【医師監修】妊婦の足がつる原因は? 妊婦のこむら返り予防と対処法

【医師監修】妊婦の足がつる原因は? 妊婦のこむら返り予防と対処法

夜の就寝中にふくらはぎの痛みで夢から覚めたり、朝目覚めて体を伸ばした瞬間に痛みが走ったり……突然、足の筋肉が痙攣(けいれん)する「足がつる」「腓返り(こむらがえり)」という症状。ビックリしますね。もちろん痛さも相当で不快なものです。この「足がつる」という症状も、妊娠に関係して起きやすくなることがあるようです。


この記事の監修ドクター
浅野仁覚先生
アルテミスウィメンズホスピタル(東京都東久留米市)院長。福島県立医科大学、同大学院卒業後、社会保険二本松病院、南相馬市立総合病院産婦人科医長、福島県立医科大学附属病院総合周産期センター(母体・胎児部門)助教、東府中病院副院長を経て現在に至る。日本産科婦人科学会専門医、医学博士、J-MELSベーシックコースインストラクター

妊娠すると足をつりやすくなる、これって本当?

Getty logo

まず初めに、妊娠中に足をつることについて、頻度や特徴をみてみましょう。

妊娠が進むほど足をつりやすくなる

妊婦した女性の40~60%が足をつりやすくなると言われています[*1]。 その頻度は、妊娠の初期や中期は比較的まだ少なく、妊娠後期、週数が進むにつれて多くなります。そして出産後の産褥期には、足をつる頻度がふだんと同程度に戻ります。

なお、足がつるという症状は、腓腹(ひふく)筋と呼ばれるふくらはぎの筋肉に起こることが多いため「腓(こむら)返り」とも呼ばれます。「こむら」とは「ふくらはぎ」の古語です。

ひどい人では日常生活に支障も

足がつるという症状は突然現れ、痛みを伴います。その多くは短時間で治まりますが、妊娠中に頻繁に起きる場合、日常生活に影響が現れることもあり、QOL(生活の質)が低下してしまうようなこともあります 。

足をつりやすいのは何をしている時?

睡眠中に起きやすいのが特徴

足をつるという症状は、一般的には運動中、あるいは足を酷使するような運動をした後に起きることが多いものです。ところが妊婦さんが足をつるというとき、運動との関係はあまりないという特徴があります。睡眠中に起きたり、 朝の起床直後 に多い傾向があります。

足がつりやすくなる理由はなに?

では、妊婦さんはなぜ足をつりやすくなるのでしょうか。その原因は実はまだよくわかっていません。現在のところ、以下に挙げる複数の事柄が関係しているのではないかと推測されています。

お腹が大きくなることによる負担増や疲れ

Getty logo

妊娠中、とくに妊娠後期に週数が進むほど足をつりやすくなる原因として、お腹が大きくなることが関係していると考えられます。

妊娠8ヶ月から10ヶ月にかけては胎児の体重がほぼ2倍に急成長します。お腹が大きくなって体の重心が傾きやすくなるために足に負担がかかりやすくなり、筋肉の疲労を増やすと考えられます。

足の血流の悪化

筋肉が痙攣する原因としては、激しい運動のほか、筋肉に血液が滞ることが関係していると言われています。実際、妊娠後期になると大きくなった子宮によって足の静脈が圧迫され、足の静脈の血流量が約2.5倍に増加すると言われます[*2] 。

また、妊娠に伴いホルモンの分泌が大きく変わることも、血流の悪化の一因になります。妊娠によって増加するプロゲステロンという女性ホルモンには、静脈血管壁の緊張を低下させる働きがあり、そのために静脈が拡張しやすくなります。

血液が薄まる

妊娠が進むにつれて、赤ちゃんに必要な酸素や栄養を送り届けるため血液の量は増えるのですが、それに伴って血液が少し薄くなってきます。血液が薄くなると浸透圧の低下という現象が起き、それが筋肉の痙攣を起きやすくする可能性もあります。

カルシウム、ビタミンDの不足

足がつると訴える妊婦さんにカルシウムを処方したら足をつりにくくなった、という報告があり、足がつる原因としてカルシウム欠乏が関係しているという説もあります。

病気が原因のことも

注意が必要なのは、足のつりが「何らかの体の異常や病気の影響」で起きている場合です。

例えば、脱水、低カルシウム血症、低マグネシウム血症、不安発作、血行の障害、あるいは子癇(しかん)などです。妊娠前から足をよくつっていた方が、妊娠をきっかけとしてより悪化した場合は、背後に病気が潜んでいないか検査が必要かもしれません。いずれにしても、医師に相談することが安心への近道です。

妊娠中に足がつりやすい人の特徴

妊婦さんの全員が足をつりやすいわけではありません。足をつりやすくなる人に共通する傾向がみられます。

体重が急に増加した人

足がつりやすくなったと訴える妊婦さんに多く見られる特徴として、妊娠に伴う体重増加が大きく、特に妊娠中期後半~後期に急速に体重が増えたケースがあります。体重増加が足の筋肉への負担を大きくしていることが関係していると考えられます。

Getty logo

赤ちゃんが大きい

前記の体重が増えることにも関係しますが、妊娠中に足がよくつる妊婦さんは、妊娠中期では腹囲が、末期では赤ちゃんの頭の大きさ(BPD。児頭大横径)が大きいことや、実際に生まれた赤ちゃんの体重が大きいことが報告されています[*2]。

運動量が少ない

また、妊娠中の運動量が少ない人で足をつるという訴えが多いことも報告されています[*2]。運動量が少ないと、足の血流が滞りがちになることが関係していると考えられます。

足をつった! どうする?~上手な対処法

Getty logo

では、いざ足をつったというときはどうすればいいのでしょう。

効果的なのは、痙攣している筋肉を伸ばすことです。

例えば、爪先を上に向けてふくらはぎを伸ばすといいでしょう。その時、手で足の指を持ち上げるのも効果的です。または、膝がしらを押し下げるように、膝から下を手で後ろに押し曲げてもいいです。

寝ている時につった場合、これらの動作を寝たままではなく、立ち上がってやった方が治まりやすいこともあります。一度試してみてください。

足がつるのをできるだけ予防するには?

足がつりやすいという場合、その原因として前に挙げたような異常や病気の可能性がないとわかっていれば、基本的には治療を必要とするものではありません。 とはいっても不快のものですから、少しでも減らしたいものですね。足がつりやすくなる原因の1つ1つに対応し、次のような方法が予防につながると言えます。

体重増加に少し注意を

恐らく、体重管理が最も重要と考えられます。妊娠中の適切な体重管理で、足の筋肉への負担を減らしましょう。

適切な運動を

適度な運動によって、足の筋肉の血流がよくなります。 妊婦体操をするときには特に足や爪先に時間をかけるようにしましょう 。逆に、長時間の歩行などは筋肉の疲労につながり、足をつりやすくしてしまいかねませんので、疲れの残らない程度にしてください。

履きやすい靴を履く

足の負担を軽くするため、ヒールが高すぎず低すぎない、ちょうどよい履きやすい靴を選んで履きましょう。 妊娠中の履物選びは、転倒防止のためにも大切です。

食事の配慮

ビタミンB1、ビタミンD、カルシウム、マグネシウムなどが不足しないように気をつけてください。 反対に、カルシウムの排泄を促進してしまうリン酸を含んだ食物は控えたほうがいいかもしれません。リン酸はハムなどの加工品や食品添加物として使われています。

足を温め、マッサージ

血行がよくなるように入浴などで足を温め、マッサージをしてみてください。寝る前にふくらはぎを伸ばすようなストレッチをするのもいいでしょう。 弾性ストッキングを試してみてもいいかもしれません。

水分をたっぷりと

水分不足だと筋肉が痙攣しやすくなります。その予防のため、水分を十分に補給してください 。ただ、冷たい飲み物は体を冷やして筋肉を硬くしたり血液の流れを悪くしたりしかねないので、控えめにした方がいいかもしれません。

十分に睡眠をとる、疲れをためない

Getty logo

足をつる原因として疲れの影響が考えられるので、十分に睡眠をとって、疲れを解消してください。

医師に相談のうえ漢方薬を試すのもあり

漢方薬の中で、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)の有効性の報告があります 。試す前には医師に相談してください。

まとめ

Getty logo

お腹が大きくなるとその分足の筋肉に負担がかかるため、特に妊娠中期・後期には足がつりやすくなります。また、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが不足することも足がつる要因に。できるだけ症状を予防するためにも長時間の立ち仕事などは避けて筋肉の負担を減らすよう努め、また水分やミネラルが不足しないよう心がけましょう。どうしても頻繁に足がつって困っているときは、かかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。

(文:久保秀実/監修:浅野仁覚先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]ペリネイタルケア(メディカ出版)26(6),p582,2007
[*2]母性衛生(日本母性衛生学会)42(4),p693.2001

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

関連する投稿


乾燥も皮脂も気になる“敏感混合肌”に。ゆらぎにくい肌へ導く、ジェル乳液が新登場

乾燥も皮脂も気になる“敏感混合肌”に。ゆらぎにくい肌へ導く、ジェル乳液が新登場

ナチュラルサイエンスでは、「ママ&キッズ オリゴライン」より、敏感混合肌向けのジェル乳液「オリゴバランスジェル」を5月8日より新たに発売します。


妊娠~授乳・子育て中のママの「栄養ドリンク」が登場、つらい疲れ&肌の不調をケア

妊娠~授乳・子育て中のママの「栄養ドリンク」が登場、つらい疲れ&肌の不調をケア

雪印ビーンスタークは、ママ向けの栄養ドリンク「ビーンスタークマム ママスマイル」を3月4日より発売します。


 スヌーピーで“マタニティアイテム”がかわいくそろう! ベビーザらス限定で登場

スヌーピーで“マタニティアイテム”がかわいくそろう! ベビーザらス限定で登場

日本トイザらスは、マタニティアイテムの必需品を取りそろえた「SNOOPY Maternity Collection(スヌーピー マタニティコレクション)」全11アイテムを、ベビーザらス限定商品として、2月上旬より発売します。


【医師監修】ちくびの周りの“ぶつぶつ”は何? 妊婦は目立つ?

【医師監修】ちくびの周りの“ぶつぶつ”は何? 妊婦は目立つ?

乳輪にあるぶつぶつとした粒状のふくらみが気になる人は多いようです。中には、「もしかしたらなにかの病気?」と不安になる人もいるかもしれません。いったいこのぶつぶつの正体は何なのでしょうか。このちくびの周りのぶつぶつの役割や目立つ時期、取り除く方法などを解説します。


【医師監修】尿蛋白が陽性の妊婦のリスクとは? 原因と下げる方法

【医師監修】尿蛋白が陽性の妊婦のリスクとは? 原因と下げる方法

「尿蛋白(にょうたんぱく)が陽性」とは、柔らかく表現すると「尿に蛋白が降りている」とか「蛋白尿が出ている」と言われる状態です。つまり、尿の中に蛋白質が混ざっているということ。では、尿にたんぱく(蛋白)質が混ざっていているとは、どのような状態なのでしょうか?


最新の投稿


玄関収納のお悩み解決! 収納スペースを増やして玄関をスッキリきれいに

玄関収納のお悩み解決! 収納スペースを増やして玄関をスッキリきれいに

玄関に靴があふれて困る! しまう場所がない! など、玄関収納のよくあるお悩み。今回は、それらの悩みを実際に解決できた3つの事例をご紹介します。


増えすぎてしまった家事には「時短」の前に"やらない"選択を!

増えすぎてしまった家事には「時短」の前に"やらない"選択を!

毎日の家事に追われる日々。あれもこれもと追われる日々に困り果て、「時短」というワードに飛びつく方も多いかもしれません。確かに「時短」を活用し、家事を効率よく回すことも大切。ですが、増えすぎてしまった家事は減ることはありません。今回は、時短家事をする前に考えたい、「やらない家事」について、我が家の事例をご紹介します。


【医師監修】赤ちゃんの肌荒れの原因と正しいケア方法とは?

【医師監修】赤ちゃんの肌荒れの原因と正しいケア方法とは?

赤ちゃんの肌はいつもみずみずしいイメージがあります。でも、それはあくまでイメージです。実はすぐに赤くなったり、カサカサになったり。赤ちゃんが肌荒れを起こさないためにどんなケアをしたらいいのでしょうか。


「森永 はぐくみ」と「森永 E赤ちゃん」がリニューアル。さらに母乳に近づけ成長をサポート

「森永 はぐくみ」と「森永 E赤ちゃん」がリニューアル。さらに母乳に近づけ成長をサポート

森永乳業は、育児用ミルク「森永 はぐくみ」と「森永 E赤ちゃん」を6月上旬より順次、全国にてリニューアル発売します。


【実例】シンクのコーティング、いつまで続く? その効果とは

【実例】シンクのコーティング、いつまで続く? その効果とは

わが家にシンクのコーティング剤が導入されて1カ月が経ちました。このコーティング剤は液体で、手軽に使えて、しかもプロユースな仕上がり! 実際にどのくらい持つのか、どんなところに使えるのか……。今回は、わが家での実例写真をまじえながらご紹介したいと思います。