【皮膚科医解説】妊娠線を消す方法は?効果的なセルフケアと医療機関での治療

【皮膚科医解説】妊娠線を消す方法は?効果的なセルフケアと医療機関での治療

妊娠中や産後に気になる妊娠線。お腹や胸などにできてしまった妊娠線をなくす術はあるのでしょうか。今回は日本橋いろどり皮膚科クリニック院長・皮膚科医の横井彩先生に「妊娠線を消す方法」について解説いただきました。


この記事の監修ドクター
日本橋いろどり皮ふ科クリニック院長
石川県金沢市出身2003年秋田大学医学部卒。同皮膚科・形成外科にて広範囲にわたる皮膚科学の診療や研究に従事、2015年助教。2017年藤田医科大学総合アレルギー科講師。2018年〜都内クリニックにて院長を務めた他、複数の皮膚科クリニックにて診療に従事。2021年2月日本橋いろどり皮ふ科クリニックを開院。皮膚科学会認定専門医・医学博士。
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自力で妊娠線を消す方法はある?

ーーーそもそも妊娠線を自分で消す方法はあるのでしょうか。

妊娠線1

妊娠中なんですが、早くもお腹の下の方に妊娠線がうっすら出てきちゃいました。

自宅でのセルフケアで妊娠線を消す方法はありますか?

残念ながら、できてから時間が経った妊娠線に対しては、セルフケアの効果はあまり期待できません

妊娠線に対してセルフケアを行うなら、妊娠線ができていく過程で予防的に行うことがおすすめです。

セルフケアで消すのは難しい。予防のケアを!

ーーー妊娠線は一度できてしまうと消すことがなかなか難しいものなんですね。ケアを行ったからといって絶対妊娠線ができないということではないのでしょうけれど、自分でできることがあるのであれば、予防のためのセルフケアはやっておいて損はなさそうです。

妊娠線を作らないため、自宅でできるケアは?

ーーー妊娠線予防のためは、セルフケアはどのようにしたらいいのでしょうか。

妊娠線セルフケアは保湿が基本

お腹の保湿

(妊娠線ができてたら、産後に消せると思ってた……)

予防のためのセルフケアの方法を教えてください!

妊娠線の予防としてセルフケアでできることは、主に保湿です。

皮膚は乾燥していると伸縮性が低下します。皮膚の伸縮性が低下していると、お腹などが大きくなって皮膚が徐々に伸ばされていく速度についていけず、皮膚が断裂して妊娠線ができやすくなるのです。皮膚の伸縮性・柔軟性を高めるためには、保湿を十分に行いましょう

水分量が増える「お風呂上がりの保湿」が効果的

保湿は1日何回ぐらい、いつ行うのが効果的ですか?

頻度は1日に1〜2回、皮膚の水分量が一時的に高くなるシャワーや入浴の後が最もよいタイミングだと思います。

入浴後は皮膚の水分量が一時的に高まりますが、その後数分程度でどんどん水分量は低下していきます。入浴後の保湿はできる限り早いうちが効果的。入浴後は脱衣所で服を着る前に、全身の保湿や妊娠線予防ケアを終わらせてしまいましょう。

イラスト1

入浴後に皮膚の水分をタオルで軽く押さえたらすぐに保湿剤を全体にまんべんなくのばしましょう。強くマッサージしたり皮膚を引っ張ったりするのは好ましくありません。手のひら全体を使って、優しく馴染ませるように塗りましょう。

水分と油分の両方を補えるアイテムを選ぶ

保湿に使うのはどんなものがいいのでしょうか?

使用するアイテムは、化粧水など水分が主体の化粧品よりも乳液やクリームなど水分と油分の両方でできている製品がおすすめです。

手足やお腹の部分は皮脂の多い部分ではないので、水分を与えるだけでは不十分です。水分の蒸発を防ぐ油分を補うケアが必要です。
また、ビタミンAやビタミンEなどのビタミン類は皮膚の柔軟性を高める効果があり、妊娠線予防におすすめです。これらのビタミンは油性なので基本的にオイルやクリーム類の製品に含まれています。

イラスト1

産後、病院で妊娠線を消す方法はある?

ーーーここまで、妊娠中に妊娠線が気になった場合のことについて横井先生にお話いただきましたが、産後に妊娠線に気づいたというケースも多いでしょう。セルフケアで妊娠線を消すことが難しい場合、病院などで妊娠線を完全に消すことはできるのでしょうか?

完全に消すことは難しい

出産後なんですが、できてしまった妊娠線を病院やクリニックなどできれいに消すことはできるんでしょうか?

美容クリニックなどでいろいろな方法が試されていますが、妊娠線を最初から無かったかのように完全に消す方法はいまのところありません

イラスト1

妊娠線や肉割れは一種の“キズ跡”と言えます。妊娠線に限らずキズ跡全般に言えることですが、治療は簡単ではありません。
妊娠線は皮膚表面ではなく真皮層など皮膚の深い部分が受けているダメージなので、表層のピーリングなど表面にのみ働きかける治療では、あまり高い効果は期待できません。

皮膚の再生力を高める治療法も

病院などで行われる妊娠線の治療方法にはどんなものがあるんですか?

現在、妊娠線の凹凸や質感の改善に対して試されている治療の多くは、マイクロニードルやレーザーで皮膚に細かい傷をつけることで皮膚の再生力を高めるという理論によるものです。

ダーマペンなどマイクロニードルやフラクショナルレーザーは、顔ではニキビ痕や毛穴、小ジワなど年齢肌のお悩みに対して行われることが多い治療です。
皮膚にごく小さい傷をたくさんつけることで、皮膚が持つ傷を治そうとする自己治癒力が高まり、コラーゲンなどが増生されます。この働きにより皮膚にハリが出たり凹凸を目立たなくさせるのです。

局所麻酔で繰り返し行う
痛みを伴う治療なのでクリーム塗布による局所麻酔を行って施術します。1回で高い効果が出るわけでなく1ヶ月くらいの間隔で繰り返し行います。

基本的に保険外診療(自費診療)
妊娠線に対しての治療は基本的に保険外診療(自費診療)となります。 金額や治療内容は医療機関によります。ダーマペンやレーザー治療を顔全体に行う際で通常2〜4万円程度なので、顔よりも広範囲になることが多い妊娠線の場合は、もう少し高額になる可能性もあります。

予防と治療、どのように取り入れたらいい?

ーーーセルフケアによる妊娠線の予防、そして病院など医療機関で受ける妊娠線の治療、それぞれにポイントがあることがわかりました。特に産後に妊娠線の治療を受けることは、時間や費用の面でもちょっと迷うところです。予防と治療についてどのように考えていけばいいのでしょうか。

セルフケア予防は、完全には妊娠線を防げないが手軽

セルフケアでの予防のメリット・デメリットは?

セルフケアでの予防は安価で誰でも簡単に始められます

一方で、あくまで予防的な効果であり、妊娠線の程度をできる限り軽くする目的であって完全に予防することはできません

できてしまって時間が経った妊娠線への効果も低いと言えます。また、体調が優れなかったり上に小さいお子さんがいる場合などでは、全身への保湿を毎日継続することは簡単ではないかもしれません。

病院治療は、負担が多いが妊娠線が改善する可能性も

病院やクリニックなどでの妊娠線治療はどうなんでしょう?

妊娠線の症状にもよりますが、医療機関での治療によってある程度改善する可能性はあります。

デメリットはやはり金額です。

1回ごと治療が低額ではなく、さらに複数回の治療を要するためかなり高額となります。そして妊娠線に対して積極的に治療を行っている医療機関が自分の通える場所にない場合は不可能となります。

上記を踏まえると、多くの方では、妊娠線ができる過程において予防的に保湿ケアを行うのが現実的かもしれません。

治療するかどうかは「本人が気になるか」で決めていい

妊娠線の治療には費用も通院の手間などもかかり、それでも完全に消すのは難しいというのが実情です。
そもそも妊娠線そのものは病気ではなく、妊娠という一大イベントを成し遂げた結果としてできるものです。妊娠線の原因は妊娠中にケアをサボったせいや太りすぎたからではありません

妊娠線はできれば作りたくないものではありますが、「絶対に予防すべき・消さなければいけない」ものではないのです。

つまり、どの程度本人が気になるかというところが大きいと言えます。例えば、水着を着る機会がある、ファッションスタイルによって妊娠線が目立つ、などにより妊娠線を気にしてしまう気持ちが強い場合は、積極的に治療を検討しても良いと思います。少し改善するだけでも、本人がポジティブになれるならそれこそが美容治療の最大の効果です。
欧米では、妊娠線を母の勲章として誇りに思うという考え方もあるようですが、これもとてもポジティブで素敵な考え方だと思います。

まとめ

妊娠前には何もなかったお腹に妊娠線ができると、少なからずショックを受けることもあるでしょう。ポイントを押さえて保湿することである程度予防できる可能性があります。それでも妊娠線ができてしまった場合は、完全に消すことは難しいものの、病院などで治療を受けて改善することは可能です。いずれの方法も絶対にできない/必ず消えるというものではありませんが、自分の考え方やライフスタイルに合わせて検討してみてください。まだ妊娠中という方は、まずは予防から始めてみてはいかがでしょうか。
少しでも皆さんの妊娠中の生活・産後の生活が前向きに、楽しくなるように願っています。

(文:横井彩先生/編集・構成:マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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