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【医師監修】妊婦はビタミンAの過剰摂取に注意! その理由と上手な摂り方

【医師監修】妊婦はビタミンAの過剰摂取に注意! その理由と上手な摂り方

妊娠中は、おなかの赤ちゃんのためにも、しっかりと栄養を摂りたいものですが、栄養素の中には、過剰に摂取すると、かえって赤ちゃんに悪影響を及ぼすものもあります。その1つが「ビタミンA」です。ここでは、ビタミンAを妊娠中に摂りすぎてはいけない理由や、妊娠中の摂取量の上限などについてお話していきます。


この記事の監修ドクター
産婦人科専門医 中林稔 先生
日本医科大学卒業、虎の門病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。医師+(いしぷらす)所属

そもそもビタミンAってどんな成分?

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※画像はイメージです

ビタミンAとは


ビタミンAは、水に溶けにくく脂に溶けやすい性質がある脂溶性ビタミンの1つで、主なものに「レチノール」があります。

レチノールは、レバーやうなぎなど動物性食品に多く含まれています。

なお、β-カロテンは、緑黄色野菜に多く含まれる黄色、橙色、赤色などの色素成分で、体内でビタミンAに変換されます。β-カロテンのように、体内でビタミンAに変換される物質は、プロビタミンA(ビタミンAの前駆体)と呼ばれます。

ビタミンAの主な働き


ビタミンAは皮膚や粘膜の正常な働きを助ける栄養素です。また、視覚、聴覚、生殖などの機能維持もサポートするビタミンです。

ビタミンAが不足するとどうなるの?

ビタミンAが不足すると、暗い場所で目が見えにくくなる「夜盲症」になり、進行すると失明することがあります。また、皮膚や粘膜が乾燥してかたくなったり、免疫力が低下してウイルスや細菌に感染しやすくなりします。

妊婦がビタミンを摂りすぎるとよくないのはなぜ?

脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすい

ビタミンAは脂溶性ビタミンだとお話しましたが、ビタミンを大きく分けると、脂溶性ビタミンともう1つ、水溶性ビタミンがあります。

水溶性ビタミンには、水に溶けやすく脂に溶けにくいという性質があり、摂りすぎても、体に余った分は尿中に排泄されるので、基本的に過剰症になる心配がありません。しかし脂溶性ビタミンの場合は、肝臓や脂肪組織に蓄積されていくので、摂りすぎると過剰症になる可能性があるのです。

ビタミンA過剰症になるとどうなるの?

ビタミンAを過剰に摂取すると、頭蓋内圧が高くなって脳が圧迫され、頭痛、吐き気、嘔吐、めまいなどの症状が現れたのちに、皮膚の表面がはげ落ちてしまうことがあります。また長期間、過剰に摂取し続けた場合は、全身の関節や骨の痛み、皮膚の乾燥、脱毛、食欲不振、体重の低下、肝障害、頭蓋内圧の上昇による頭痛などの症状が現れることがあります。

妊婦が摂りすぎるとどうなるの?

ビタミンAはおなかの赤ちゃんの発達にとっては必要な栄養素ですが、妊婦も胎児も体内で合成することができませんので妊婦が適切に食事から摂取する必要があります。一方、妊婦が一日3,000μgREを超えて摂取した場合は、赤ちゃんに先天異常が起こる可能性があるという報告もあります。ビタミンAを含む健康食品や薬剤、レバーなどビタミンAを特に多く含む食品は、摂りすぎないように注意が必要です。

βカロテンなら過剰症の心配がない

ただし、ビタミンAで摂りすぎが問題になるのはレチノールだけです。β-カロテンの場合は、体の中で必要な量しかビタミンAに変換されず、残った分はそのまま蓄積されるか排泄されるので、β-カロテンは摂りすぎてビタミンA過剰摂取になることを心配はしなくてよいでしょう。

妊娠中のビタミンAの1日の摂取量はどのくらいまで?

妊娠中はビタミンAを摂取しなくても大丈夫?

ビタミンAを摂りすぎると赤ちゃんに先天異常のリスクが高まると聞くと、「心配だから、妊娠中はビタミンAを一切摂らないようにしよう」と考える妊婦もいるかもしれません。しかし、すでに説明したように、ビタミンAは体内で合成することができません。妊娠中のビタミンA不足もまた、赤ちゃんの発育不全を招くといわれています。つまりビタミンAは、多すぎても少なすぎても、問題があるということです。

妊婦の1日のビタミンAの摂取量の上限は?

では、妊娠中は、1日にどのくらいの量のビタミンAを摂取すればいいのでしょうか?「日本人の食事摂取基準(2015年版)」[*1]によると、1日に摂取したいビタミンAの量は、18~29歳の妊婦なら、妊娠初期~中期で650μgRAE、妊娠後期で730μgRAE。30~49歳の妊婦は、妊娠初期~中期で700μgRAE、妊娠後期で780μgRAEとされています。

また、耐容上限量(1日にこの値を超えて摂取すると、過剰症のリスクが発生する量)は、2700μgRAEとされています。妊婦は、この耐容上限量を超えないように十分注意しましょう。
※μgRAE はレチノール活性当量の単位

妊娠初期はレバーの摂取を控えて


妊娠中は、血液の量が増えて血が水っぽく薄まったり、赤ちゃんの体をつくるために鉄分が使われたりするため、貧血(鉄欠乏性貧血)になりやすい傾向があります。このため、貧血予防のために、鉄分が豊富なレバーを積極的に食べるようにしようと考える妊婦もいるかもしれません。しかし、レバーはほかの食品に比べて、かなり多くのビタミンAを含んでいます。

ですから、妊娠を考えている方、さらには妊娠3ヶ月以内の方は、大量のレバーを摂取し続けることは避けましょう。そもそも、貧血を予防するためには、動物性の鉄分だけでなく、植物性の食品に含まれる鉄分、たんぱく質、ビタミンCなどをバランスよく食べる必要があります。「小松菜と牛肉の炒めもの」「あさりの酒蒸し」などを、バランスよく摂るとよいでしょう。

【医師監修】妊娠中の食事の8つの注意点!OK or NGな食べ物は?

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/114

「妊婦さんは赤ちゃんの分まで食べなくちゃ!」というのは一昔前の話。食べ過ぎは肥満に繋がりますし、妊婦の食事は下痢や貧血、つわりにも影響するので注意しなければなりません。妊娠中に役立つ食べ物・飲み物の情報を紹介します。

妊娠中のビタミンAの上手な摂り方とは?

妊娠初期はβカロテンでビタミンAを

妊娠中は、おなかの赤ちゃんを「異物」とみなして攻撃してしまわないように、お母さんの免疫力が低下するので、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。免疫力を高めるためには、皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンAが欠かせませんが、レチノールの場合は、過剰症が心配です。そこでオススメしたいのが、β-カロテンでビタミンAを摂取すること。β-カロテンなら、体に必要な量しかビタミンAに変換されないので、過剰症の心配はありません。

βカロテンを多く含む食材

β-カロテンは、西洋かぼちゃ、にんじん、春菊、ほうれん草、小松菜など、緑黄色野菜に豊富に含まれています。また、β-カロテンには、油脂と一緒に摂ることで吸収率がアップするという性質があるので、緑黄色野菜をとるときは、炒め物にしたり、ドレッシングやマヨネーズで和え物にしたりするとよいでしょう。

まとめ

ビタミンAは、摂りすぎても不足しても、おなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるので、バランスの良い食生活を心がけ、毎日適切な量をきちんと摂っていきたいですね。特に過剰摂取に注意が必要なのは、動物性食品に多く含まれるレチノールなので、緑黄色野菜からβ-カロテンを積極的に摂るようにしましょう。また、食べ物だけでなく、ビタミンAを含むサプリメントからの過剰摂取にも注意してください。

参考文献
[*1]日本人の食事摂取基準
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.30)

※記事の修正を行いました(2019.06.07)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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