【医師監修】赤ちゃんの呼吸はどんなふう?呼吸トラブルのチェック法、SIDS予防法も

【医師監修】赤ちゃんの呼吸はどんなふう?呼吸トラブルのチェック法、SIDS予防法も

赤ちゃんの呼吸は大人よりも早く、鼻の穴も狭くて詰まりやすいので、気になることがあるかもしれません。ここでは、赤ちゃんの呼吸の特徴やどんな呼吸に注意をすればいいか、また乳幼児突然死症候群について説明します。


赤ちゃんの呼吸の特徴

Getty logo

低月齢は鼻呼吸メイン

大人は鼻からも口からも呼吸ができますが、赤ちゃんは哺乳中も呼吸をしなければならないので鼻呼吸を中心になっています。とくに新生児から生後6ヶ月になるくらいまでは、主に鼻から呼吸します。

そのため、赤ちゃんは鼻水で鼻が詰まると息がしづらくなることもあります。

赤ちゃんの呼吸回数

Getty logo

赤ちゃんの呼吸は大人よりも速めです。

安静にしているとき、大人は1分間に12~18回呼吸しますが、新生児は1分間に40回くらい、それ以降の1歳までは30~60回、1~3歳は24~40回の呼吸をします[*1][*2]。

なお、1分あたりの呼吸が10回もなかったり、逆に60回を超えた状態が続いていたら、何かのトラブルが起こっている可能性があるので、大至急病院や救急で診てもらいましょう。

その他にも気をつけたい呼吸については、次を確認してください。

こんな呼吸に気をつけて

体調に異変が起こると、呼吸の回数がおかしくなったり、いつもと違う様子を見せることがあります。また、予防するためにも乳幼児突然死症候群のことも知っておきましょう。

呼吸の回数がおかしい場合

呼吸が多い

肺炎が起こって酸素をうまく体に取り込めなくなったり、体温が高くなりすぎたり、脱水などを起こすと、呼吸の回数がいつも以上に増えて浅く速い呼吸を続けるようになります。

呼吸の回数が新生児で1分当たり60回以上、1歳までで50回以上、1~3歳で40回以上になるのが異常の目安です[*1]。

呼吸が少ない

呼吸が遅くなり、不規則になることもよくあります。

子供は呼吸筋が未発達なので、体調が悪化して肺呼吸がうまくできなくなると、呼吸の回数が少なくなることがあります。また、脳圧が高くなりすぎたり、低体温症になったり、薬物などの原因からも呼吸が少なくなることがあります。

呼吸が止まる

生まれてすぐから生後1ヶ月までの新生児のうちは、健康であっても1分ほど規則的に呼吸をしてから短時間呼吸を止める「周期性呼吸」が見られます。これは呼吸異常ではなく、生理的な呼吸パターンです。

ただし、「20秒以上呼吸が止まっている」または「呼吸が止まっているのが20秒以内でも、心拍数が1分当たり100回以下になっていたりチアノーゼを起こしている」といった呼吸は無呼吸発作という異常な状態です[*1]。

無呼吸発作の原因としては、脳の呼吸中枢が未熟なため起こっていることがほとんどです。また、その他にも感染症や代謝の異常、脳内出血なども考えられます。また、アデノイドなどで鼻や気管が狭くなって、無呼吸になることもあります。

こんな様子もチェックして

Getty logo

呼吸回数だけでなく、次のような様子が見られる時も注意が必要です。

胸がへこむ呼吸をしている。

喘息の発作が進むと、息を吸い込む時に胸の一部がへこむようになります。自家用車やタクシーで救急外来に行きましょう。

くちびるが紫色をしている。

血液の中の酸素が足りなくなっている可能性があります。急いで救急車を呼びましょう。

呼びかけても反応がない。

意識がないのであれば、呼吸をしているかどうかすぐに確認を。
意識がなく呼吸をしていなかったり、しゃくり上げるようなおかしな呼吸の場合は、心肺蘇生が必要です。救急車を呼び、冷静に電話口の人の指示に従いましょう。
呼吸をしているのであれば、救急車が到着するまで、呼吸が止まらないかどうか見守ります。

声が聞き取れないほどかすれている。

呼吸がいつもと違う場合は救急車を呼びましょう。
元気で呼吸もいつも通りなら、一般診療の時間に小児科で診てもらいましょう。

ヒューヒュー、ゼエゼエしていて苦しそう

気道に炎症が起こると、呼吸をしている時にヒューヒュー、ゼエゼエという音が聞こえる「喘鳴(ぜんめい)」が起こります。こうした音がしていて呼吸が苦しそうな時は、救急で診てもらいましょう[*3]。

乳幼児突然死症候群(SIDS)を防ぐために

赤ちゃんと呼吸に関する病気で有名なのが、乳幼児突然死症候群(SIDS)です。
SIDSは何の前触れもないまま、乳幼児が死に至る病気で、原因もよくわかっていません。平成30年には約60人の乳幼児がSIDSで命を落としていて、乳幼児の死亡原因の第4位となっています。

SIDSの予防方法ははっきりとはわかっていませんが、次の3つを守ることで発症しにくくなります。

1歳までは、寝かせる時はあお向けで寝かせて

Getty logo

うつぶせ寝をした時の方が、あお向け寝よりもSIDSを起こしやすいという研究結果があります。医学上うつぶせ寝をしなくてはいけない場合以外は、上を向いたあお向けの状態で寝かせましょう。

できるだけ母乳育児を

母乳で育てられた赤ちゃんの方が、ミルクで育てられた赤ちゃんよりもSIDSになりにくいことがわかっています。可能であれば、母乳育児をすることが勧められます。

喫煙は×

タバコはSIDSのリスク因子です。妊娠中のお母さんが喫煙をしていたり、まわりの大人が喫煙していてタバコの煙を吸っていると、赤ちゃんの呼吸中枢に明らかによくない影響があります。妊娠がわかったら禁煙し、まわりの人も妊婦さんや赤ちゃんのそばで喫煙するのはやめましょう[*4]。

まとめ

Getty logo

赤ちゃんは大人に比べて呼吸の回数が多いものです。それでも普段に比べて、呼吸が多すぎたり少なすぎたり、呼吸が時々止まることがあったら、呼吸のトラブルが考えられます。

唇の色や元気さ、呼吸の様子などもチェックして、症状に合わせて救急車を呼ぶか、急患や一般診療で診てもらいましょう。

また、乳幼児無呼吸症候群を防ぐために、「1歳まではあお向け寝で寝かせる」「できるだけ母乳育児をする」「タバコをやめる」という3つを守りましょう。

赤ちゃんが元気で過ごすためには、普段から呼吸に違和感を感じたら医療機関に相談することも大切です。神経質になる必要はありませんが、プロの手を借りながら呼吸を含めた赤ちゃんの健康を守っていきましょう。

この記事の監修ドクター
梁 尚弘先生
りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

(文:大崎典子/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]「初心者のための新生児・小児のフィジカルアセスメント 呼吸 小児編」こどもと家族のケア vol.14 no.1
https://www.nissoken.com/jyohoshi/cc/zai/mihon_1904.pdf
[*2]時事メディカル「乳幼児の呼吸器系の発達」
https://medical.jiji.com/medical/033-0004-99
[*3]「こどもの救急」日本小児科学会
http://kodomo-qq.jp/
[*4]「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

関連する投稿


【医師監修】生後4ヶ月の赤ちゃん、ミルクの量は?離乳食準備に果汁はあげる?

【医師監修】生後4ヶ月の赤ちゃん、ミルクの量は?離乳食準備に果汁はあげる?

あやすと笑ったり、欲しいものがあったら手を伸ばすなど、外からの刺激に反応する様子が多く見られる生後4ヶ月の赤ちゃん。成長にともない起きている時間が多くなりますが、育児用ミルク(以下ミルク)の量はどのぐらいが適切なのでしょうか。


【医師監修】生後3ヶ月の赤ちゃん、ミルクの量はどうする?混合の場合は?

【医師監修】生後3ヶ月の赤ちゃん、ミルクの量はどうする?混合の場合は?

授乳のリズムがだいぶ整ってくる生後3ヶ月。それでも赤ちゃんの飲む量が少なかったり多かったりすると不安になるものです。今回は目安となる育児用ミルク(以下ミルク)の量や混合栄養の進め方について解説します。


【医師監修】生後2ヶ月の赤ちゃん、ミルクの量と回数は? 目安と考え方

【医師監修】生後2ヶ月の赤ちゃん、ミルクの量と回数は? 目安と考え方

新生児のころよりも体つきがぷくぷくしてきた生後2ヶ月の赤ちゃん。この時期には育児用ミルク(以下ミルク)をどのぐらいの量、1日何回あげればいいのでしょうか? このころの赤ちゃんの様子とともに、ミルクの量について解説します。


【医師監修】生後3ヶ月の便秘! うんちが出なくて受診したほうがいいのはどんなとき?

【医師監修】生後3ヶ月の便秘! うんちが出なくて受診したほうがいいのはどんなとき?

低月齢の赤ちゃんでうんちが出ず、便秘のような様子が見られたら、少し心配になりますね。大人の便秘対処法をそのまま試すわけにはいかない赤ちゃんの便秘には、どう対応すれば良いのでしょうか? 医療機関を受診したほうが良いかどうかの目安とともに解説します。


【医師監修】生後5ヶ月の睡眠時間はどのくらい? このころの睡眠の特徴と対策

【医師監修】生後5ヶ月の睡眠時間はどのくらい? このころの睡眠の特徴と対策

もうすぐ生まれて半年になる生後5ヶ月のころ。日々すくすくと成長し、体重は生まれたときの倍近くまで重くなっていることでしょう。ここでは、そんな生後5ヶ月の赤ちゃんの睡眠時間などについて紹介します。


最新の投稿


仕事も育児もあきらめたくない。それを叶えたのが「テレワーク」だった 関根麻奈さん #働くママの人生

仕事も育児もあきらめたくない。それを叶えたのが「テレワーク」だった 関根麻奈さん #働くママの人生

赤ちゃんとの生活がスタートして一息ついたと思ったら、保活・職場復帰、仕事との両立などなど、働くママは心も体も忙しい毎日。他のママたちはどんな風に一日を過ごしているのか、どんな考え方で育児をしているのか、夫婦間での分担は?など、働くママが知りたい、リアルな日常をインタビュー。


チルドレン・ファーストがうれしい!「渋谷区」の子供・子育て支援計画

チルドレン・ファーストがうれしい!「渋谷区」の子供・子育て支援計画

渋谷区というと有名なスクランブル交差点がある渋谷駅周辺をはじめ、恵比寿、原宿、代官山など賑やかな街のイメージ。子育て世代が住むには向かないと思う方もいるかもしれません。ですが実際は、繁華街から少し離れた先に閑静な住宅街が広がり、働くママにとって子育てがしやすい街として人気があります。渋谷区の人気の秘密を調査しました。


いつも気負わずニュートラルが大事!新卒から営業職 葛山みずほさん #働くママの人生

いつも気負わずニュートラルが大事!新卒から営業職 葛山みずほさん #働くママの人生

赤ちゃんとの生活がスタートして慣れたと思ったら、保活・職場復帰、仕事との両立などなど、働くママは心も身体も忙しい毎日。他のママたちはどんな風に1日を過ごしているのか、どんな考え方で育児をしているのか、夫婦間での分担は?など、働くママが知りたい、リアルな日常をインタビュー。


「ワンワンわんだーらんど」10周年記念DVD特設サイトがオープン

「ワンワンわんだーらんど」10周年記念DVD特設サイトがオープン

NHK Eテレの子ども番組「いないいないばあっ!」のステージ「ワンワンわんだーらんど」は7月8日に、公演開始から10周年を記念したスペシャルパーティーのステージ映像を収録したDVDを、日本コロムビアから発売します。先行してダイジェスト映像の特設サイトが7月1日に、オープンしました。


中高生になっても地域で育児をサポートする「杉並区」の支援体制

中高生になっても地域で育児をサポートする「杉並区」の支援体制

引っ越しを考えたとき、転居先は何を基準に選びますか? 共働きで子育てをしていくなら、家賃や勤務先へのアクセスだけで選ぶのは少しもったいないですよね。子育てに関する市のサポート体制や、街全体として育児がしやすい雰囲気なのか等も、検討する上で重要ポイントになります。今回は、子育てしやすい街として人気の杉並区を調査しました。