激務で自炊ができず、ついつい宅配サービスを使ってしまう。食費を抑えるには?
働き方も、恋愛も、生活様式も、全てのあり方が少し前とは違う令和の今。数えきれない変化の裏にある「新マネーハック」を、さまざまな分野の専門家たちが回答します。今回の回答者は、丸山晴美さん。
今回のお悩み「激務で自炊ができず、ついつい宅配サービスを使ってしまう。食費を抑えるには?」
帰宅後に時間が無く、ウーバーイーツ等の宅配に頼ってしまい食費がかかってしまいます。自炊も自分一人のために作る体力も無く……どうにかならないでしょうか……。(30代前半/官公庁)
激務が続くと自炊をするまでの時間や体力が無くなり、宅配サービスや外食、弁当などに頼ってしまうのは、ある意味仕方のないことかもしれません。
とはいえ、収入の多くを食費で消費してしまうと、貯蓄もままならなくなるでしょう。また、外食などは栄養バランスが崩れやすいため、健康に注意をする必要があります。激務でもできる! 食費の節約方法を紹介します。
1食あたりにかかるコストは外食が最も高くなる
一般的な1食あたりの食費を安い順番に並べると、「自炊」<「惣菜+自分で用意したごはん」<「コンビニなどの弁当」<「ファストフード店のセット」<「デリバリーサービス」<「ファミレスなどの外食」となります。
何も自炊をしていない場合の食費は、朝はコンビニで700円、ランチを外食で1,500円、夜はデリバリーサービスで2,000円程度とした場合、一日で4,000円ほどかかり、月の食費が10万円を超えていることが予想されます。
月の食費を3~4万円に抑える理想的な食費節約のやりくり術とは
理想的な一人暮らしの自炊方法は、一週間分の食材を休日にまとめて購入して、一週間分の献立を考えながら冷凍や総菜を手作りすること。
ご飯は一週間分炊いてから小分け冷凍をして、食べる都度レンジで温め直すのがおすすめです。
おかずは、朝、昼(お弁当)、夜の分の肉や魚にまとめて下味をつけてから冷凍保存します。その日に使う分の肉や魚を前日から冷蔵庫解凍をして、あとは焼くだけといった状態にしておくと楽です。副菜は休日に作り置きおかずを5~6品ほど作っておき、食事やお弁当に入れるなどして消費していくといったローテーションを組みます。
これらのステップで自炊を完璧に行えば、食費を月に3~4万円ほどにすることも可能です。
できない自炊は無理にしない
しかし、激務の方に理想的な一人暮らしの自炊方法を押し付けるのは酷というものです。無理に自炊をしても、結局は食材をダメにしてしまい、余計な出費とストレスが増えるだけでしょう。はじめからフルに理想的な自炊をする必要はありません。まずは簡単にできそうなところから一歩ずつ自炊を始めてみませんか。
ご飯だけでもまとめて炊いておく
まずは休日にご飯だけまとめて炊いておくことから始めてみましょう。白米を5合ほど炊いて、一膳分に小分け冷凍をしておくだけです。
都度レンジで温めて、レトルトのカレーや市販の惣菜などをプラスするだけでもすぐにできて、デリバリーや外食の回数を減らすことができます。
また、ごはんをまとめて炊いてストックすることに慣れて余裕ができたら、一部をおにぎりにして冷凍しておき、食べるときにレンジで温めてから海苔を巻いて、朝食・昼食用にすれば、インスタントの味噌汁や市販のおかずををプラスしても、朝のコンビニ代や昼食の外食代が節約できます。
このように徐々にできることを増やしていき、無理のない範囲で自炊をするだけでも節約の効果があります。
鍋は深型のフライパンを一つ用意するとほとんどの調理ができる
一人暮らしでの自炊はキッチンが狭く、多くの調理器具を置くスペースすらないということもあります。
また、調理をするにあたって、あれもこれも調理器具をそろえなければならないと考えがちですが、蓋付きの20センチの深型のフライパン一つあれば、炒める、ゆでる、焼く、蒸す、煮るといったほとんどの調理が可能となり、一つで何役も兼ねるので、まずは深型のフライパンを用意することをおすすめします。
コンビニを味方につける
「コンビニ=高い」と思う方もいるかも知れませんが、コンビニは24時間営業かつ、ある程度生活に必要なアイテムがそろっているため、残業で遅くなっても必要なものはある程度そろえることができます。
コンビニの自炊お助け食材は、卵や納豆、豆腐。基本的な食材がある程度そろうだけではなく、カット野菜や冷凍の肉や野菜、冷凍食品、カレーや総菜などのレトルト食品、缶詰などのすぐに食べられるものも売られています。
それだけではなく、チルドのうどんや焼きそばがあるので、カット野菜と組み合わせて焼きそばや焼うどんが簡単にできます。
このように、コンビニで買える食材と自宅にあるご飯をプラスすれば、時間が無いときでも温めたり、封を開けるだけで食事を作ることができますよ。
「○○の素」を使ってバリエーションを広げる
節約をするならいわゆる「○○の素」を家にあるものを組み合わせて作ることもできますが、料理経験が浅い場合は、無理をせず「麻婆豆腐の素」や「青椒肉絲の素」など一発で味が決まるものを使って手軽におかずを作ることをおすすめします。
中華の素は具材を炒めてから混ぜるだけなど、手軽に短時間で調理ができるため、忙しい時にも手軽に作ることができて食事のバリエーションも広がるはずです。
時間と体力が無くてもすぐにできるおすすめ自炊メニュー
卵にアレルギーが無ければ、価格が控えめかつバリエーションが出やすい卵料理がおすすめです。例えば、目玉焼きやスクランブルエッグ、玉子焼き、ゆで卵といった基本的なものから、卵とご飯に、ハムやネギなど冷蔵庫にあるものをプラスして、炒めれば5~10分程度でチャーハンの完成です。
他にも、めんつゆを規定の水で希釈してフライパンで沸騰させたら、市販の揚げ物を入れて再沸騰したところで、溶き卵でとじてから、温めたご飯の上に盛れば丼ぶりができます。揚げ物は、スーパーで売られている惣菜を使えば簡単です。例えばとんかつが特売になっていたら、卵とじにすればかつ丼、レトルトカレーとご飯を温めて、その上にとんかつを乗せればカツカレーも簡単にできます。
このように、惣菜の揚げ物などをアレンジすれば、自炊が楽になります。
ご飯以外の炭水化物を用意する
ご飯のストックが切れたときは、冷凍うどんや、乾麺のパスタやうどん、そばのストックがあると、ゆでるだけで炭水化物が確保できます。
パスタは、100円ショップなどで売られているレンジでパスタがゆでられる容器を使って、レンジでパスタを茹でつつ、市販のパスタソースを和えるだけなので外食やデリバリーの誘惑にも勝てるでしょう。パスタやうどん、そばだけだと、栄養バランスが偏りやすいので、卵を一つ加えるといった工夫をすると良いですね。
キッチンに立ちたくないならテイクアウトをお得に利用する
どうしてもキッチンに立つ元気が無ければ、コンビニのお弁当や24時間営業のファストフード店のテイクアウトを使うときがあっても問題ありません。
ファストフード店を利用する場合、帰宅しながらアプリなどで注文をすれば、帰宅途中にピックアップするだけですし、アプリのクーポンがあれば、多少なりともお得に買うことができるでしょう。デリバリーを待つよりも早くてしかも手数料などもかからず安く済みます。
自炊は無理せず継続させることが大切
自炊を中途半端にやって、食材を使い切れずに捨ててしまうくらいなら、外食の方が安上がりになると考えてしまいがちです。しかし、今回ご紹介したようにご飯だけは炊いて、レトルトや調理済みのものを活用する“半自炊”なら忙しくても続けやすいのではないでしょうか。
これらが習慣化されることで徐々にレパートリーも増えてきて自炊が楽になってきます。自炊ができると、家計にも身体にも優しい生活ができます。また、自炊のスキルは一生ものですので、継続させることが大切ですよ。
令和のマネーハック114
忙しくて時間と体力が無い人は“半自炊”から始めてみては? 難しく考えすぎず、楽にできる自炊を継続させるのがコツ!
(文:丸山晴美、イラスト:itabamoe)
※この記事は2025年01月27日に公開されたものです