルド効果に陥る心理の底には必ず「夫のためにここまで我慢してやってきたのだから」という自己犠牲の精神があります。

心がけることは、まず自分自身がハッピーであること。離婚をしたほうがハッピーならば、その選択はまちがいではないのです。

コンコルド効果と上手に付き合っていこう!

コンコルド効果は人間の一般的な心理状態ですので過度に否定するものではありません。誰でも一度は心あたりのある心理状態ではないかと思います。

ただ、先が見えているのに止められないという状態は本人にとっても苦しいですよね。

まずはこうした心理状態があるのだということを知ること。その上で、自覚がある人はそうした自分の心と冷静に向き合っていくことが大切です。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

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