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2022年01月18日 12:00 更新

【医師監修】正中線とは|妊娠線と何が違う?予防はできるの?

妊娠すると、お腹に「正中線」というものができると聞いたことがあるかもしれません。これはどんなもので「妊娠線」とは何が違うのか、消したり予防したりすることはできるのかについて解説します。

正中線とは

正中線の出ている妊婦のお腹

正中線とはいったいどんなものなのでしょうか。

腹部の中央にできる黒っぽい縦線のこと

「正中線」は、体の前や背面の中央を頭から縦にまっすぐ通る線のことです。胎児のとき、左右対称に体ができていった名残と言われています。

実は、正中線は妊娠とは関係なくもともと体にありますが、妊娠すると腹部の正中線の色が濃くなり目立ってくることが多いのです。

ホルモン変化などにより妊娠すると濃くなる

妊娠するとホルモンの分泌量は大きく変化します。出産まで右肩上がりで増えるエストロゲン(卵胞ホルモン)には、メラニン色素を増やす働きがあります。

同様に増えていくプロゲステロン(黄体ホルモン)は、エストロゲンがメラニン色素を増やすのを促進します。また、妊娠中に胎盤から分泌される物質にも、メラニン色素の産生を増やす働きがあると言われています。

そのため、妊娠すると正中線だけでなく、乳首や乳輪、おへその周囲、首、背中の上部など、体のさまざまな部分の皮膚に色素沈着が起こり、黒ずんでくるのはよくあることです。

妊娠後期ごろから目立ってくることが多い

正中線はもともと肌の色が濃い目の女性にできやすいとされ、その程度や目立つようになる時期は人によってさまざまですが、妊娠後期ごろから目立ってくることが多いようです。

正中線と妊娠線の違いは?

妊婦の疑問のイメージ
Lazy dummy

妊娠による皮膚の変化でよく聞く「妊娠線」と正中線はどう違うのでしょうか。

妊娠線は真皮などの断裂でできる

妊娠線は、妊娠によってお腹や胸、おしり、太もも、腰などにできる線のことです。

黒っぽく見える正中線とは異なり、妊娠線は赤っぽかったり、できてから時間が経つと光沢のある銀色や白色に見えたりします。また、妊娠線は亀裂のような形で、触ってみるとその部分の皮膚に少し陥没した感じがすることもあります。

妊娠線は、急な体重増加や体型の変化で皮膚が急速に伸ばされたとき、皮膚の下層にある「真皮」や「皮下組織」といった伸びにくい層が、その伸びについていけずに断裂することでできます。

皮膚の構造(イメージ)
皮膚の構造(イメージ)

妊娠線は残念ながら消えない……

妊娠線は、一度できるとセルフケアで消すのは難しいと言われています。保湿剤などでケアできるのは皮膚の表面だけで、その下にある真皮や皮下組織にはほとんど届かないからです。

妊娠線の予防には、急激な体重増加をできるだけ避けたり、肌を保湿して柔軟性を高めたりするのが大切と言われています。妊娠線についてくわしくは下記の記事を参照してください。

正中線は消せるの?

不安な妊婦さんのイメージ

妊娠線同様、正中線も妊娠中にできてしまったらその後どうなるのか、消す方法はあるのか気になりますね。

産後は自然に薄くなる

正中線は、妊娠によりホルモン分泌が変化することでできます。

出産するとホルモンの分泌は通常の状態に戻るので、正中線の黒ずみは徐々に目立たなくなっていくことが多いです。ただし、なかには産後、なかなか薄くならない人もいます。

日光を避ける

正中線ができたら、その箇所をできるだけ日光に当てないことは大切です。日光が当たることで、正中線の色はより濃くなってしまうことがあるからです。

正中線は予防できるの?

サラダを食べる女性
Lazy dummy

妊娠しても、正中線ができるだけできないようにする方法はあるのでしょうか。

「葉酸」が予防に役立つ可能性も

妊娠中は、お腹の赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」発症を予防するために、「葉酸」の摂取に気を付けている人が多いですよね。実は、「葉酸には正中線をできにくくする」可能性もあると言われています[*1]。

妊娠中や産後の授乳中は、通常時に比べて多めの葉酸を摂ることが勧められています。葉酸は緑黄色野菜や枝豆、のりなどに豊富に含まれています。葉酸摂取のポイントについて、くわしくは下記の記事を参照してください。

なお、妊娠中も産後も、肌だけでなく体を健康に保つために、葉酸だけでなく、ほかのビタミンやミネラル、炭水化物、たんぱく質、食物繊維、脂質などをバランスよく食べるのが大切です。

自然に消えることが多いのであまり気にしないで

正中線は、妊娠によるホルモン分泌などの変化によって、メラニン色素が増加することでできます。ただし、メラニン色素を増やしてしまうホルモン分泌の変化は、妊娠を維持し、お腹の中で赤ちゃんを育てていくために必要不可欠なことです。

正中線ができるのはあまりうれしくないことですが、妊娠中、多かれ少なかれ色素沈着が起こるのは仕方がないのです。正中線など妊娠中に起こった肌の黒ずみは、出産後、自然に消えることが多いので、できたとしてもあまり気にしないようにしましょう。

まとめ

出産を楽しみにしている妊婦さんのイメージ

妊娠によって、多くの女性のお腹にできる「正中線」について解説しました。正中線は、妊娠線と違ってメラニン色素の沈着で起こります。産後は薄くなっていくことが多いので、できたとしてもあまり気にしないでください。

もし、目立つのが気になったり、産後消えるか心配だったりするなら、正中線のできた部分はなるべく日光に当てないようにしましょう。それ以上、濃くなるのを防ぐのに役立ちます。

また、葉酸は正中線の予防に役立つかもしれないと言われているので、適切な量で摂取すると良いですよ。妊娠中から産後にかけて、葉酸だけではなく他の栄養素もバランス良く摂取しながら、十分な睡眠・休息をとることも忘れずに、体の中から肌の調子を整えていきましょう。

(構成・文:マイナビ子育て編集部/監修:宋美玄 先生)

※画像はイメージです

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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