【医師監修】帝王切開後に2人目を妊娠・出産するまでの期間と注意点

【医師監修】帝王切開後に2人目を妊娠・出産するまでの期間と注意点

分娩の方法には、腟を通る「経腟分娩」と、ママのおなかを切って取り出す「帝王切開」があります。1人目を帝王切開で産んだ場合は、2人目を妊娠・出産するまでに少し期間をあけたほうがよい、とされています。帝王切開後の次の妊娠までの望ましい期間と、注意すべきポイントについて解説します。


帝王切開とは?

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帝王切開とは、何らかの理由で経腟分娩では安全にお産ができないと判断されたときに選ばれる分娩方法です。麻酔をかけて腹部と子宮を切開し、赤ちゃんを取り出します。通常は下半身のみ感覚がなくなる局所麻酔下で行われ、ママは赤ちゃんの産声を聞くこともできます。日本では現在、5~6人に1人の赤ちゃんが帝王切開で生まれています[*1]。

帝王切開の種類

帝王切開には、事前に手術日を決めて行う「予定帝王切開」と、妊娠中や分娩中に非常事態が起こった際に行う「緊急帝王切開」があります。

帝王切開になるケースは? 

帝王切開になる理由で最も多いのは、「前回のお産が帝王切開だったから」。次いで、「陣痛がきているにもかかわらず子宮口が開かなかったり、赤ちゃんの頭が下降しなかったりする場合」「赤ちゃんの具合が悪くなったとき」「骨盤位(いわゆる逆子)など赤ちゃんの胎位異常」などです。

ママ側に原因がある場合と、赤ちゃん側に由来するケースがあり、原因によってあらかじめ「予定帝王切開」が選択されたり、「緊急帝王切開」が行われたりします。

予定帝王切開になる原因

・赤ちゃんの胎位異常(骨盤位や横位)
・多胎妊娠
・前置胎盤
・前回帝王切開や子宮筋腫などの腹部の手術歴
・児頭骨盤不均衡(赤ちゃんの頭のほうがママの骨盤より大きい)
など

緊急帝王切開になる原因

・胎児機能不全
・分娩停止
・分娩遷延
・常位胎盤早期剥離
・母体の急変
など

帝王切開手術の内容

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妊娠経過が順調な妊婦さんでも、妊娠中や分娩中に予期せぬ事態が起こる可能性はあります。帝王切開を予定している方はもちろんのこと、経腟分娩する予定の妊婦さんも、帝王切開についてよく知っておくことが大切です。

麻酔は通常、下半身のみの局所麻酔

麻酔の方法は、腰から麻酔薬を注射する「脊髄くも膜下麻酔」が一般的です。これに、腰に細い管を通して麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を併用する場合もあります。一刻を争う緊急時には「全身麻酔」を行うこともあります。

切開から縫合まで

おなかの皮膚の切り方には、「横切り」と「縦切り」の2通りがあり、どちらも10cmほど切開します。現在は傷あとが目立たない「横切り」が主流ですが医師や施設、病態によっては「縦切り」が選ばれる場合もあります。子宮は通常、下部を「横切開」しますが、早産児や前置胎盤(胎盤が産道をふさぐ位置につくこと)などのケースでは、子宮体部の「縦切開」を行うこともあります。

帝王切開「横切り」/「縦切り」のイメージ
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帝王切開「横切り」のイメージ/「縦切り」のイメージ

赤ちゃんを取り出した後は、子宮を溶ける糸で縫合します。おなかの皮膚の閉じ方には傷が目立たず抜糸の必要がない「真皮埋没縫合」や、ホチキスの針のような器具でとめる「ステープラー」、抜糸の必要な縫合などがあります。

手術時間はどれくらい?

帝王切開の手術は通常、麻酔開始から30~60分ほどで終了します。脊髄くも膜下麻酔の持続時間は数時間です。

手術後の傷や母体の回復 

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傷の痛みは、術後数日で楽になるでしょう。つらいときは鎮痛薬で痛みをやわらげます。

ステープラーや従来の糸による縫合でおなかを閉じた場合は、術後5~7日程度で器具や糸を抜きます。真皮埋没縫合の場合は抜糸の必要はありません。傷が目立ちやすい体質の方はシリコンジェルシートを創部に約半年間貼り付けるとよいでしょう。

帝王切開の入院期間は経腟分娩より通常2日ほど長く、約1週間で退院となります。子宮が妊娠前の大きさに戻り、悪露が消えるまで(子宮復古)は、経腟分娩より少し時間がかかるかもしれません。産後6週間を過ぎても悪露が止まらない場合は、産婦人科を受診しましょう。

2人目を妊娠・出産するまでに必要な期間

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帝王切開後は、子宮の傷がすっかり治るまで、次の妊娠を控えたほうがよいでしょう。明確な根拠はありませんが目安は1年とされることが一般的で、場合によっては、もう少し長い期間を空けるよう産院で指導されるかもしれません。ただし、高年出産の場合はさらなる加齢で妊娠がより困難となるため、空けすぎるのもよくありません(なお、次のお産の分娩方法は、多くの場合、帝王切開が選ばれます)。

では、こうした配慮は、なぜ必要なのでしょうか。

次の妊娠まで少し間を空けたほうがよい理由とは?

子宮の縫合部分が完全に回復していないと、妊娠して子宮が大きくなったときや分娩時に、傷口が開いてしまう危険性があります。ですから、次の妊娠までに子宮の傷が癒えるよう、だいたい1年くらいは空けることが望ましいとされているのです。

また、子宮の切開部分の傷は、治っても少し薄くなっていたり、一部が欠けていたりすることがあります。陣痛で力が加わると子宮破裂につながる恐れがあるため、次のお産も帝王切開で行う産院が多くなっています。

2人目の妊娠・出産で気を付けることは?

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帝王切開後の2人目妊娠では、妊娠経過に気を配ることも大切です。起こりやすいトラブルを知っておき、早めに対処しましょう。

妊娠経過に注意しよう

帝王切開など、子宮の手術の既往は前置胎盤のリスクに関係すると言われています。前置胎盤のママは出血しやすいため、妊娠経過の細やかな管理が必要です。胎盤の位置はエコー検査でわかりますから、妊婦健診をきちんと受けて早めに確認し、主治医の指示に従いましょう。

切迫早産に注意しよう

妊娠22~36週に、おなかの張りや痛み(子宮の収縮)、出血などの症状が見られ、「このままでは早産になってしまうリスクが高い状態」のことを「切迫早産」と言います。

先ほど述べたように、帝王切開の既往がある妊婦さんは子宮破裂のリスクが通常より高いため、何らかの原因で切迫早産となった場合、そのまま分娩(早産)へと進んでしまうと危険です。切迫早産の兆候が見られたら、すぐに産院に連絡しましょう。

分娩方法は主治医や家族とよく相談して決めよう

多くの産院では、帝王切開後のお産は帝王切開で行いますが、一定の条件を満たせば経腟分娩を試みることができる産院もあります。これは「TOLAC」(trial of labor after cesarean delivery, 既往帝王切開後の経腟分娩試行)と呼ばれています。

前回のお産で帝王切開が選ばれた理由が、逆子など赤ちゃん側にあり、今回はそうした問題がない場合は、経腟分娩が可能かもしれません。

ただし、分娩の途中で子宮破裂となる可能性や、分娩が進行せず、緊急帝王切開に切り替えることもあるなどリスクを十分理解し、主治医や家族とよく相談したうえで決めるようにしてください。

帝王切開後の癒着のリスク

手術の際にできた臓器や組織の傷が、接触したまま治癒すると、その部分がくっついてしまう「癒着(ゆちゃく)」が起こります。帝王切開後には、子宮と他の臓器(膀胱や腸など)が癒着している場合があり、次回の手術時にそれらをはがす時間がかかってしまったり、出血が起こったりすることもあります。

まとめ

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帝王切開の後、次のお産にのぞむ際には、わずかですが過去手術を経験していることによるリスクが伴います。「次の妊娠まで可能であれば1年は間を空ける」「妊婦健診をきちんと受けて妊娠経過に注意する」「切迫早産を防ぐ」などを心がけて、帝王切開後の妊娠を安心・安全に乗り切りましょう。

この記事の監修ドクター
荒木記念 東京リバーサイド病院
星 真一先生
1995年昭和大学医学部卒業。昭和大学病院、総合守谷第一病院などの勤務を経て、現在、荒木記念東京リバーサイド病院の産科部長を務める。日本産婦人科医会幹事、昭和大学産婦人科兼任講師、首都大学東京非常勤講師。

(文:吉村直子/毎日新聞出版MMJ編集部/監修:星真一先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]母子保健事業団「母子保健の主なる統計2017」p127第83表「施設別,分娩及び帝王切開娩出術の件数(昭和59年~平成26年)」

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

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