【医師監修】妊婦の腰痛の原因と4つの対処法!効果的なストレッチとは?

【医師監修】妊婦の腰痛の原因と4つの対処法!効果的なストレッチとは?

腰痛は多くの妊婦さんが経験するマイナートラブルのひとつです。妊娠中に腰が痛くなる原因、予防のためにできること、改善が期待できるストレッチや体操についてお伝えします。少しでも日常を快適に過ごすためにお役立てください。


この記事の監修ドクター
荒木記念 東京リバーサイド病院
星真一 先生
1995年昭和大学医学部卒業。昭和大学病院、総合守谷第一病院などの勤務を経て、現在、荒木記念東京リバーサイド病院の産科部長を務める。日本産婦人科医会幹事、昭和大学産婦人科兼任講師、首都大学東京非常勤講師。

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妊婦が腰痛になりやすいのはなぜ?

妊婦さんが腰痛になりやすい原因は主に2つあります。ひとつはお腹が大きくなるにつれ重心が変わり、上半身を反るような 姿勢に変わること。もうひとつは出産の準備のために分泌されるホルモンの影響で骨盤の靭帯・関節など がゆるむことです。 どちらも腰椎や骨盤を支える筋肉の負担になり、痛みを引き起こす原因になります。

妊娠初期・中期の腰痛の主な原因

程度の差はあれ、ほとんどの妊婦さんが腰痛に悩まされます。 これは妊娠中に分泌されるホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、リラキシン )の影響で腰痛が起こりやすくなるためです。
これらのホルモンには出産に備えて赤ちゃんが産道を通りやすいよう、骨盤の靭帯をゆるめる作用があります。骨盤のつなぎ目の関節(仙腸骨の靭帯や恥骨結合)がゆるむことで腰や背中の筋肉に負担がかかり、痛みが起きやすくなるのです。

妊娠中期になると次第にお腹もふくらむので、重心が前にかかる状態になります。妊婦さんはバランスをとるために反り返った姿勢になり、さらに腰への負担が増すことになります。

妊娠後期の腰痛の主な原因

腰痛に悩む妊婦さんの割合が最も高くなるのは妊娠後期 で、痛みの程度も大きくなります。 
赤ちゃん が成長するにつれてお腹がせり出し、妊婦さん自身の体重も増加します。重心が前方に移動し、骨盤も前の方へ傾くため、バランスをとろうとして上体がさらに反るような姿勢になり、腰椎や骨盤の関節を支える筋肉にいっそう負荷がかかります。

妊娠後期には子宮の一番上の部分が、みぞおちあたりまで上がってきます。子宮が大きくなるにつれ、腹筋が弱まり、骨盤を支える体幹の筋肉が引き伸ばされることも腰痛の原因になります。

また産後の腰痛と妊娠中の体重増加は関連している といわれ、妊娠中に適切に体重をコントロールすることは、産後の腰痛リスクを低くするうえでも大切です。

【医師監修】妊娠後期の注意点!7つのマイナートラブルと対処法

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3422

いよいよ妊娠後期。赤ちゃんに会える日も間近に迫ってきました。出産までどのようなことに気をつけて過ごせば良いのでしょうか。妊娠後期のマイナートラブルとその対処法を知っておきましょう。

妊娠中の腰痛を予防・緩和するには?

腰痛の予防・緩和のために日常で心がけたいことをご紹介します。痛みがある時に無理に動くことはありませんが、ずっと同じ姿勢でいるのもよくありません。できるだけ正しい姿勢を意識して、適度に動くようにするのが大切です。

また、湿布についてはとりわけ妊娠後期には使ってはいけないことが多いため、自己判断で使用せず、必ず主治医に相談するようにしてください。

なお、妊娠以外にもさまざまな要因で腰痛が起こる場合があり、成熟した女性の20~30%[*1]に見られ、婦人科の病気のなかで最も多く発生すると言われている子宮筋腫でも腰痛の症状は出ます。全妊娠の0.45~3.1%では子宮筋腫を合併しているとも言われています[*2]。
がんこな腰痛 で辛い時は、まずは、妊婦健診時に 医師に相談してみましょう。

正しい姿勢を心がける

人間の背骨は自然なS字カーブを描いていますが、お腹が大きくなるにつれ、上体を反らしがちになるため、背骨にも負担がかかります。暮らしの中でご自身の姿勢を意識し、椅子に座る時も背筋をまっすぐにするよう心がけてみましょう。

立って いる時は、肩の力は抜きながら軽くあごを引き、背筋と膝を伸ばすようにします。また下腹部と肛門を意識するようにします。

立ち姿は壁を使うと簡単にチェックできます。壁を背にして立ち、後頭部、背中、お尻、ふくらはぎを壁につけるようにします。この時、肩の力を抜き、体重を足の裏全体にかけるようにしてまっすぐ立つのがポイント。足を自然に開いて、足首、腰、肩、耳が一直線になるようにします。

また無意識に行っている姿勢の癖(荷物を片方の肩にばかりかけたり、足を組んで長時間座るなど)も体に負担がかかるので避けるように心がけましょう。

腰に負担をかける行動を避ける

腰が痛いと、中腰の姿勢をとったり、重いものを持ち上げること、立ち続けること、座り続けること、寝返り動作などをつらく感じます。立ったり座ったりする時や、階段の上り下りなどの際、腰のあたり全体に鈍い痛みを感じる場合もあれば、恥骨結合部に鋭い痛みを感じるケースもあります。

長時間、同じ姿勢を続けることは避け、できるだけ腰に負担をかけないように体を使いましょう。靴は幅広で少しかかとのあるものを選んで履くと、安定感を保ちやすくなります。

横たわる時は硬めのマットレスを使い、膝の間や腹部の下に枕やクッションをはさんで横向きの姿勢で寝るようにしてみてください。起き上がる時や横たわる時に痛みを感じる場合は、反動をつけずに腕の力を使う、次のような方法があります。

・起き上がる時……仰向けになっていたら体を横に向け、膝を軽く曲げます。床(ベッド)に近い側のひじをつき、もう一方の手で体を支えるようにして腕の力を使って起き上がります。
・横たわる時……床(ベッド)に横座りして、あごをひき、片方のひじを床につき、もう一方の手で体を支えながらゆっくりと肩を床につけて横たわります。

適度な運動を行う

腰痛予防や痛みの緩和には適度な運動が効果的です。無理のない範囲で体を動かし、心と体をリラックスさせましょう。運動不足になりがちな妊婦さんのために考え出されたエクササイズとしては、妊婦体操やマタニティーヨガ、ストレッチング、マタニティーエクササイズなどがあります。

適度な運動は腰痛を防ぐとともに、出産に必要な体力の維持や急激な体重増加を抑える効果、便秘や肩こりなどの解消も期待できます。
運動する際は専門の指導者の下で安全に行い、体調に不安がある時は医師によるメディカルチェックやアドバイスを受けるようにしましょう。

骨盤ベルトなどで腰を支える

骨盤を締めるベルトや腹帯の着用は、腰まわりを安定させる効果があります。昔は「さらし」を使っていましたが、現在は骨盤ベルトが一般的です。

骨盤ベルトにはマジックテープ式のもの、ガードルタイプなどがあります。メーカーや種類も様々で、締める方向も「後ろから前へ締めるもの」(恥骨結合部を支えるもの)と「前から後ろへ締めるもの」(仙腸関節を支えるもの)があります。使い方や選び方に迷う時は妊婦健診の際に相談してみましょう。

腰痛を予防・緩和する体操やストレッチ

自宅で簡単に行える腰痛対策の体操・ストレッチをご紹介します。どの運動もお腹の張りや違和感を覚えた時はすぐにやめて安静にしてください。ご自分の体の状態を確認しながら、無理せずに行うようにしましょう。

キャットストレッチ

腰回りの筋肉をほぐすことで、血行が良くなります。キャットストレッチとはその名の通り「猫のポーズ」です。腰に不安がある時は、③の動きは避けて①と②の動きを交互にゆっくり行います。

① 床に手のひらとひざをつけ四つん這いになり、背中をまっすぐに伸ばします。両手首の位置は両肩の真下あたりに置きます。
② 息を吐きながら、おへそを見るようにして背中を丸めていきます。手を床に押し付けるようにして背中・腰の筋肉を伸ばします。
③ ゆっくり息を吸いながら軽く背中を反らせます。ただし、腰が痛む場合は②までにして、③は避けましょう。

骨盤傾斜ストレッチ

次は腰の筋肉を伸ばすストレッチです。

① 背中を壁につけて真っ直ぐ立ち、足は肩幅程度に開きます。
② それからおしりを少し下げるようにして腰の部分を壁に押し付けます。数秒間保持してから開始位置に戻ります。
③ この動きを10回繰り返します。

骨盤ツイスト運動

もうひとつ、腰回りの筋肉を柔軟にするための運動をご紹介します。

① あおむけに寝てひざを軽く立てます。
②右の膝を外側にゆっくり倒します。
③ 右膝を元に戻し、同様にして左の膝を外側にゆっくり倒します。

まとめ

お腹の赤ちゃんが成長するにつれて、妊婦さんの体にも負荷がかかります。重心の移動による姿勢の変化、ホルモンバランスによる骨盤の変化で、多くの妊婦さんが腰痛を発症します。腰痛を完全に予防することは難しいのですが、日常の心がけで悪化を防いだり、痛みを軽減することができます。ストレッチなどの緩和方法も試しながら上手に乗り切ってみてください。

(文:萩原明子/毎日新聞出版MMJ編集部、監修:星真一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]病気が見えるvol.9 婦人科・乳腺外科, 132p, メディックメディア, 2016
[*2]病気が見えるvol.10 産科, 185p, メディックメディア, 2017

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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