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2022年12月12日 11:25 更新

【医師監修】頻尿は妊娠初期症状?妊娠超初期かもと思ったら確認すべきこと

「妊娠超初期」とは医学的な定義があるわけではありませんが、妊娠していなかった場合の生理予定日までを指してよく使われる言葉です。妊娠超初期かもしれないころ「頻尿」になることもあるのでしょうか。妊娠超初期と頻尿の関係について、詳しく紹介します。

妊娠超初期に頻尿になることも。妊娠超初期のイメージ。
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「頻尿」は妊娠の初期症状?

妊娠検査薬や産婦人科での検査でも妊娠を確定できない時期だからこそ、ちょっとした症状が気になるのかもしれません。妊娠超初期に頻尿などの、妊娠初期症状らしきものを感じる人もいます。そうした症状は妊娠の兆候なのでしょうか?

妊娠超初期に、頻尿になりやすい人もいる

妊娠初期症状が現れる時期には個人差が大きく、妊娠4週未満の超初期と呼ばれるころに変化を感じる人も中にはいるかもしれません。頻尿もそうした、妊娠超初期に現れる可能性がある症状のひとつです。

「頻尿」とはその名の通り、排尿の回数が頻回=多くなること。具体的には「急に尿がしたくなってトイレに何回も行くようになる」「尿の量が増えて何度もトイレに行く」「一度の排尿ではすっきりせず、排尿の回数が増える」といった症状が現れてきます。

妊娠中に頻尿になるのにはいくつか原因がありますが、妊娠初期の場合は主に、体内の水分量が増加することによって生じます。妊娠中は、赤ちゃんに酸素や栄養などを届けるために、体内を循環する血液の水分量が増加します。この変化は妊娠4週ごろには徐々に始まっていると言われています。そうして増加した水分から尿はつくられるので、尿量も増加するというわけです。

頻尿は妊娠中、じつに9割以上の女性が経験しているという調査結果もあるほど、妊娠中に起こりやすいマイナートラブル[*1]。まだ妊娠が確定しない超初期の時期に頻尿となる人も中にはいるかもしれません。

つわりも? 妊娠超初期に現れるかもしれない兆候

頻尿のほか、妊娠超初期に現れるかもしれない兆候には以下のようなものがあります。

・つわりのような症状
(吐き気、においに敏感になる、唾液の増加、食欲不振)
・食欲の増大
・眠気
・全身の倦怠感
(だるさ)
・気分が沈む・イライラする
・頭痛
・便秘
・尿漏れ


妊娠超初期に現れる可能性がある症状について、詳しくは下記の記事も参照してください。
関連記事 ▶︎妊娠超初期の症状をチェックする16のリスト

妊娠超初期はどんなことが子宮で起こっている?

そんな様々な症状が現れることのある妊娠超初期とは、そもそもどのような時期なのでしょうか。

妊娠超初期の時期|妊娠4週未満=妊娠超初期

妊娠期間は、その経過に応じて「初期・中期・後期(末期)」の3つに大きく分けられます。それぞれ医学的には、妊娠0~13週を妊娠初期、14~27週を妊娠中期、28~39週を妊娠後期(または末期)と定義されています。

ただし、妊娠に気付いたり、妊娠検査薬で陽性反応が出たりするのは、本来なら次の生理開始予定日である「妊娠4週以降」が一般的。「妊娠4週未満」も妊娠初期には含まれますが、これといった変化を感じずに過ごす人が多い時期です。

とはいえ中には、そうした妊娠がはっきり分からない時期に身体の変化を感じる人もいます。そのような背景もあり、「生理予定日前(妊娠4週未満)まで」の「妊娠しているかもしれないけれど、妊娠検査薬や産婦人科の検査でもまだ調べられない時期」を指して、「妊娠超初期」と呼ぶことが多いのです。

妊娠超初期に起こっていること|排卵、受精、そして着床

そんな妊娠超初期、身体の中ではどんな変化が起きているのでしょう。

妊娠3週までの時期は、生理が始まって終わった後、排卵された卵子が精子と受精して、受精卵が子宮に着床するまでにあたります。

妊娠週数のカウントは、妊娠する前にあった最後の生理の開始日を起点として数え始めます。妊娠0週で生理が始まって終わり、その約2週間後=妊娠2週のはじめころに排卵がおこります。そのタイミングで性交渉があると受精し、受精卵が子宮に着床して妊娠が成立します。ここまでが大体、妊娠3週までに起こることです。

妊娠が成立すると女性の身体では妊娠したことを示すホルモン、「hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)」が、受精卵の着床でできる胎盤絨毛細胞から分泌され始めます。hCGの分泌量が多くなってくると、母体の尿中に排出されるようになります。妊娠検査薬はその尿中のhCGを検出し、妊娠の可能性を判定しているのです。

hCGが母体の尿中に排出され始めるのは、妊娠4週を過ぎたころからです(ただし、このころはまだ尿中の量が十分でないので、通常の妊娠検査薬は妊娠5週を過ぎてからの使用が推奨されています)。

妊娠4週未満の妊娠超初期の段階ではhCGの分泌量がまだ少なく尿中にほとんど出ないので、通常の妊娠検査薬を使うには早すぎます。また、産婦人科でも、このころは赤ちゃんを包む袋である「胎嚢」がまだ小さすぎて超音波検査で確認できません。

これはあくまで生理や排卵の周期が標準的だった場合であり、実際には個人差がありますが、妊娠超初期の女性の身体では、およそこのような変化が生じています。

頻尿があって妊娠かな?と思ったら確認すべきこと

頻尿があるので妊娠超初期を疑う女性のイメージ
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急に頻尿の症状が出て、「もしかして妊娠かな?」と思ったときは、どうするのがよいのでしょう。

ほかの原因がないか調べるため、受診する

頻尿はたしかに妊娠初期に起こりやすいマイナートラブルではありますが、何か病気があって起こることもあります。中でも女性に多いのは「膀胱炎」による頻尿でしょう。

女性は尿道が短く膀胱に細菌が入り込みやすいので、もともと膀胱炎になりやすいです。さらに、妊娠するとホルモン変化の影響でさらに膀胱炎になりやすくなります。膀胱炎はほうっておくと炎症が膀胱だけでなく腎臓にも拡がり、「腎盂腎炎」となって高熱を出すこともあります。腎盂腎炎は妊娠していなくても悪化すると命にかかわる病気ですが、妊娠中に腎盂腎炎になると、母体にも赤ちゃんにも大きな悪影響を及ぼします。

他にも、過活動膀胱(尿がまだ溜まっていないのに、勝手に膀胱が収縮する)や糖尿病、腰部椎間板ヘルニア、腫瘍(がん)などで頻尿になる場合もあります。

頻尿が気になったら、まずはそうした病気の可能性がないかどうかを医療機関で調べてもらいましょう。泌尿器科が近くになければ、かかりつけの内科や婦人科でも診てくれるはずです。なお、受診の際は、妊娠の可能性があることを忘れずに伝えてください。

妊娠検査薬は少し待ってから使う

最初にもお伝えしましたが、妊娠超初期は「妊娠しているかもしれないけれど、妊娠検査薬や産婦人科の検査でもまだ調べられない時期」です。そのため妊娠の可能性が高い場合は、少し待ってから妊娠検査薬を使ってみるとよいでしょう。

妊娠検査薬で妊娠を判定するには、hCGが一定以上の濃度で尿中に存在する必要があります。そのため、妊娠検査薬で正しく判定ができるのは通常、本来の生理開始予定日の約1週間後からとされています(早期妊娠検査薬であれば生理開始予定日当日から)。

正しいタイミングで妊娠検査薬を使い、判定が陽性になった場合は、その後なるべく早い時期に産婦人科を受診し、確定診断をしてもらいましょう。

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妊娠検査薬の使用時期について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊娠検査薬は生理予定日当日に使える?

まとめ

まだ妊娠したかどうか確定できない「妊娠超初期」ですが、人によっては体調が変化する可能性もあることを紹介しました。中でも、9割以上の妊婦さんが経験する「頻尿」は、妊娠中のマイナートラブルのなかでも一般的なものですが、その原因は妊娠だけではありません。頻尿に気付いたら、まずは膀胱炎などの異常がないか、医療機関で調べてもらいましょう。また、薬が処方された際には、妊娠のことも考慮して、妊婦さんでも大丈夫なものかどうか念のため確認すると良いでしょう。

(文:山本尚恵/監修:浅野仁覚先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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