【助産師監修】授乳中に風邪をひいても、母乳は中断しなくていいの?

【助産師監修】授乳中に風邪をひいても、母乳は中断しなくていいの?

授乳中のママが風邪をひいたとき、母乳から赤ちゃんに風邪がうつるのではないかと心配になるママもいるようです。でも、風邪は母乳からはうつらないので、母乳を中断する必要はありません。今回は、授乳中に風邪をひいてしまった時の正しい対処法を解説します。


この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京で「すみれ出張助産院」を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

授乳中に風邪をひいたら、赤ちゃんにも風邪がうつる?

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おっぱいから風邪が感染することはない

おっぱいはママの血液から作られているため、風邪のウイルスがおっぱいから出てしまわないかと、心配になるママもいるでしょう。

風邪のウイルスは、せきやくしゃみをしたときに排出されるしぶきを口や鼻から吸いこんだり(飛沫感染)、しぶきが付いたものに触った手を介して口や鼻に入る(接触感染)ことで感染します。風邪を引いたママの母乳を飲むことで赤ちゃんに風邪がうつることはありません。「*1」

インフルエンザでも母乳からは感染しない

インフルエンザのウイルスも飛沫感染・接触感染が中心です。インフルエンザウイルスが血液中に出る量はごく少量のため、母乳からインフルエンザがうつることはありません[*2]。

母乳からうつる感染症は?

ウイルスの中には、母乳から感染することがわかっているものもあります。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はエイズの発症原因となるウイルスで、母乳を介して感染するため、母乳を中断する必要があります。

ほかに、母乳を介して感染するウイルスがあります(成人T細胞白血病の原因となるHTLV-1、サイトメガロウイルス(CMV)など)が、授乳方法によって感染を防げる場合や、母乳で育てるメリットの方が大きい場合がありますので、母乳を中断すべきかどうかは医師の指示に従います「*3」。

風邪をひいても、母乳をやめない方がよい理由

母乳には、細菌やウイルスが体に侵入してきたとき、そこにくっついて無力化する免疫物質、IgA抗体(免疫ブログリン)やラクトフェリンなどが多種類含まれています。そのため、軽いウイルス感染症ならば、母乳を中断する必要はありません。むしろ、母乳を飲んでいる方が、風邪などの感染症にかかっても、症状を軽くしてくれる可能性もあります[*3]。

家事はご家族などにお願いし、十分な休養をとりましょう。

赤ちゃんに風邪をうつさないためにすること

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手洗い・マスクをする

風邪やインフルエンザのウイルスは、気道の粘膜で増殖していきます。それが、くしゃみや咳と一緒に空気中にしぶき(飛沫)となって拡散します。授乳中やおむつ替えなど、赤ちゃんと接するときは、とくに赤ちゃんの顔に向かってせきやくしゃみなどをしないように気をつけましょう。

咳やくしゃみが出るときは、不織布製マスクをすること、とっさの咳やくしゃみでマスクがないときはティッシュなどで口と鼻を覆い、顔を赤ちゃんに向けないよう心がけましょう。鼻汁や痰を含んだティッシュはそのつど蓋つきのゴミ箱に捨てること、こまめに手洗いをすること、手洗いは石鹸を使って指と指の間や爪までしっかりと洗うことを心がけましょう[*2][*4]。

授乳中の風邪、薬を飲んでも大丈夫?

風邪薬は母乳にも出てしまうの?

市販の風邪薬はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、発熱など、風邪の症状を和らげるさまざまな成分が入っており、母乳にその成分が出て、赤ちゃんに影響があると報告されている薬もあります。また、カフェインが含まれている薬もあり、他にもカフェイン含有飲料も飲んでいたりすると、多く摂りすぎてしまう恐れがあります。まずは薬局で薬剤師さんに授乳中であることを伝えて、アドバイスをしてもらいましょう。

また、風邪薬は風邪を治すものではなく、症状を和らげるものです。2~3日服用しても症状がよくならないときは、別の病気の可能性があるので、医療機関を受診しましょう[*5]。

なお、漢方薬の葛根湯は、母乳に出てきても微少量で赤ちゃんへの影響はほとんどないため、安全に使用できると言われています[*6]。

医師には授乳中と伝えること

風邪で受診するときは、お医者さんに授乳中であることを必ず伝えましょう。

授乳中であることを知ったうえで、必要と判断され処方された薬は、授乳中でも安心して使用できる薬です。自己判断で量を増やす・減らすなどはせず、指示通りの用法・用量で服用ことが大切です「*7」。

受診するなら何科?

「内科」でもよいですし、授乳中であれば「婦人科」でも診てもらえることもあります。赤ちゃんも風邪をひいたときは「小児科」でママも一緒に診てもらうこともあります。ただし、内科以外を受診される場合は受診前に確認をしてください。また、授乳中であることも伝えましょう[*7]。

薬剤名から調べる方法も

医療機関で、授乳中であることを伝えたうえで処方された薬や、市販薬でも薬剤師さんに相談して購入したものは、用法・用量を守って服用していれば赤ちゃんへの影響は心配ありませんが、どうしても心配なときは、国立成育医療研究センターのHPで「妊娠と薬情報センター」> 「ママのためのお薬情報」>「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」にその薬剤名があるかどうかを確かめるとよいでしょう[*10]。

◆参考サイト
国立研究開発法人 国立成育医療研究センター「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist.html

まとめ

授乳中に風邪をひくと、母乳からの感染や、風邪薬が母乳から出てしまうことなどが心配です。けれど、母乳には赤ちゃんを感染症から守る免疫物質が含まれているため、母乳を中断するよりも、授乳を続けるメリットが大きいと考えられています。ママの体調さえ大変でなければ、風邪やインフルエンザでも、母乳は続けるようにしましょう。大事なことは日頃から風邪の予防を心がけ、インフルエンザは予防接種を受けておくこと。そして、風邪にかかってしまったら、手洗い・マスクなどで感染拡大防止に努めましょう。

(文:山崎ひろみ、監修:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]千葉県医師会広報紙 ミレニアム35号 p14 子ども相談室 
https://www.chiba.med.or.jp/general/millennium/pdf/millennium35_14.pdf
[*2]NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会HP 母乳育児Q&A 7.季節性インフルエンザと母乳育児
https://www.jalc-net.jp/FAQ/ans7.html#
[*3]日本小児科学会雑誌 第111巻 第7号 9 母乳と母子感染 P933(-96)
http://square.umin.ac.jp/bonyuu/info/bonyuu.pdf
[*4]厚生労働省HP インフルエンザQ&A 
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
[*5]独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 HP くすりQ&A 授乳と薬 母乳を飲ませているお母さんの薬
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0006.htmlu.pdf
[*6]公益社団法人 福岡県薬剤師会HP 薬事情報センター
https://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/_1635.html?mode=0&classId=12&blockId=39339&dbMode=article&searchTitle=&searchClassId=-1&searchAbstract=&searchSelectKeyword=&searchKeyword=&searchMainText=
[*7]公益財団法人 母子衛生研究会&子育てインフォ
https://www.mcfh.or.jp/jouhou/kusuri/4_bonyu.html
[*8]国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター 授乳中のお薬Q&A
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/qa_junyu.html#q7
[*9]愛知県あいち小児保健医療センター 妊婦・授乳婦の医薬品適正使用ネットワーク構築に関する研究班 妊娠・授乳と薬相談Q&A集 
https://www.achmc.pref.aichi.jp/sector/hoken/information/pdf/drugQA.pdf
[*10]国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター ママのためのお薬情報
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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