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2023年10月06日 16:01 更新

まさか更年期症状だったなんて。病院を渡り歩いてもわからずドクターショッピングに陥る女性も【更年期体験談 Part3】

まだ先のことだと思っていた更年期。でも40代になって少しずつ体の不調に気づき……。49歳のときに更年期を自覚した女性の体験談をお届けします。

更年期症状は恥ずかしいものじゃない

(※画像はイメージです)
(※画像はイメージです)

前回まで2回にわたり、49歳で更年期の症状を感じ始めた私がHRT(ホルモン補充療法)を選択するまでを書きました。今回は、更年期世代の女性に取材して感じたことなどを書いてみたいと思います。

▶第一話:49歳で突然の大量出血、15日周期で生理がきて…「これはおかしい」【更年期体験談】
▶第二話:生理周期が乱れ、大量の出血も。婦人科に行ったけれど…私がセカンドオピニオンを求めた理由【更年期体験談】

取材するうちに「更年期についてもっと学びたい」の気持ちが強くなり、勉強してメノポーズカウンセラーという資格を取得。そういう経緯もあり、さらに多くの更年期世代の女性と知り合うことができました。

とはいえ取材の申し出にすぐにイエスと返事してくれた女性はそう多くはありませんでした。ほんの5~6年前のことですが、当時はまだまだ更年期は「自ら語らないもの」「更年期症状を人に話すことは恥ずかしい」という認識が強い時代でしたから。

いまも完全に更年期について理解が広まったかといえば、そうではないと思います。それでもテレビで特集されたり、記事が増えたり、「更年期の症状や過ごし方について、みんなで語ろう」という風に時代が少しずつ変わってきているのは喜ばしいことですよね。

まだあまり多くの人が語りたがらなかった頃に、それでも「話したいです」と取材を引き受けてくださった女性たち。その方々の多くは「私の経験が誰かの参考になれば嬉しい」という想いからの志願がほとんどでした。

まさか更年期の症状だったなんて。何軒も病院を渡り歩いてもわからず

彼女たちの話を聞いて感じたのは、「更年期の症状は人それぞれ。十把ひとからげでは語れない」ということ。

日本人の平均閉経年齢は50.5歳で、更年期は一般的には45歳から55歳が該当。40代に入りゆるやかに減少していた女性ホルモンが、この世代になると急激に減少するのですが、この急激な変化に体がついていかず、心身共に不調が現れます。この不調を「更年期症状」と呼び、日常生活にまで影響を及ぼすような重い不調は「更年期障害」と呼ばれています。

一般的に「更年期症状」で皆さんが頭に浮かぶのは「ホットフラッシュ」「のぼせ」「気分のおちこみ」「イライラ」「めまい」などでしょうか。それらはたしかに多くの更年期世代の人が経験する症状ではありますが、まったく感じないという人もいます。

逆に、複数の女性に聞いて「そういう症状もあるのね」と知ったのは、「口の渇き」「歯が一気に悪くなる」「一晩に何度も着替えるほどの寝汗」……などでした。

「指のこわばり」は、今でこそ更年期世代の女性の症状としてよくあげられるもの。でも、私が取材したある女性は40歳を少し過ぎたころ(いまから10年程前のこと)から指のこわばりや痛みに悩まされ、リウマチと思い込んでいろんな内科を渡り歩いたそうです。いわゆる、ドクターショッピングですね。

(※画像はイメージです)
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更年期の不調に悩みドクターショッピングを繰り返し、心身共にボロボロになってようやく婦人科に辿りつき、治療を受けることで症状が改善した。そういう女性をたくさん見ました。「お医者様は自分の専門以外は詳しくないこともある。もっと早い段階で、どこかで『更年期の症状かもしれないから、婦人科に行ってみたら?』の医師の言葉があれば、こんなに遠回りしなくてよかったのに」とつぶやいていた人もいて、印象に残っています。

すがる思いで婦人科に辿りついた女性たちは自分に合った治療を行っていますが、「更年期の症状だったんだ」と長年悩まされてきた不調の理由がわかった、それだけで心がぐんと軽くなったという人も多い。取材した中には、数年に渡る更年期のうつ気分で交友関係も断絶し、家族ともうまくコミュニケーションが取れなくなってしまった女性もいらっしゃいました。

そういった方々のお話をきいて思うのは、「40代に入ってから不調が出たら、更年期症状ではないかとちょっと疑ってみる」ということ。もちろんなんでもかんでも「更年期のせいだから」と考えるのはよくありません。でも、そこを見ないふりをするのも危険だなと思うのです。

実際、私の友人に「私は更年期の症状なんてないの!」といいながら、「ここが痛い、毎日しんどい」とボヤき続ける女性がいました。でも「更年期じゃない」とかたくなに主張するのです。彼女は「更年期=女じゃなくなる=恥ずかしいこと」という呪いに縛られているように感じました。

むろん、そう言っている間にホルモン減少に体が慣れ、症状が治まればそれでOKなんですよ。みんながみんな、治療が必要なわけでは決してありませんから。

更年期世代に入る前に、家族や周囲に話しやすい環境作りを

(※画像はイメージです)
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もうひとつ大切なのは「家族や周囲の理解」。かつて更年期障害に悩まされたある女性は、思春期の息子さんがいますが、「息子たちには、生理のことも更年期のことも全部話しています。それが将来きっと彼らのためにもなると思うから」とおっしゃっていました。素晴らしい教育ですよね。

また、更年期のうつ症状が非常に強く家事や仕事にも支障をきたすほどになった女性のご主人の存在も、忘れられません。「元の妻に戻ってほしい。とにかくその一心だった」という理由で、人が変わってしまったようになった妻を救うためにインターネットで情報を収集。妻につきそい病院へ行き、医師の話を共にきいて更年期への理解を深めました。こういう理解ある男性が社会全体で増えていってほしいと願ったものです。

最近では「更年期について話す会」のような場が開催されることも増えています。不安を人に話すことはとても大切。「相談する人がいなかった」と残念そうに話していた方も、取材した中にはいらっしゃいましたから。夫でも、彼でも、お子さんでも、同僚でも、同性の友人でも。はたまた相談できる場所で出会ったまったく見知らぬ人にでも、かかりつけの医師にでも。フランクに体調の変化や不安を感じることを話せる人や場を見つけておいてください。

「私はまだちょっと更年期には早い」という方はいまからご主人と話し合い、更年期とはなんであるかを知っておいてもらうのもひとつの手だと思います。誤解されやすいのですが、更年期の症状は決して「怠けてる」から出るわけではない。女性はひとりで更年期の悩みを抱え込まなくてもいい――どうかそれを覚えておいてくださいね。

(※本記事は個人の体験談です。あくまでも個人の例であり、症状や治療法についてはすべての人にあてはまるものではないことをご理解ください。)

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