※このコラムは『子宮恋愛』7話までのネタバレを含んでいます。
■一杯のコーヒーがまきに与えた衝撃
恭一(沢村玲)へ離婚を突きつけ、逃げるように家を出たまき(松井愛莉)は、気付けば山手(大貫勇輔)の家に転がり込み、そのまま一線を越え、夜を明かしてしまいました。
翌朝目覚めると、コーヒーを淹れてくれる山手。何気ない出来事ですが、これはまきにとって目が覚めるほど衝撃の出来事だったことでしょう。
今まで恭一のために、朝から晩まで家事から雑用まで全てを一人で担ってきたまき。恭一よりも早起きをして、先に朝食を作っていた立場なのに、自分よりも先に起きて自分のためにコーヒーを淹れてくれる人がいるのですから。
その感覚にむずむずしてしまい、座って待っていることもできず「何か手伝えることありますか?」と、山手に声をかけます。「冷蔵庫からミルク出してくれる?」と、押し付けることも、遠慮することもなく程よい距離感で頼む山手。モラハラに飼い慣らされた嫁として仕上がりまくってきたまきにとって、全てが新鮮であり驚きだったのではないでしょうか。
にしても山手の冷蔵庫、利用している容量に対してサイズがクソデカすぎでしたね。入っていたのは牛乳1本に水のペットボトル数本。自炊は一切してなさそうな中身ですが、冷蔵庫はファミリーサイズレベル。なんという贅沢な空間使い。多分野菜室は何も入っておらず空気だけ冷やしてる系に違いありません。
■突然の擬似同棲
「うちでよければいつまでもいてくれていいからね。今夜遅くなりそうだから先帰ってて」と、山手はまきに合鍵を渡します。昨日までお互いただの同僚で、お互い好意があるかも……くらいの距離感をうかがっていたような二人が、一晩で一気に擬似同棲にまで発展してるとか、ドキドキが止まりません。「お互い自分のことは自分で」と、まきにも気を使わせない気遣いがまた山手らしい。
二人で一緒に出勤する道中、恭一から着信が入り、まきはそれを拒否します。恭一の言いなりだった、今までのまきならありえない行動。慣れない反抗をしたことで、ドキドキしてしまったまきの気持ちを察して、山手はそっと手を繋ぎます。
こちらの気持ちを全て見透かしているかのように、毎回欲しい行動をくれる山手。こんなん沼りが止まりません。
通勤に手繋ぎとか、職場の誰かに見られてしまわないかとドキドキしてしまう背徳感がさらに気持ちを加速させそうです。
■思っていた以上に計算高くまきを利用していたモラ男
一方、まきに全てを丸投げしていた恭一は、生活が荒れまくっていました。部屋は乱れ、シャツはヨレヨレ。アイロンのかけられていないシャツを見て寄島(吉本実憂)は、まきが出て行ったことに勘づきます。
「関係ばれたから恭一捨てられちゃうかもなーって思ってた」と言う寄島に反し、恭一は「まきはそのうち帰ってくる。親との折り合いが悪いから居場所がないはず。結局俺がいないと生きていけない」とたかを括りまくっています。
結婚という肩書のために、まきの従順さだけでなく、「他に居場所がないから自分から離れられないだろう」ことまで見越して計算し、まきを選んで利用していたのなら、本当に末恐ろしいモラ男です。
■子どもに纏わる? 2人の約束とは
しかし、予想していなかったまきの反抗に動揺は隠せない様子で、いつもはウーロン茶しか飲まないのに、ウイスキーを注文するなどメンタルにきているよう。
「恭一の方じゃない? まきちゃんいないと生きていけないのは」という寄島。「恭一に会うのは最後にする。なんていうか私、もう恭一にときめかなくなっちゃったんだよね。だから私との約束ももう破っていいよ」と、別れを告げます。
自分のことを好きだと思っていた恭一が、予想以上にまきを想っていたことに気がつき、寄島は恭一から身を引く判断をしたのでしょうか。
過去の二人の意味深な描写も気になります。おそらく寄島が唯一手に入れられなかった子どもにまつわる何かなのでしょう。二人の子どもを妊娠したけれど、残念な結果になってしまったなど、何か悲しい過去がありそうです。もしかすると、まきとの子どもを恭一が望まなかったことも、この二人の「約束」に関わってくるのでしょうか?
■モラとの決別。二つの意味のバイバイ
山手のスマホに女性からの着信があり、まきは自分がその他大勢の1人なのだと舞い上がっていた気持ちに冷静になってしまいます。しかし、今までも度々登場していたこの「里菜」という女性が、山手の子どもなのだと分かり、まきも一安心。しかも山手が大学生の時の子で、すでに高校生だというから驚きです。
自宅に荷物を取りに帰ったまきは、荒れた部屋を片付け始めます。そのまま必要なものだけ持って出て行ってもいいのに、最後に部屋をきれいにして行くところにまきの性格が現れています。
そして、片付けを進めるたびにフラッシュバックする、恭一の数々のモラハラ行為。まきが職場の研修旅行に行きたいと伝えれば「その間の俺の夕飯どうするの? 掃除洗濯、ゴミ出しは?」とまきに畳みかけ、「参加しなくていいか確認する」とまきが折れると「うん」の一言で感謝など同然ないまま黙りこくる。
帰ってきて風呂が沸いていないことにブチギレ、舌打ちして部屋に篭る。など、すでに1000回くらい愛想を尽かしていてもおかしくないほどのモラが走馬灯のように頭に浮かぶのです。
「バイバイ」と、離婚届と指輪を机の上に置き、まきは家を後にします。この言葉には恭一への別れと共に、何も言えず人のいいなりだったまき自身への決別の意味も込められているのでしょう。
自分の意思のままに生きることを決めたまき。これから痛快なほどに恭一を拒絶し、山手といちゃこいてほしい気持ちでいっぱいですが、まきも寄島も失った恭一は、背水の陣とばかりに、今まで以上にまきに固執しそうで恐ろしいですが……。
どうかまきがこのまま幸せになれますように。また次回。
(やまとなでし子)
※『子宮恋愛』はTver、FODにて配信中