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2021年11月25日 13:17 更新

【医師監修】赤ちゃんの体重が増えないのなぜ? 3つの原因と2つの対処法

赤ちゃんの体重が増えない! ママにとっては心配になりますよね。今回は、離乳食がはじまる前の赤ちゃんの体重変化に焦点を当てて紹介します。体重が増えない場合の主な原因は3つほど考えられますので、ぜひチェックしてみましょう。

赤ちゃんの体重が増えない3大原因

赤ちゃんの体重の増加ペースは一定ではなく、また個人差もあるものです。しかし、体重がなかなか増えない背景に、何らかの原因があるケースもあります。

1. 哺乳量不足|十分に飲めていないから増えない

生後すぐの赤ちゃんは「生理的体重減少」により一時的に体重が減少しますが、生後4日を過ぎても増加傾向が見られないときは、母乳育児の場合なら赤ちゃんが母乳を吸うのに慣れていないこと、ママの母乳量が安定していないこと、ミルクであれば月齢に対して十分な量を飲めていないことが原因になっていると考えられます。

生後3ヶ月までの体重増加の目安は1日25~30gとされているため、1日に平均1日20g未満しか増えていないようであれば、一度は小児科医の診察を受けたほうがいいでしょう。全く体重が増えなかったり、途中から体重の増加量が明らかに少なくなってきたような場合は、母乳外来などでお乳や母乳量などのチェックも必要です。

なお、ミルクよりも母乳の方が体重増加が緩やかな傾向があります。母乳育児中の場合は日本母乳哺育学会の「母乳育児専用発育曲線」を参考にしてみるのもいいでしょう。

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母乳や体重増加について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎母乳はいつから出るの?出をよくする2つのポイント
関連記事 ▶︎赤ちゃんの体重は?新生児~1歳までの体重の目安

2. 消費カロリーが多い|よく動く赤ちゃんは増えにくい傾向が

赤ちゃんの動きも体重に影響を及ぼします。運動発達が早く、少しもじっとしていないなど極端に運動量が多い赤ちゃんは、消費カロリーが多く、たくさん授乳しても体重があまり増えない傾向があります。

体をよく動かす赤ちゃんは元気な証拠です。こういうタイプの赤ちゃんは、ミルクや母乳の飲みがよく、うんちがよく出ていることが多いようです。

3. 疾患が原因|病気で体重が増えなくなることも

赤ちゃんが普通にミルクや母乳を飲み、きちんと排泄しているのに体重が増えない。このような場合は、何らかの病気が潜んでいることもありますから、注意が必要です。
・機嫌、泣き方、睡眠などに変化はないか
・呼吸や体温に異常はないか

  ∟ 赤ちゃんの呼吸  赤ちゃんの平熱
・吐いていないか
  ∟ 赤ちゃんの嘔吐
・尿や便の回数、様子はどうか
  ∟ 赤ちゃんの下痢
などに注目して[*1]、何かおかしいなと異常を感じたら、早めに小児科に相談してください。

体重が増えない場合の2つの対処法

母乳が足りない時|足りない分だけミルクで補う

母乳が足りない場合は、一時的にミルクを足す混合授乳に変えればOKです。ただし、母乳の回数を減らすとおっぱいの出が悪くなってしまうので、足りない分だけをミルクで補うようにしてください。最初は30~40mlずつ足して様子をみるようにします。ミルクをよく飲むのに吐いたり、ぐずったりするときは、ミルクの足しすぎなので少しずつ調整します。

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母乳が足りない時について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎母乳が出ないときの7つの対処法! 母乳が出なくなる2つの原因とは

赤ちゃんが吐く時|繰り返すようであれば受診を

赤ちゃんは、まだ食道と胃のつなぎ目の締りがゆるいので、もともと吐きやすい傾向があり、母乳・ミルクを飲み過ぎると、口元から流れ出たり、ゲップと一緒に吐いたりすることがあります。吐いても、赤ちゃんが元気で、体重も順調に増加し、おしっこが1日に6~7回以上出ているのであれば心配ないでしょう

しかし、噴水のように吐き出す嘔吐を何度も繰り返し、体重が増えない場合は、「肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)」の可能性があります。肥厚性幽門狭窄症は、生後2~3週間くらいから3ヶ月頃の赤ちゃんにみられる病気で、胃の出口にある筋肉が一時的に分厚くなることで胃の出口が狭められ、ミルクや母乳が胃の中に停滞してしまうのです。嘔吐を繰り返すことで脱水に陥ることもあるので、早めに小児科を受診してください。

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赤ちゃんの吐き戻しについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎新生児の吐き戻しはなぜ起こる?考えられる3つの原因と対策
関連記事 ▶︎新生児のゲップが出ない時の対処法簡単な方法とコツ

赤ちゃんの体重変化の目安は?

増えない体重をチャックするために体重計に乗った赤ちゃん
Lazy dummy

赤ちゃんは、生まれてからどのように体重が増えていくものなのでしょうか? まずは時期ごとの変化の理由を見ていきましょう。

なお、乳幼児の発育は個人差があるため、もし心配なことがあれば、健診のタイミングなどで医師や保健師に相談してみましょう。

生まれてすぐ|一時的に体重が減る

出生時:男児2,100~3,760g、女児2,130~3,670g*
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出生直後から退院する約1週間までに赤ちゃんの体重はどう変わるのでしょうか? 生まれてすぐの赤ちゃんは、「生理的体重減少」により体重が減ります。これは、母乳やミルクを飲む量より、尿・うんち・汗などが出ていく量のほうが上回るために、一時的に体重が減少する生理現象のことです。この生理的体重減少は、生後2~5日までに見られ、減少量は生まれた時の体重の3~10%ほどです。その後、通常は体重が増加するようになり、生まれてから1~2週間後ごろには生まれた時の体重に戻ります。

生後1~2ヶ月|体重増加がめざましい時期

生後1~2ヶ月未満:男児3,530g~5,960g、女児3,390g~5,540g*
生後2~3ヶ月未満:男児4,410g~7,180g、女児4,190g~6,670g*

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生後1~2ヶ月は、赤ちゃんの成長がもっとも目覚ましい時期で、皮下脂肪が増え、ふっくらした体つきになります。動くものを目で追ったり、ものを手に持たせると握り返したり、手足をバタバタ動かすなど、体の動きも活発になります。

生後3〜4ヶ月|少しだけ増加が緩やかに

生後3~4ヶ月未満:男児5,120g~8,070g、女児4,840g~7,530g*
生後4~5ヶ月未満:男児5,670g~8,720g、女児5,350g~8,180g*

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3~4ヶ月になると、首がすわってきて、うつぶせにすると腕で体を支えて頭を少し持ち上げられるようにもなり、動きがさらに活発になるので、体重の増加や身長の伸びが少しずつ落ちついてきます。

生後5~6ヶ月|ほんの少しほっそり体型に

生後5~6ヶ月未満:男児6,100g~9,200g、女児5,740g~8,670g*
生後6~7ヶ月未満:男児6,440g~9,570g、女児6,060g~9,050g*

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生後5~6ヶ月になると体重増加のカーブが緩やかになり、ほんの少しほっそりした体型になってきます。寝返りがうてるようになったり、ミルクから離乳食に移行したりと変化の多い時期です。

生後7〜8ヶ月|体重に個人差・男女差が出てくる

生後7~8ヶ月未満:男児6,730g~9,870g、女児6,320g~9,370g*
生後8~9ヶ月未満:男児6,960g~10,140g、女児6,530g~9,630g*

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生後7~8ヶ月には、赤ちゃんの体型の個人差や男女差も出て来ます。両手で支えていなくてもお座りができるようになったり、お腹をすりながら移動する「ずりばい」を始めたりと、運動量がさらに増えます。早い子なら、生後8ヶ月でつかまり立ちをすることもあります。

生後9ヶ月~11ヶ月|活動範囲が広がり運動量も増える

生後9~10ヶ月未満:男児7,160g~10,370g、女児6,710g~9,850g*
生後10~11ヶ月未満:男児7,340g~10,590g、女児6,860g~10,060g*
生後11~12ヶ月未満:男児7,510g~10,820g、女児7,020g~10,270g*

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生後9~11ヶ月には、はいはいが上手になったり、つかまり立ちを始めたりして、さらに活動範囲が広がります。上下の前歯が4本出てきて咀嚼の成長にも繋がります。

1歳|生まれた時の約3倍の体重に

生後1年0~1ヶ月未満:男児7,680g~11,040g、女児7,160g~10,480g*
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1歳になると、さらに発達した咀嚼によって、離乳食から1日に必要なエネルギーや栄養の大部分を摂れるようになり、出生時に比べて、体重は約3倍になります。

*厚生労働省「乳幼児身体発育調査」[*2]
パーセンタイル:計測値の統計的分布の上で、小さい方から数えて何%目の値はどれくらいかという見方をする統計的表示法。50パーセンタイルが中央値となる

まとめ

赤ちゃんの体重の増え方は、必ずしも規則的ではありません。成長には個人差がありますので、かかりつけ医と連携するなど、常に相談・確認できる体制を整えておくことが大切です。不安なことがあれば、迷わず小児科へ行きましょう。

※画像はイメージです

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.08.20)

※記事の修正を行いました(2019.06.11)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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